台風は去ったが釧路の海はやや荒れのまま。風こそ強くないものの波2メートルの予報に船が出るのかしらと不安だったが無事出船した。釧路港・海攻から北海道五目へ。ヤナギノマイを中心にタラなどいろんな魚が釣れるが本命は味噌漬けにして絶品のアオゾイ。3年ぶりに釣れたよ。
釧路の遊魚船は幣舞橋のたもとからのびる岸壁から出航する。日本の東端に近い、ということは日が昇る時間が早い釧路の船の出航時間は早い。海攻は4時30分に出船。出船30分前に集合なので4時までに船の前に行かなくてはならない。宿泊しているホテルから乗船場所までは徒歩10分くらいなので3時30分にホテルを出る。写真を撮りながら岸壁に辿り着くとへた釣り以外は既に到着済み。前日のうちに北海道の師匠にクーラーを運び込んでもらっていたので、そのクーラーを探すと右舷の舳先に置いてあった。右舷舳は宇佐美・治久丸での定位置なのでいい予感。
約1年ぶりに半田船長にご挨拶。愛想のよい船長で船上のマイクパフォーマンスが面白いので釧路のフィーリング船長と勝手に呼んでいる。ただし、この日半田船長からもたらされた情報はあまり楽しいものではなかった。「アオゾイはもう1カ月早くこないとね」。7月上旬まで絶好調だったアオゾイはここのところ沈静化しているのは感じていたが、その理由を教わった。6月から7月上旬はアオゾイの産卵期で水深50メートルくらいのポイントにのっこんでくるので鈴なりコイノボリが発生しやすい。現在は産卵を終え深場に落ちていっている最中でいろんな水深を攻めて捜索中だという。船は定刻より5分早く出航する。濃い霧の中釧路港の防波堤を越えると海はウネリ始める。上がって下がってという単純なウネリではなく、上下にも左右にも揺られる三半規管を直撃する揺れ。舳は当然一番揺れるわけで久しぶりに船酔いの前兆が……。
船は30分ほど走って止まる。止まればなんてことない海なことを祈っていたが船はグラグラと揺れ続けてなんてことある。胸が悪く食道に酸っぱいなにかがこみあげてくるのを我慢して釣り開始。水深は50メートルくらい。船長のアナウンスは「いい反応ですよ」。高活性なときは落とせば食ってきて、追い食いバリバリ針数釣りとなるが、「この反応でつかないの?」「潮も動いてるのにな」と船長はマイクを使って言い訳にも聞こえる釣況の生放送。釣り始めて15分してようやく魚信がある。引きに重量感がないのでアオゾイではない。ヤナギノマイと北海道ではガヤと呼ばれるエゾメバルの一荷だった。バリバリとは魚信ってこないがまめに誘うと魚信が出てこのポイントでヤナギノマイを3匹追加。アオゾイの気配はないようでもう少し深いところへ行くとのアナウンス。
次のポイントは水深70メートルのポイント。釣況はあまり変わらずヤナギノマイがポツポツと釣れてくるだけ。「根がきついので根掛かり気をつけて」とアナウンスされたので慎重に底にオモリをつけてからタナを取り直そうとすると竿先がガコッと跳ねるような魚信。もしかするともしかしてと竿を持ち上げ針掛かりを確定させると重量感のある引きに変わる。ドラグを効かせながら巻き上げる。3年ぶりのアオゾイだった。半田船長から「頑張って粘った甲斐がありましたね」。ポイントを何度か移動してこれはアオゾイの一荷以上確実な引きがあったがマタラのすれ掛かりでがっかり。1匹目のアオゾイから3時間ほど間があいて2匹目のアオゾイ。「満足ですか~」と聞かれたので「2年間釣れなかった物が2匹も釣れたから満足ですよ~」と答えておく。
沖上がりの時間が近づき始めると魚の活性が少しだけ上がりだす。艫の方でアオゾイがポンポンと釣れる。なのにへた釣りの竿にはヤナギノマイの小型のしか食ってこない。誘えばヤナギノマイなら8本針に4匹、5匹まとめて釣れるがキープしても食べる身が少なすぎるというサイズも。船長から「アオゾイは底を1メートル切って誘わないで置き竿で」との指導が入る。他動性中年であるへた釣りがうまくいかない釣りはいい確率で同じ指導が入る。指導は無視する。ウネリが高いので180センチの短くしかも硬めの竿を使っていると置き竿にしても仕掛けを海中で動かないようにするのは不可能。アオゾイを釣っていた人は3メートル以上の柔らかめの竿を使って置き竿にしていた。さらに針にはイカゲソと思われるエサが付けられていた。好調な艫の人を尻目にここではアオゾイを1匹追加できただけでクーラー三分目で沖上がりの時間に。
著者: へた釣り