予想通りといえば予想通りだが、海が悪かった。船がポイントに至り、キャビンから出た第一声は「これ、ダメでしょ!!」。釣れる気が全くしない時間が続く。なんとか25センチ級を午前中にゲット。今季のカワハギはこれで終わり? 有終の美を飾る1尾が欲しいと言っていたら本当に来てくれた!!
風の予報は陸で10メートル、海上では15メートル。さすがにこんな日は釣り人が少ないだろうと思っていたら、京急品川駅には竿&クーラー持参の人の姿がちらほら。金沢八景駅で降りた釣り人はさすがに普段よりは少なかったが、その大半が金沢八景・一之瀬丸の感謝デー釣り大会に参加するために受付を目指す。こんな日に釣行するなんてアホだなぁと思ったが、自分もそのアホの1人である。カワハギ船は2隻出し。釣り座のクジを引くと「8-21」。8号船の21番という意味で西村船長船の右舷艫から2番目だった。一昨年優勝したときも昨年惨敗したときもこの席だった。3年連続同じ席なんて奇跡?と思っていたら大艫は埋まらずにVIPシートに格上げ。船は7時30分に桟橋を離れる。
予報では朝のうちはまだいくらか風が弱く昼前から本格的に吹き始める。良型を選んで釣りやすい宙での釣りは朝のうちしかできない気がしたので、近藤名人がこの大会のために間に合わせてくださったピカイチくんSP炸裂・赤とピカイチくんの集魚効果を最大に活かせる3本針密集仕掛けを用意する。飛沫を被りそうだったのでキャビンに避難。船は約1時間かけて竹岡沖へ。戦闘開始と意気込んでキャビンを出た瞬間に戦意喪失。海の荒れ具合が想像を凌駕していた。台風が接近している日に行われた昨年の江戸前釣りサーキット大会カワハギの部よりも悪い。宙での釣りは無理と判断し、ピカイチくんを一投もせずに時化用仕掛けに付け換える。オモリから針まで30センチ放してゼロテンション以下をキープするという戦略だったが…それでもときどきオモリが底を切ってしまう。魚信は何度かあったが底での釣りが苦手な上に、波による上下で全く掛けられない。エサは取られるのでカワハギはいるのだが……。
焦れる。焦れるが有効な手が思いつかない。1つだけ間違いないのは、このまま釣り続けていても楽しくないし、魚を手にできる気がしない。どうせダメならという考え方がうまくハマることがある。ピカイチくんSP炸裂・赤と3本針密集仕掛けに仕掛けを戻す。底を意識してたまにトンとオモリが底に着くように竿を操作する。魚信があっても掛け方が分からないという状況はいっしょだが、宙で釣っているので知らないうちにエサがないということは減った。それだけでも前進である。1匹目のカワハギが釣れたのは10時40分頃。まずまずの引きで25センチくらい。これで検寸はしてもらえる。少しずつ釣り方が分かってきた。波で船が上がっているときはタタキなど激しい誘いを入れてアピール。船が下がっているときに集中して誘い下げて魚信を出す。底にオモリが着いたら少し待って聞き上げる。2匹目、3匹目と釣れるが……15センチに満たないものばかり。
波も風も朝よりも少し弱まった。人間は順応する。どう考えても釣りやすいはずがない時化の海のままなのに随分と釣りやすくなったと感じる。バラシや掛け損ないは相変わらず多いが魚信はコンスタントに出せるようになってきた。でも、20センチを少し超えた物を1尾追加しただけでほかは15センチ以下ばかり。2018年カワハギの締めくくりにしては盛り上がりを欠く。「優勝サイズでなくていいから有終の美を飾れるサイズが欲しいなぁ」なんてことをほざいていたら、本当に来た。底から離すときに重量感があり竿を持ち上げるのに少し苦労する。巻き上げ中は竿を送っていなさないといけない激しい抵抗をみせる。ドラグが滑る。尺超え?という手応えだったが、計測してもらうと尺には足らず。29センチだった。優勝だって狙えるサイズのデカハギが釣れたことでなんとか格好がついた。
29センチを釣った少しあとに左舷舳がざわっざわっとする。船長もマイクで「デカいな」。32.9センチの竹岡沖の主サイズのカワハギが釣れた。これが優勝魚。もう1船でも尺超えが釣れていたようでこれが2位。へた釣りの29センチは3位に。賞品はダイワのライフジャケット。今使っているライフジャケットは桜マークなし。2022年まではこれでも罰則はないが、いずれ買い替える必要がある物だったのでこれはうれしい。大会にはチーム・ミニオンズのリーダーにしてステファーノGPファイナリストの中村名人も参加しており11位。仲良く並んで写真を撮る。朝、ポイントに着いた瞬間、2018年のカワハギシーズンは最悪の幕引きになるかもと不安を抱いたことを思えば、上々の出来ではないかと……。
著者: へた釣り