雪山で遭難し「寝るな~寝たら死ぬぞ!!」てなシーンを昔テレビで見たのを思い出す。江戸前釣りサ-キット大会マゴチの部はそんな釣りになった。冷たい雨が風で横殴りに降り付ける。天気予報を信じ春モードの薄着。魚の活性がよければ救われるが魚信なし。寝るな~寝たら死ぬぞ!!
前日天気予報を確認した時点では雨は降っても朝のうちだけでしかも小雨。風は弱く終日凪だったと思う。朝起きると家の外壁に打ちつける雨の音がはっきりと聞こえる。釣行の準備を終え外に出ると風まで吹いている。大会でなくてもドタキャンはしない主義なので羽田・かみやへと向かう。最初のミスはここでした。服装を冬モードに着替えるべきであった。蒲田駅にて送迎バスを待つ。雨は少し小雨にはなったが降り続いていた。「折れはしないが心萎える雨。目標を風邪ひかない、竿落とさないに下方修正(^-^;」とFacebookに投稿する。弱気の虫が騒ぎだしていた。
大会は釣り座抽選だった。午前中は艫が潮先、午後で上げ潮になれば舳が潮先になると予想していた。船は2隻。マゴチでいつもお世話になっているデカッw船長の船は左舷の胴が空いているだけ。しゃちょう船長の船なら四隅は埋まっているものの艫寄りの3番目、舳寄りの2番目が空いている。乗っているメンバーの顔触れを見てもデカッw船長船の方が厳しい感じだったので、しゃちょう船長の船のクジを引くかと決めた瞬間に「席空けて待ってましたよ!」と言われてしまう。「メンツが悪いからしゃちょう船のクジを引こうかなぁ~」と言うと「弱ッ!!」とまで言われてしまうと引きさがるのは癪に障る。デカッw船長の左舷胴に席を決めた。今思えば、これが本日2つ目の判断ミス。
少し時化気味の海を富津沖を目指して進む。雨足も強かったのでキャビンに逃げ込んだのだが、大会でキャビンの中が混んでいる。寝転がることはできずに、座ることに。船が揺れる。キャビンに入ると船酔いのリスクが上がる。ポイントに着いたころにはホロ酔いではなく泥酔一歩手前の船酔い状態。船が止まってもウネリが深く酔いが収まるどころかさらに酷くなっていく。食道に酸っぱい物がこみあげてくる。釣りに集中してれば船酔いは治ることもあるので、早く魚信を出して気分を奮い立てたいところだったが魚信がないっ!! 波の上下でタナを上手く取れてないかもとタナをいろいろ変えてみたがさっぱり魚信がない。本日の目標に「吐かないで最後まで釣る」と付け加える。
このあとは何も起きなかった。何も起きないけど10秒、長くても20秒に一度の頻度でタナを取り直し続けた。誘いを兼ねてマメにタナを取り直した者が勝つ!! そう信じているし、マゴチ釣りに関してはそれしかやることがない。ロボットのようにタナを取り直し続ける。そろそろ魚信るだろうという期待感があったころは船酔いで気分が悪くてもなんとか我慢できたが…魚信への期待が薄れていくに従い眠気(船酔いの症状?)が襲ってくる。雨はまだ降り続いており、震えるほどに寒い。運よく残っていたカイロを使ってなんとか寒さを凌いでいるという状況だ。「寝るな~寝たら死ぬぞ!!」なんてアホなことを考え始める。だって魚信がなくて暇なんだもんwww 濃厚コミットチーズは釣果にコミットしてくれなかった。
このまま一度も魚信なく終われば、完全試合をくらったようなものでそれはそれで負けっぷりがいいなと手も足も出ずにあきらめ気味。終了の30分前にこの日最初にして最後の魚信があった。小さな魚信が連続するがちっとも大きく引きこまない。イカかな? でもイカにしては引き込みに少しメリハリがある。リールを巻きつつ竿を下げて仕掛けを張って大きな引き込みを出そうとしたのだが…竿を動かしすぎて違和感を与えたのか離されてしまった。エサを確認すると脚の部分が削り取られたようになっていた。マゴチだったと思う。完全試合は免れたもののノーヒットノーランはやられちゃったってとこ。
へた釣りのスティーレ資金を持っていたのは同じ船に乗っていた底物スイーパーのM野名人。三塁打サイズ(58.4センチ)での優勝だった。船別で繰り上げ優勝となったのがかみやNo.1のドン・モーリー。ボウズをくらったへた釣りを憐れんでマゴチを1匹恵んでくださった(マグロの生ハムは残念賞の抽選でゲットした)のが異次元O塚名人。釣る人はちゃんと釣っているのだから何が悪かったのか考えなくてはまずいのだが、今日は精も根も尽き果てた状態。反省する気力すら湧かない。今やりたいことは1つだけ……温かい布団で眠りたい。
著者: へた釣り