初釣り朝の部は強風、コッパ、フグの三重苦に陥り、ちょっと休憩を挟んで心機一転と行きたいところだったのだが、風はいっこうに吹き止む気配はなく、むしろ強くなっているようにすら感じる。それでも何かの間違いを期待して昼過ぎから堤防に立ったのだが、大物の気配なしで日没終了。
半歩踏み出せば寒空の下で海の中、ときどきゴウーという音を立てて背後から吹いてくる風に内心恐れおののきながらも、竿を手にすれば堤防の際に立ってしまう。強い風が吹くと後ろから押されたように感じる。全く怖くないといえば嘘になる。向きを考えて置いておかないとロッドケースが転がるのだからおよそ釣り向きの天気ではない。波はない。陸からの風なので、波と風がちょうど相殺しているような感じで鏡面のような海。風が強く吹くと海面を走っていく風紋が現れる。
こんな状況で5.3メートルの磯竿の面倒をみる自信はないので、1.1メートルの短竿を使って堤防の際を狙って(当然だがテトラに降りるのは無理)の穴釣り。アオイソメを忘れてきたのでオキアミを餌に釣ることに。メバルやアイナメがいるときは虫餌が必須だが、カサゴが相手ならオキアミがいい。ケーソンや岩に擦れて外れるために餌持ちは悪いが、カサゴの目の前にオキアミを送り込むことに成功すれば間違いなく飛びついてくる特餌だ。カサゴにはカワハギ釣りで余ったアサリの剥き身も実績が高い。
風が強いので、狙った岩の隙間に錘を送り込むのに苦労する。最初、根掛かりの少ない0.5号の錘を使ったのだが、空中で煽られて思った場所に錘を落とせない。錘を2号に変えてなんとか狙えるようになった。ケーソンの上から限定なので狙えるポイントは少ないが、それでもムラソイ混じりでカサゴが釣れる。ガッガッという魚信があって短竿を根元付近からひん曲げてくれたのが23.5センチの良型カサゴ。これが2012年初釣りで最大の獲物になった。
穴釣りは面白い釣りなのだが、釣っている堤防が狭いのであまり長い時間は楽しめない。どの隙間に錘を落としても魚信がなくなると新しい魚が穴に居つくまでポイントを休ませるしかない。強風は吹き続けていたが、ほかにやることもないので、苦労するのは承知で磯竿を伸ばす。竿が風に煽られ、道糸まで引っ張ってくれるのでいつも使っているG2の仕掛けでは釣りにならず、持ってきたウキの中で最も浮力の大きい3Bのウキで釣る。
いつもどおりケーソン際にコッパを足止めして藻際から沖に向けてウキを流して良型を仕留めるつもりだったのだが、風にウキや道糸をとられて思うようにウキを流せない。もっとひどいことに思った場所にキャストすらできない。コマセも風で流されて……気が付くと大物を寄せるつもりだったポイントの水面をコッパが跳ねているという全くダメダメな状態に。こうなったらコッパと遊ぶしか道はないわけでメジナの数釣りを楽しんだ。最大サイズは22センチの掌メジナ。
著者: へた釣り