妻がダメ元で申し込んだ渋谷区が伊豆の河津に持っている保養施設に当選した。二食付きで5000円台で泊れるとなると行くしかない。河津って桜の季節以外やることあるんだろうかと不安だったが、美味しいご飯とお酒そして温泉があれば十分楽しめる。河津の鰻と伊豆多賀の蕎麦は絶品。
宇佐美にプチ遠征するのとほぼ同じ時間、同じルートで河津を目指す。河津にはお昼どきに到着し、河津川沿いにある大川屋といううなぎ屋さんで昼食を摂る。腹開きで蒸さずに焼く関西風の地焼きでやっているお店だ。へた釣りは関西人なので、うなぎの脂の旨みと焼いているうちに落ちた脂が発する香ばしさが味わえる地焼きが好き。昼間っから冷酒を頼んでうなぎが焼きあがるのを待つ。うな重(並)は肝吸いと小鉢が付いて3850円。肉厚の身が二切れ乗ってこの値段は大満足だ。うなぎは駿東郡清水町から仕入れているそうだ。
チェックインまでまだ時間があるので暇つぶしというか…観光らしきことを。まずは川津来宮神社へ。熱海の来宮神社同様、酒飲みに優しい神様が祀られており、酒瓶を象ったお酒を呑む人の御守を授かりに行く。妻は桜色をへた釣りは水色のを。大楠がご神木になっているのも熱海の来宮神社と同じだが、幹の周りを廻ることはできなかった。
チェックインだけ済ませて宿の近くにある峰温泉大噴湯公園へ。東洋一を誇る峰温泉の大噴湯を見られるそうだ。噴き上げは1時間に1回なので、少し早く行って大噴湯で玉子を茹でて食べて待つ。温泉の成分のおかげか、湯温がすごくいいのか、あるいは玉子自体がいいものなのか、白身がふんわりやわらかく茹で上がり、夕食前なのに2つも食べてしまう。大噴湯は風が強かったせいか、垂直に30メートル噴き上がるというわけにはいかなかったが、それなりに迫力あり。頭から湯を噴き上げているご当地キャラのフントー君がちょっぴり気になったが、Tシャツは買ってもらえなかった。
河津さくらの里 しぶやは、温泉プールを取り囲むように客室があり、二人なのにこんなに広い部屋に泊めてもらっていいの?と驚かされた。水着の人にカメラを向けるのはご法度なので、夜の誰もいないプールを撮影。食事はまずまず。1100円追加して一人前だけ作ってもらった刺し盛りは、トビウオ、チダイ、アジ、ムツ。一人前の注文なのに結構豪華な感じに作ってもらえた。食事を終えたら近くの居酒屋兼スナックのおふくろへと繰り出す。旅先で地元の人が集う飲み屋に行くのが好きだったりする。お通しで出た小アジの空揚げが美味しかった。お値段も本当にそれでいいの?というほどにお安くてびっくり。
乗り鉄の妻がどうしてもというので、伊豆急の黒船電車(リゾート21)の時刻を調べて乗ることに。朝ご飯を食べたら、もう一度温泉に浸かってのんびりチェックアウト。どうせならと一番前の展望席に座ることに。いい歳して展望席に座りたいなんてと思っていたが、これが意外と楽しい。トンネルを出ると伊豆の景観が車窓いっぱいに広がる。特に海沿いを走っているときはいい歳して夢中で運転席の先を見ていた。
伊豆多賀駅で下車する。蕎麦処 多賀という蕎麦の人気店があることは知っていた。機会があれば一度行ってみたかった。ようやくチャンスが訪れた。軽井沢から移築された建物にはお昼時なのもあって行列ができている。予約してあったのでさほど待たされることなく通してもらえた。そば前を楽しめるお店なので、多賀冷酒を。升で供され、揚げ蕎麦と塩を出してくれる。昼から呑めるのが電車旅の良さだ。あては蕎麦寿司と厚焼玉子。天城の自然の中で育てられた卵で作られた厚焼玉子はこれだけで来てよかったと思えるほどに美味。
冷酒をお代わりし、鴨南そばがきを注文する。そばがきはそば粉100%でそばの風味豊かなもっちりとした食感の団子。鴨から出る甘味のある出汁を吸って日本酒ともよく合う。初めてのお店ではお蕎麦はせいろを頼む。温かいお蕎麦の出汁も味わいたいので、そばがきがあれば頼むようにしている。今回は贅沢して普通のそばがきではなく鴨南蛮そばがき。最後に、せいろ二枚重ねを。蕎麦は挽いたそば殻を少し残したぼそぼそとした食感の二八蕎麦(たぶん)。蕎麦の風味や香りがしっかり感じられるお蕎麦だ。一枚目はわさびを箸の先に少し付けていただく。二枚目は薬味の大根おろしをツユに溶いて味変。そば湯はさらっとした感じでネギと七味を加えて残さずに飲み干す。もう二枚ほどお代わりしたいほどに美味いお蕎麦だった。
著者: へた釣り