大漁を疑ってなかったというほどに腕に自信はない。でも、宇佐美までプチ遠征し大好きなウィリーをシャクればそれなり以上の釣果を出して初釣りは成功できると思っていた。それなりでよかったのに、それなりの釣果が果てしなく遠かった。カイワリ2匹いるから初釣り成功ってことにしといて。
宇佐美・治久丸からカイワリ五目の午後船で2017年の釣りをスタートさせた。宇佐美港に11時半までに着けばいいので、のんびり釣行。品川駅を8時前に出る東海道線に乗れば余裕を持って間に合う。年末に予定していた釣り納めが悪天候で流れたので2週間ぶりの海だ。宇佐美駅に降り立ち、海が見えただけでテンション↑↑↑↑↑である。軽く食事をし、港で海中を眺めていると海底で蠢くヘビのような物が……2メートルはあろうかというハモ? それともウミヘビ? 更には巨大なアカエイまで。珍しい物が見られるということは海の様子がいつもと違う可能性がある。なんだか嫌な予感。片舷4人ずつの8人で定刻に船は港を離れる。
この時期のカイワリはホテルサンハトヤの沖合いにある噴火口と呼ばれる水深90メートルくらいのポイントで釣られる。マダイが混じることもあるポイントだ。船長からの指示は「底からハリス分切って12メートルまでシャクって。タナで待つ人は8メートルで」だった。こういう指示のときは3メートルから50センチ刻みでシャクって10シャクリめ、指示ダナである底から8メートルで魚信が出ることが多い。カイワリ狙いなのでスティ0の高速シャクリでスタート。魚信なし。もう一度底から3メートルまで落としてスティ1秒。といった具合に魚信が出るシャクリの速度を探っていく。スティ1秒で魚信が出た。シャクった直後にクンッと穂先を持って行くカイワリらしい魚信。重量感はないが引きはシャープ。20センチくらいのカイワリだった。オレンジのウィリーに食ってきていた。ウィリーに反応してくれてるから今日はイケるかもぉ~。
ウェルカム・カイワリを手にして初釣りでボウズだけは避けたいというプレッシャーからは解放される。次の魚信もすぐに訪れた。スティ2秒のシャクリでシャクリ終えた瞬間に穂先が沈む。ちょっとだけサイズアップし22センチのカイワリ。今度は下針のオキアミに食ってきた。次の魚信もシャクった直後にすぐにあった。今度は少し重量感があり、よく引く。カイワリなら25センチ超えな手応え。もしかしたらマダイかも?とニヤニヤしながら手巻きで巻いていたらバラした。バレたってことはカイワリだった可能性が高い。あ~あとは思ったがこの時点ではシャクればいくらでも魚信があると思っていたので、あまり気にならない。
ところがである。このバラシを最後に全く魚信が出せなくなる。船長の口から船上で最も聞きたくないセリフが漏れる。「反応出てるのになぁ、食ってきませんね~」。船長がお手上げの時に出る、言い訳ともボヤキともつかないこの言葉を、2017年の初戦で、しかも東京湾ではなくプチ遠征先の宇佐美で聞くことになるとは……。ポイントを大きく移動して網代寄りや初島沖を攻めたのだがどこもパッとしないどころか全く魚信がない。この間、唯一釣れたの……コショウダイの幼魚?ではなく、チョウセンバカマという珍しい魚だと教えてもらう。珍魚が釣れるってことはやっぱり海の様子がおかしいってことかな?
結局噴火口に戻った。治久丸の午後便の沖上がりは17時。日が傾けばもしかして夕マヅメのチャンスタイムがあるかもと期待して最後まで諦めずにシャクリ続けたが、何も起きなかった。意地になってシャクり続けたのでいい筋トレ&ダイエットにはなったかなぁ~っと。船長に「一昨日は貸し竿の人でもバンバン釣れてたのに…へた釣りさんが来た日は本当に釣れませんね~」と言われる。へた釣りだけが釣れないのではない。カイワリは船中10匹も上がってないと思われる。
著者: へた釣り