起床は午前12時。30分後には北海道の師匠の運転で知床半島北側の真ん中辺りにある幌別河口へ。カラフトマスの爆釣ポイントだ。釧路からの道のりは3時間半。4時には竿を出して3年越しの悲願を達成する予定であった。知床の雄大なる大自然に抱かれるとカラフトマスなんて小事w
朝マヅメに釣り場に到着。知床の朝は早い。午前2時半には空が白み始め、4時の時点でヘッドライトも電気ウキも不要な明るさ。朝が早いということは釣り人も早い。既に7名の先客が大本命のポイントである河口付近に陣取っている。急いで釣具の用意を整え、足首あたりまで海につかって知床の海にルアーを投げ入れる。着水したら超スローリトリーブ。ルアーが底に触れる感触がある。浅い。リーリングの速度を調整しつつ完全に夜が明けきるまでキャストを繰り返す。
地元の釣り人の「今日はダメだな」というボヤキが聞こえる。太陽が完全に顔を出すと竿を片付け始める人も。一人も釣れていない。そのうち一人が河口から大きく離れた場所に移動し、しばらくするとカラフトマスを1本抱えて帰ってきた。ルアーが届く範囲にカラフトマスが接岸していることが確認できたわけで、ウキルアー、フローティングミノー、スプーン、タスマニアンデビルなどあの手この手を試してみたのだが、バイトがない。へた釣りだけ釣れないのではなく、北海道の師匠や地元の釣り人にすら魚信がないのだからもうお手上げである。
3時間ほど頑張った。頑張ったけど、何も起きなかった。カラフトマスだけでなく、カジカすら飛びついてこない。朝のチャンスタイムは不発に終わった。あとに待っているのは期待薄な消化試合のような時間。それでも海を前にし、釣具がそろっているのならキャストし続けるのが釣り人の本能である。頑張ってはみたが、「カラフトマス釣れてくれ~」という執着は既に失せ、「知床の大自然の中で釣りができるだけで幸せだよね」と諦観を抱きだす。ついに幌別河口には北海道の師匠とへた釣り以外の釣り人はいなくなった。
「ほかのポイントも見てみるか?」。北海道の師匠からの提案。どうせ釣れないなら景色が変わったほうが楽しいかもと即座にこの提案に賛成する。幌別河口を後にし、4個所ほどカラフトマスのポイントを巡ってみるが、どこも釣れている様子はない。釣り人の姿が全く見えないポイントも。ダメ元で釣り人ゼロのポイントで竿を振ってみた。30分ほど頑張ってはみたがノーバイトな上にちぎれた藻がルアーにからんで釣りにくい。「最初のポイントに戻ろうか? 同じ釣れないにしても海がきれいな方がいいでしょ」。この提案にも即座に同意。
11時前に新しい釣り人が誰もエントリーしていない無人の幌別河口に戻る。ここでもう1時間だけカラフトマスを追い求めてみたが……ノーバイト&ノーフィッシュにて、終了! 世界自然遺産である知床の雄大なる大自然に抱かれ、その中で釣りができただけで満足。カラフトマスが釣れたかどうかなんて、この満足感に比べれば小事、小事……なわけねぇだろっ! 滅茶苦茶悔しいよ! こんちくしょう!! 大遠征なので、いつものようにリベンジしてやるぅぅううとも書けないから悔しさが募る。
著者: へた釣り