毎週毎週船に乗ってるんだから船酔いなんてしないでしょと言われることがある。15年船釣りをやってきても頭痛と吐き気、気だるさに襲われる。船酔いしても意地で釣りを続けることができるようになっただけ。人生4度目の大遠征キンメ釣りは船室で寝ていても体が飛び跳ねる激時化で苦戦。
▼声も出演版
下田須崎港・番匠高宮丸から新島キンメへ。エスコートしてくださるのはこの釣りの名人、深場の勇者様と勇者様から免許皆伝を受けたI垣名人。前々日まで新島沖は風17メートル弱と出船中止不可避の予報だったが、前日朝に風8メートル予報に治まった。出船できる可能性が高いとのことで、勇者様と合流して下田を目指す。雪の箱根は避けて東伊豆の海岸線を南下するルートを取る。時化予報に船が揺れにくい胴の間の席を3人並んで確保し、食事を済ませたら温泉銭湯で入浴。その後、港に向かい待合所で仮眠を取ることにしたのだが、ウトウトすると寒さで目が覚めるを繰り返し、十分な仮眠は取れずに4時に港へ。
竿もリールも8投分の仕掛けも船宿に用意してもらうオールレンタル乗船セット20の利用なので、準備することがない。船に乗り込んだらそのまま船室へ。寝不足だという自覚はあったので新島到着までの1時間半ぐっすり寝ようと思ったが、時化の海は甘くない。寝転がっていると体が飛び跳ね床を転がる。寝るどころではなく船酔いの症状が出始める。船が減速し船長から準備を促されるころにはすっかり船酔い。頭痛と吐き気に加え気力減退が著しく、勇者様やI垣名人から話かけられても生返事を返すことしかできない。仕掛けの投入の合図がある。投入だけはなんとか成功した。
オモリが着底したら糸ふけを取って竿に重みを感じたら船の移動でラインが引かれるにまかせて少しずつラインを出していく。このラインの出し方の巧拙で20本針のうちの何本にキンメダイを付けられるかが決まる。朝一はキンメの反応が高い位置にあるはずなので少し張り気味にスプールを抑えて竿先がお辞儀してからラインを出していくと、魚信あり。少しずつラインを出していくと何匹か付いた手応えに。あとは巻き上げるだけ。ラインを出すのを止めて、待機し先に巻き始めた人と50メートル空けて巻き上げる。ここで凡ミス。船長からの「×番目の人巻き上げて」というアナウンスを自分のことだと勘違いし巻き上げ開始してしまう。ミスに気付いた船長から「巻き上げ止めて」と指示されるが、船酔いでぼんやりしている頭がパニックに。巻き上げの止め方が分からなくなってしまう。それでも1投目は4匹。
風は10メートルくらい吹いていた。北風なので寒い。船酔いでもともと気力が萎えているところに一投目のミスですっかり意気消沈。二投目も魚信はあった気がしたし、エサがなくなっている針が複数本あったが魚の姿はなし。三投目はなんとか1匹。この投入ではキンメのコイノボリに成功した人もいたのだが、ラインの出し方が下手すぎるのか、着底直後に食ってきたと思われる下の方の針に1匹キンメが付いていただけで追い食いを発生させられなかった。ミスは続く。巻き上げ準備でラインを出すのを止めるとき、オモリが切れないようにドラグ調整する。竿が曲がってラインに負荷がかったらラインが少し出るように設定したつもりだったがオモリが切れてしまう。キンメ釣りの嫌なところはミスが自分だけでなく周りの人にも影響を与えること。寒いし気持ち悪いし迷惑だしで気力が尽きかける。
ここからの方針はほかの人に迷惑だけはかけない。投入には8回とも成功した。実は投入成功パーフェクトは新島キンメ4戦目にして初めてのこと。ラインの送り出しはあまり極端なことをやらずにやや張り気味で出しすぎないようにした。船長がいい場所に仕掛けを落としてくれるので1匹は釣れるが一荷には全くならず4投目以降は1匹ずつ2回釣れただけ。実は一度だけ何匹かキンメダイが付いたかもという投入があったが、根掛かりしてしまう。右隣の名人にドラグをギチギチに締めてもらって(当然、自分ではできない)、なんとか外れた。でも、その衝撃で付いていた気がするキンメダイは全部外れてしまった? 船を降りて7時間経ったのにいまだ船酔いの症状が続いており、この釣行記上げたらもう寝る。
著者: へた釣り