「我に艱難辛苦を与え賜え」と祈ったのは山中鹿之助。「我に百難を与え賜え」と祈ったのは土光敏夫。へた釣りは艱難辛苦も百難もご免こうむる。「我に魚信を与え賜え」。祈るのはこれだけである。オニカサゴおみくじ三籤目。凶、凶と続いて…人事を尽くして天命(=魚信)を待つ。
明日の羽田・かみやのオニカサゴ大会に参加する予定だったのだが、昨夜、波・風の予報を確認して、まさに艱難辛苦としかいいようがない時化予報に大会をキャンセルし、凪の本日出撃に切り替える。その後予報はいくらかマシになり、大会は予定通り行われるようだが……先週のKFCウィリー五目よりもまだ予報が悪いので、百難を求めてないへた釣りとしては回避して正解だったと思う。釣り方がよく分かってない上に時化ではマグレすら期待できない。大会前日のせいか、本日のオニカサゴ船は片舷4人の8人で出船。オマツリを気にしないでいいので楽チン。
船長からのアナウンスは「沖まで1時間走ります」だったのだが、久里浜沖を越えたあたりでウネリがひどくなり、船はスローダウン。剣崎に行くのは諦めて久里浜沖で釣ることになった。船が止まれば海の状況はさほど悪くない。オニカサゴなんとしても1匹作戦で用意した新兵器がいろいろ。鬼火というオニカサゴに効果抜群らしい集魚ライトを付け、餌は人間様用カツオのハラモの天日干し、仕掛けはサンスイオリジナル仕掛けを改造したムラムラ真珠豆。釣り方を勉強した。いろんな人の言うことも参考にした。ここまでやればきっとなんとかなるはずと信じて仕掛けを投入したのだが……何もな~~~い。
とにかく魚から何のシグナルも受け取れずに時間だけが過ぎていく。120号の錘をぶら下げた竿で10秒に一度底を取り直し、ときどき頭の上まで誘い上げる。水深200メートル超えなので腕への負担は軽くない。魚信があれば報われるのだが、ただ竿を上下し続けているだけとなると、筋トレ気分。今日もダメかなぁ?と開始2時間もすると既に弱気の虫が騒ぎだす。周りではスミヤキという真黒な魚やドンコが釣れていた。あまり潮色はよくない感じ? へた釣りの竿に微小な生体反応があったのは11時を少し回ったころ。ユメカサゴだった。デカッw船長に「おめでとうございます」と言われる……何も釣れないよりはマシだけど、これじゃな~~~い!!
桟橋にて達人さんたちに「集魚ライトなんて付けたらサメ釣りになるよ」と言われた。サメでも何でもいいからあたってくれぇ~~~!!というのが正直なとこ。願いは天に通じたようで……12時少し前に変な魚信。魚っぽいような魚ではないような。巻き上げ始めると、重い。重いけど全く引かない。オマツリ?と思ったが周りにオマツリの気配はない。「ミズタコ? タカアシガニ? 底の石?」。船長ですら判別できない物の正体は。天秤と錘とナヌカザメ。誰かがナヌカザメを掛けて高切れし、ナヌカザメが付いたままの天秤と錘と仕掛け一式をへた釣りが釣り上げた。
針は錆びていたので昨日、今日の物ではない。120号の錘を付けたままこのナヌカザメは何日我慢してたんだろう。針を外して海にお帰りいただいた。沖上がりの時間が近づく。ちっとも魚信がない久里浜沖に見切りを付けて船は観音崎沖へ。残り時間は1時間と少し。「ナヌカザメの恩返しとかないですかね」。デカッw船長がメルヘンなことを言う。ナヌカザメは手触りこそぬいぐるみのようで癒し系なのだが、目つきは大層悪い。絶対に恩返ししてくれるタイプではなさそうな気がするどころか、恩を仇で返すタイプにしか見えないのだが……。
観音崎沖は根掛かり多発ポイントなので常時竿を動かしていると、ガッガッガッ。ん? この魚信って……。少し竿を送って様子をみてもガッガッガッ。ゆっくり聞き上げると竿に重みが……乗った!! 巻き上げ開始! 残り25メートルで一暴れ。オニカサゴ!!!! 問題はキープサイズ(25センチ)に届いているかどうか。海面に姿を見せ船長が構えたタモに収まったのは30センチくらいだけど、キープしていいサイズ♪ 1年以上ぶりのオニカサゴを狙って釣ったオニカサゴ! 本日のオニカサゴおみくじの卦は吉!!!!!!!!!
著者: へた釣り