10時に家を出て東海道線と伊東線を乗り継いで約2時間。堤防に立つと、ほぼ無風でべた凪の海。もう少し波っ気がほしいかもなんて贅沢なことを思いながら、久しぶりに磯竿を伸ばして海と対峙する。コマセを撒くこと15分。水面を漂っていたウキがスゥーーと静かに海中に消えていく。
年無しクロダイを数尾あげたことがある浅場ながらも実績のある堤防へ。少々寒いが波穏やかでウキ釣りにはベストコンディション。干潮の時間帯に釣り場に入ったので、ウキ下は2.5メートルでスタート。浅いので仕掛けとコマセを同調させやすく、しかも餌取り(コッパメジナ)を分離させやすいウキフカセ初心者向きの釣り場だと思う。周辺には釣りのガイドブックに載っているようなポイントが数多くあるが、万年初心者のへた釣りはこの堤防が大好きなのだ。
この日もメジナは高活性。ウキが着水すると同時に仕掛けの長さ分くらいリールを巻いてハリスを張らないと仕掛けがなじむ前に餌を取られる。餌を取っていくのはコッパメジナだと思われるので、足元に打つコマセの量を増やして分離を試みる。少し遠いポイントで良型メジナかクロダイを仕留めるという計算。が、どんどん潮が満ちてくる。堤防に対しては当て潮になり、払い出すので、足元に打ったコマセは広範囲に拡散している感じ。
こうなりゃ、メジナの数釣りを楽しむしかない。コマセで活性が上がったメジナが餌に飛びついてきたらサイズを問わずに片っ端から釣り上げていく。本格的にウキ釣りをしている人には「そんなサイズ釣って楽しいの?」と言われそうだが、釣れないよりも釣れる方がへた釣りは楽しい。自分の腕ではサイズを選べない状況になったら、コッパでも掌でも大歓迎なのだ。
サイズは選ばずと思っていたのだが、この日のメジナは良型とは言えないまでも、堤防ならそこそこサイズが連発する。思った以上に抵抗して楽しませてくれたのは、25センチくらいのメジナたち。足裏と言うにはちょっと小さめだが、掌にしては大きいものが3匹に1匹くらいのペースで混じってくるのだから、テトラ際で掛けて主導権を取られると潜られはしないかとドキッとする。
掌以下サイズはほとんどおらず釣れたのは18センチ~25センチばかり。こうなったら正真正銘足裏サイズを釣ってやろうと、日が落ちる直前まで粘ってみたのだが、同じ魚が針に掛かってるんじゃない?と疑いたくなるほどに25センチを超えることはなかった。釣っている間中、ほぼ入れ食いだったので、クロダイのチャンスタイムはこの日はなかった。当て潮のせいで堤防近くまで仕掛けが流れるとベラが釣れたのが唯一のメジナ以外の魚。
著者: へた釣り