きっちり丁寧に間違えないようにと言われるのが子供のころから大嫌いだ。金沢八景・一之瀬丸からキンメムツ五目へ。キンメダイを狙って釣るのはこれが初めて。タナさえ合わせられれば難しい釣りではないと聞いていたが、釣り方以前に整理整頓が苦手でガサツな人はこの釣り不向き。
ヤリイカ、胴突きシロギスに続くはじめての××シリーズ。50代半ばにして初体験できることがいまだにあるのは素敵なことだと思う。出船時間が早いのでいつもの電車ではなく、東海道線の始発で横浜駅まで行ってから京急に乗り継ぎ金沢八景へ。緊急事態宣言のおかげで酔客はほぼおらず電車はガラガラだった。船宿で残っている席札を確認すると、例によって艫から埋まっており左舷の舳は空いていた。舳だと投入が一番先になる。スムーズに投入する自信がないので胴にしようかとも考えたが、せっかく空いている舳を譲ると釣りの神様に嫌われる気がした。左舷舳の札を取る。片舷5人ずつで出船となる。沖の瀬まで約1時間の航路。
普段ならポイントに到着して船が減速してから仕掛けを付けるのだが、一番最初に投入しなくてはというプレッシャーで、船が走っている最中にエサを付けた針を船べりのマグネットに並べていく。6本針ならなんとかなりそうと安心しているとロッドキーパーに立てかけてあった竿が倒れて仕掛けがぐしゃぐしゃに。親子サルカンで仕掛けを切って修復することに。ポイントに着く前からあたふた。ポイントの水深は400メートルくらい。投入にはなんとか成功しそろそろ底?と構えていたら魚信。レンタルタックルなのでキンメダイの魚信がどんな感じなのか分からない。キンメかもと大事に巻き上げるも5本針に4匹のサバでがっかり。仕掛けが再起不能になってさらにがっかり。
沖の瀬は潮がかなり速く300号のオモリでも底がかなり取りづらい。最初の着底の糸吹けを見逃すと底はどこぉ?となってしまう。2個所めのポイントでは着底し2メートルほど仕掛けを巻き上げると穂先に違和感。魚信というほど明確に引き込んではくれない。シロムツか何かが食ってきたのかもと巻き上げの合図があるまで放置してから巻き上げると、なんと上の方の針にキンメダイが2匹。上の方の針に食ってきたら魚信は大きく出るはずなのに……。とはいえキンメダイを狙って釣ったキンメダイの1匹目と2匹目をゲットする。ポイントによってはサバの猛攻に遭い仕掛けが底に着く前に巻き上げざるを得ないことも。底まで仕掛けを送り込めれば小さな魚信があって3匹目のキンメダイ。1、2匹目に比べて体高があり、これってフウセンキンメ? ナンヨウキンメ?
3匹目を釣ったのは11時少し前。目標は家族4人に1匹ずつで4匹だったので楽勝と思っていたら、きっちり丁寧に作業ができない男は大失速する。まずは仕掛けを踏んだままオモリを投入してしまい仕掛けが切れて1回休み。風もなく凪。ほかの人が10本針でやっている中、自信がないので半分の5本針。なのにとにかく仕掛けが手前でマツリまくる。仕掛けを回収するたび、枝スを切って結び直さないといけない。準備に時間がかかって、船が減速すると「間に合わない!」と絶望感が押し寄せる。仕掛け回収時にマグネットに順に針を置いていけばよいという知識はあるが、そんなきっちり丁寧な作業はできない。間に合わないと判断したら針数を減らしてなんとか投入。針は5本になり、4本になり、3本になり……針数が減ったせいではないのだろうが船長から「魚信はでてますよ」というアナウンスがあっても完全に蚊帳の外に。
水深450メートルくらいのポイントまでいろんなポイントに連れて行ってくれるが潮が速すぎて底が全く取れなかったり(取れても自信が持てなかったり)、サバの猛攻でなす術がなかったりと全く魚信が出せない時間が続く。キンメダイに有効な誘い方は知らない。バカの一つ覚えというか、深場の釣りはこの誘い方しか知らない誘い下げを試してみるも好転せず。サバすらも食ってこなくなる。手前マツリだけは相変わらずで仕掛けだけがどんどん減っていく。最後の流しというアナウンスがあったときなんて仕掛けを全く正せずに、でもパスするのは癪なので1本針で投入した。当然、魚信なしで終了。仕掛けをきっちり丁寧に扱えない自分がちょっぴり嫌いになった一日だった。
著者: へた釣り