年に一度か二度はこの釣行記を上げる意味があるんだろうか?と悩むことがある。そんな日は、自他ともに認める下手くその釣行記なんて釣れても釣れなくても上げる意味なんてそもそもないんだから!と自虐的な勢いに任せて書く。そして上げる。上げたら酒をかっくらって不貞寝する。
深場の勇者様に連れて行っていただいて年に一度の白間津・海正丸からシマアジチャレンジ。これまで6度挑戦して、シマアジは30センチ級の小型を2匹だけと全くうまくいっていない釣り物である。ただし、今回は前日に「シマアジ0~10匹」と好調。これならサイズを問わなければ本命ボウズはないだろうと、40センチ級を釣るを目標に設定した。深夜に起きてテレビを点けると、日本地図の大平洋沿岸が黄色く点滅している。フィリピンで地震があり、日本にも津波の恐れがあるため津波注意報が発令されていた。船出るかな?と不安になるが、待ち合わせの時間に勇者様が迎えに来てくださったのでたぶん出る。
「今日釣れなければシマアジは一生釣れないってほどの良い日ですよ」と、釣れるのは当然、あとはいかに大きなシマアジを釣るかに釣行の成否がかかっているなんて話をしながら白間津港に到着する。集合時間前なのに船宿に電気が点いていた。津波注意報が出ているため、出船の判断が行われていたようである。しばらく船宿前で待機していると、「荷物を運んで」との指示がある。定刻より15分遅れての出船となった。陽が昇ったあとでの出船となり、朝一の激アツタイムを逃したが、名人さんなら本命10匹の「良い日」である。1匹、2匹は損したかもしれないが巻き返せるつもりだった。
船は港を出てすぐのテトラ帯近くの浅場のポイントへ。水深は20メートルくらいで船長からの指示は「14メートルから探って」だった。ビシを14メートルまで落として50センチ刻みステイ5秒くらいのシャクリで10シャクリ。9メートルくらいまでを探る。探見丸持参の勇者様は「底から8メートルくらいまで反応でぎっしり」と教えてくださる。自然シャクる腕にも力が入るが…な~んにも仕掛けに触れてこない。オキアミがそのままの状態で戻ってくる。コマセをマメに詰め替えて休まずシャクっていればそのうち「良い日」になるはずと信じていたが…一度も魚信を出せずに時間が過ぎていく。
勇者様によれば「3個所めまでのポイントでは反応はあった。でも全くオキアミを追っている感じではなかった」。3個所目以降は「まったく反応がなくなり、ごくたまに通りすがりの魚がいるだけ」だったようだ。省エネタイプの釣りの名人である勇者様は置き竿にして反応が現れるのを待つ作戦に。汗かきタイプの釣りの愚人であるへた釣りは頑張ってシャクリ続けるも全く埒が明かずノーピクのまま。8時半くらいになるとさらに状況が悪くなる。急に風が吹いた。風というのは少しずつ強くなっていくものだと思っていたがそうではなかった。海面をざわざわさせながら風が沖から船に向かって近づいてくる。ざわざわに船が飲み込まれるといきなり強風が吹きだした。
風が吹こうが波で荒れようがシマアジ釣りはシャクリ続けるしかやることはない。反応がないなら出るまでコマセを撒くしかないとシャクリ続けるも風はどんどん強くなっていき、10メートルを超え15メートル近く吹いているのでは? 凪で魚信を出せないのに時化で仕掛けが暴れる状態で魚信なんて出せるわけがない。「良い日」になることを望んだ1日が「最悪な日」へと変わっていった。ノーピクのまま残り1時間でコマセが切れた。1000円払ってコマセを追加してなんとかなる感じではなかったので判断に悩んでいると、置き竿でコマセが余っていた勇者様からコマセを分けていただいた。沖上がりの時間まで釣りはできたが、まさかのノーピク。本命ノーピクではない。小魚・ゲスト含めてノーピクである。沖上がり後船宿で饗されたうどんを虚脱しながらすすり、「もってないね」と嘆く。
著者: へた釣り