アオイソメ餌の夜メバルは、昼にやるエビメバルやイワシメバルとは別の釣りだと考えなくてはいけないと薄々気づいていつつ、メバル釣りでやってはいけないと教わってきたことが刷り込まれてしまっているためうまく適応できない。暗くなると全く魚信をだせなくなって大苦戦し4匹だけと撃沈。
名人さんから「食べたいから年に何度かだけやってる釣りなんです」なんてセリフを聞くことがある。食いしん坊なへた釣りは、すべての魚を食べたいから釣っているのだが…「年に何度かだけ」という条件には、マゴチとメバルが当てはまる。マゴチは針掛かりさせるとドッタンバッタンジッタバッタと暴れる感触が手元まで伝わってくるのが楽しい。メバルはというと向こうアワセで食い込んだ瞬間に、どんな大物?とびっくりするほどにパワフルな一撃を食らわせてくれるのにハマった。モエビで狙う昼間のエビメバルはこの数年壊滅的に釣況が悪いため、京急大津・いなの丸から猿島沖の夜メバルに行くようになった。
18時出船で17時受付開始なので、15時少し過ぎに家を出て京急大津駅を目指す。猛暑の中、荷物を持っての移動だが、冷蔵服3を着れば汗をかかずになんとか到着。受付で毎週夜メバルに乗っているという常連さんからお話を伺うと「そろそろメバル釣れなくなってきている」とのこと。猿島周りのメインのポイントは少しスレてきているらしい。釣り座は左舷の胴。明るいうちに準備を済ませて出港に備える。最初のポイントは猿島沖20メートル。夕マヅメの時間帯で一投目から期待したが、なぜかアジでスタート。周りではカサゴがポツポツ釣れていたが、一番下の針をオモリから60センチ離して出しているのでカサゴはかわせている。
餌はアオイソメを1本チョン掛けにする。そんなに長くて大丈夫?ってくらい長くても大丈夫だ。餌に食らいついてきたメバルは違和感を感じなければ針まで食ってくる。向こうアワセで穂先がグンッと引き込まれるまで待つのはそのためだ。まだ日が落ちきる前に、ようやく竿先をフルルと震わせるメバルの前魚信がある。オモリが底に着いているなら少し送るくらいのつもりで、オモリが浮いているなら竿先の柔らかさを信じて動かさずに待つ。前魚信から竿先グンッまでのドキドキ感が堪らない。最初の一撃はパワフル。重量感もあったので、いきなり煮付けサイズかもとニンマリしたが、20センチ級のメバルのダブル。
日が落ちきる前にダブルなら暗くなればもっと食いが立つはずと期待したが…なぜか、その後さっぱり魚信を出せなくなってしまう。船中、沈黙していたわけではない。釣る人は釣っている。底をトントンと叩くような感じで結構激しく誘って魚信があったら鬼アワセでいいペースで釣っている名人を見て、冒頭の結論に到る。底をオモリで小突く、竿を激しく動かす、鬼アワセは昼のメバル釣りで船長から絶対にやるなと言われる三大禁止事項だ。でも、底からビュンと仕掛けを持ち上げてリアクションで食わせているように見える名人の釣り方の方が結果がいいのだから、別の釣りと考えた方がよさそう。名人が良型含めメバルを着実にゲットしている横で、へた釣りにはリリースサイズのメバルと大アジが1匹ずつ釣れただけ。
こうすれば釣れるという見本はある。どうするかな?と試行錯誤をしてみる。メバルは上から落ちてくる餌に反応がよいはずだが、どうも下から上への誘いの方がよい? 勝手に泳いで誘ってくれるカタクチイワシやモエビと違ってアオイソメは竿を操作し動かさないといけない? あまり激しく誘うのは周りに迷惑(エビメバル船ではそう教わる)な気がしたのでメバル釣りのルールから大きく逸脱しない釣り方はと考えてマイナステンションでたるませてから太極拳の動きでゆっくり竿を1メートルくらい持ち上げていくことに。この釣り方でなんとかメバルを2匹追加できてお持ち帰りは4匹。竿頭は15匹だったらしい。どうやって釣っていたんだろう?
著者: へた釣り