暑かった。死ぬかもってくらい暑かった。こんな日に釣りに行ってはいかんよね。小坪港・洋征丸からカツオチャレンジ2023。キハダなんて欲張ったことは端から考えていない。サイズ問わずカツオを1匹釣って食べたいという望みは2年連続でノーピクに散る。すぐ隣で深場の勇者様は……。
不要不急の外出を避けるべき猛暑日になることはニュースで騒いでいたので知ってはいた。海の上なら風も通るだろうしそんなにつらくはないだろうと考えていたがとんでもなかった。深夜に勇者様に迎えに来ていただく。カツオならたっぷり入るクーラーを引っ張って待ち合わせ場所に向かったが、夜中でも汗ばむ暑さ。港で準備をしていても汗が吹きだしてくる。竿とロッドキーパーは船宿でお借りし、テンビンやビシ、仕掛け、餌まで勇者様に用意していただく。昨年は船中ノーピクで終わったカツオチャレンジだが、今年は好調とはいかないものの釣れてはいるので1匹くらいなんとかなる…かな?
船は港を出て昨年同様小田原沖へと思っていたら減速したポイントからは見慣れた島が見える。初島の沖で釣り開始となる。まずはカツオ狙いからという指示がありタナは20メートル。22メートルまでビシを落として22・21メートルでコマセを振り出して20メートルで待つ。コマセは2回振って全部出し切るようにと指導されたが2振りでビシを空にするのはなかなか難しい。タナで待つのは30秒ほどで魚信がなければハンドル1回転タナを上げて誘ってそれでも魚信がなければ仕掛けを回収しコマセを入れ替える。カツオ釣りはかなり勝負が早い釣りのようで1分も魚信がないと自主的に回収しなくても船長から移動の合図がある。
へた釣りの釣り座は左舷の前から3番目。舳と2つ左隣となる胴の間でカツオが釣れたのを確認する。カツオがいるならチャンスはあるはず。左隣の人の竿がほぼ直角に曲がる。船長が飛んできてサポートしている。引きでマグロだと分かったようだ。何度かドラグを引き出されながら上がってきたのはキハダマグロの若魚でキメジと呼ぶらしい。その後、同じ人にもう一度マグロらしい魚信があったがこれはハリス切れでバレた。それを見て勇者様はカツオの仕掛けからマグロの仕掛けに付け替えていた。へた釣りの本命はカツオなのでカツオの仕掛けのまま頑張ったが……ほぼ無風で太陽を遮るものがない船上は灼熱地獄。どんどん体力と集中力が奪われていき…釣りをやめずに続けているだけで十分頑張っている気になり始める。
指示ダナが少しずつ深くなっていく。25メートルになり、30メートルになり、40メートルに。カツオはいないわけではないがキメジと混泳している状態でカツオ狙いのタナは指示されなくなった。このタイミングでマグロの仕掛けに換えるようにと指示される。仕掛けの長さが長いので指示ダナの5メートル下まで落として1メートル刻みで2回コマセを巻いたら指示ダナに合わせる。竿を下げた状態でタナを合わせたら動かさずに待つ。勇者様の竿が大きくしなる。電動リールがうなりを上げてのやり取り。船長だけでなくいろんな人が集まってくる。勇者様いわく「道具が万全なら楽勝」でタモに収まったのは26キロのキハダマグロ。こんなのが普通に相模湾を泳いでいるんだなと驚いた。
一方のへた釣りはというと教わったとおりコマセを巻いてタナで待ってを繰り返しているものの一度も魚信なしでノーピク継続中。大きな魚はへた釣りの餌を避けるという傾向…あきらかにあると思う。もう一度勇者様の竿が大きくしなる。キメジかな?と少し強引なやり取りで海面に姿を現したのはご立派サイズ、3.6キロのカツオだった。この魚は脳天〆したらへた釣りのクーラーに入れてもらえる。カツオを釣るという目標は達成できそうな気配はないが釣れたてのカツオを食べることはできそう。暑さと戦いながら最後まで頑張ったと書いて締めたいところだが…暑すぎて水分補給や冷感スプレーを使って休憩を挟みながらでないと釣りを続けられなかった。無風の猛暑日には二度と釣りには行かないと心に誓う。
著者: へた釣り