二の矢三の矢的に準備できている代案なら上手くいくこともあろうが、窮してから残された選択肢の中から選んだ代案はまず上手くいかない。下田沖のムツ・アラリレーが船の故障で流れてしまい、アカムツは無理でもクロムツなら釣れるだろうと甘い目論見で臨んだ城ヶ島沖で大ゲキチーン。
▼声も出演版
先週はオニカサゴで鬼の形相鍋、今週はむっちりクロムツでむつちり、そして来週は新島トロキンメ鍋と、頭の中で絶品お鍋な日々が組み上がっていた。ボウズ率が一番高いオニカサゴはクリアし、下田沖まで行けばクロムツは手堅く釣れるはず、新島キンメも凸凹はあるが1匹も釣れないってことはないはずといい気になっていた。下田沖のクロムツは船の故障という不測の事態で中止となり、深場の勇者様がほかの船を探してくださったがクロムツで乗れる船は見つからず。三崎港・えいあん丸のアカムツならクロムツが高確率で混じるので、40センチ超のむっちりサイズとはいかなくてもむつちりを食うという目標は達成できると考えていたのだが…本日良かったことは送迎を待つ三浦海岸駅前で満開の河津桜を見られたことだけになってしまった。
アカムツだけでなく、中深場の釣りは基本3本針で釣る。枝間は150センチで枝スは80センチ。捨て糸なしでとにかく投入でトラブルがないことを優先する。左舷は3人でへた釣りは真ん中。水深310メートルのポイントで釣り開始となる。アカムツ狙いなので底から3メートルくらいまでをネチネチと誘って魚信が出るのを待つ。一投目から何かが食ってきた感触があった。竿を持ち上げると重みが乗った。結構パワフルに穂先を引く感触もあったが、撒き始めると反応消失。仕掛けを回収するとアカムツ用に装飾してあったハリスが2本ともスパッと切られていた。サメ? スミヤキ?
マシュマロボールやケイムラパイプなどの装飾がサメを寄せている気がしたので、何も付けない枝スを投入したが2投目はなんと3本針を3つとも切られてしまいお手上げ状態。先週に続きサメ地獄に堕ちてしまいそう。3投目でこの日唯一のもしかして?な魚信あり。巻き上げ中もいい感じに抵抗してくれ、クロムツでいいのにアカムツ釣れちゃったかもな予感にニヤニヤしていた。残り20メートルを切り、ロードキーパーに竿を置こうとすると急に電動リールのモーターが唸りをあげて竿がガコガコと揺れ始める。針ごと持っていかれたので、おそらくサメに奪喰いされた。魚の姿は確認できず。でも、サメが奪喰いするのは美味しい魚ばかりなので……。
早いうちに本命と思しき魚信があったんだから、二度目、三度目のチャンスもあるはずと、頑張って誘ったが、竿先をガコッと揺するように出るアカムツやクロムツの魚信はちっとも訪れない。というか、魚信がとにかく少ない。針はよくなくなるのでサメかスミヤキはいるみたいだが……針掛かりしても一瞬でいなくなってしまう。釣れたのはユメカサゴとシロムツとギスが1匹ずつだけ。あまりの貧果にギスを持ち帰ってギスのつくね鍋でも作ってやろうかと考えたが、体表から出る蝋状に白く固まる粘液が気持ち悪すぎて断念する。
中盤から後半…実は見せ場らしい見せ場がなかった。魚信の出方は本命らしくはなかったが、巻き上げ中の重量感や引きの強さが本命っぽい魚が針掛かりした。紛らわしいサイズの小型のサメだった。船長は水深を変え、場所を変え城ヶ島沖を走り回ってくれた。そのおかげもあってか船中で1匹アカムツが釣れた。船中1匹の激レア高級魚を釣る運もなければ腕もないへた釣りは、最後まで200号のオモリをぶら下げた筋トレに勤しんだだけだった。というわけでむつちりはおあずけ。
著者: へた釣り