頭の中はいつでも、今日こそはクロダイ!!なのだが、クロダイだって釣られちゃえば一巻の終わりなわけでそうはたやすく釣られてはくれない。クロダイチャンス!?という一瞬はあったが、漁師さん優先なのでなんともならず、メジナを108匹釣るという妙なことに意地になって煩悩を溜めてみた。
本日も日の出を待って元気に堤防へ。朝から晩までクロダイを狙えるのはこの日がラストチャンス。フグが来ませんようにと祈りながら竿を伸ばす。朝一はメジナの入れ食い。直接コマセを打ってないクロダイを寄せたいポイントまで掌サイズのメジナが飛び出してくる。これはいつものことなので想定内。メジナの魚信がなくなり、付け餌が残るようになったらクロダイのチャンスタイムなのだ。果たして……1時間ほどすると付け餌が残ってき始める。フグもいない。
この堤防で釣るようになって3年目。クロダイポイントで付け餌が残る状態にまで持っていければ、かなりいい確率でクロダイをゲットできている。一投ごとにドキドキしながらウキを流していたのだが……沖から漁師さんの船がへた釣りのいる堤防目指して一直線にやってくる。嫌な予感。嫌な予感は的中する。まさにクロダイを寄せているポイントの真上にボートを止めて、貝を採り始めた。漁師さんが貝採りのポイントにするくらいなのだから、クロダイだっているよなぁ~と、このときは妙に納得。
昨日、堤防周辺の貝はほかの漁師さんがあらかた採りつくしているので、早々にボートは立ち去る。時間にして10分以下だったと思う。クロダイポイントに仕掛けを入れてみると……あれ? 小型のメジナが飛び出してくる。つまり朝一の状態に戻ったわけだ。それまでの期待度が高かっただけに、もう一回、コマセの打ち直しかよ、とガックリきたが、海は漁師さん優先なので仕方がない。掌メジナを釣りながら再度、クロダイが寄ってくるのを待つ。この時点で釣ったメジナの数は30匹を超えていた。へた釣りは小型メジナを10匹釣るたびに針を交換するので、メジナに関してはよほど魚信の間隔があかない限り釣った数を正確に把握している。
その後クロダイがいる?という雰囲気にはならなかった。というのもほぼ1時間おきに5人の漁師さんがやってくる。そのたびポイントがリセットされるので、このあたりで目標変更。年末に除夜の鐘を聞かなかったので、代わりにメジナを108匹釣って煩悩を昇華させよう。こう決めたのは午前9時前。このとき既に50匹を超えていたので、楽勝だと思っていた。漁師さんが来ているときは穴釣りで休憩。漁師さんがいなくなったら真面目にウキ釣り。穴釣りは昨日もやったので釣れて来るのは小型のムラソイ、大型のベラ、そしてカニだけ。暇つぶしだけど、これはこれで楽しい。
昼ごろになるとメジナの活性が落ちる。ハリスを1.5号から1号に、針をグレ針の5号から4号に変更し、本気で108匹を目指す。いつも釣っているポイントだけでなく、テトラ際、藻際にもコマセを巻いて、正午のチャイムを聞いた時点で88匹。あと20匹なら楽勝だと思っていたが、どんどん食いが渋くなる。コマセに狂わず、ウキをモゾモゾと引き込む魚信ばかりでそのままウキが海面に戻ってくる。100匹目をクリアしたのが午後2時少し前。108匹目は午後2時52分。日没までまだ2時間近くあったが、これを持って納竿。さすがに飽きたというのがその理由。煩悩が昇華するどころか、大物釣りたい~って煩悩が溜まった気がする。
著者: へた釣り