東京湾口で釣れたクロムツを美味しいと喜んでいると、萬栄丸で釣れるクロムツはサイズも味も一味違うと煽られ続けていた。確かに40センチ超えの良型の出現率が高く、食べきれないほどに釣れている報告を見て羨ましく思ってはいた。一緒に行きますか?とお誘いされてデビュー戦へ。
何度か同じ船に乗ったことがあるラーク名人から内房勝山港・萬栄丸の半夜クロムツのお誘いがあった。深場の勇者様、ラーク名人の釣友のI垣名人と4人での釣行となる。単独釣行むっつり派のへた釣りにしては珍しく賑やかな釣行だ。いい席を確保したいので9時には出発するというラーク名人の車に乗せてもらって勝山へ。16時半出船なのに随分と早くからと驚いたが、アクアラインに入るとI垣名人から電話があり「席どこにしますか?」。既に到着している模様。さらに数分後に今度は深場の勇者様から「左右の舳の1番・2番を押さえました」との連絡。席確保のためにすごく早く出発したつもりだったが、出遅れた。気合の入り方が半端ない。出船まで約6時間、受付まででも約5時間ある。釣りの話をしていればあっと言う……少し時間を持て余したので次に行くときは堤防用の竿を持って行こう。
船は定刻に港を離れる。見留船長からは「20~30分走ります」とのアナウンス。萬栄丸に何度も来ている人は沖のポイントまで行けなかったとがっかりしたそうだが、右も左も分からないへた釣りはそんな近くのポイントでクロムツが釣れるなんて勝山すげぇなと喜んでいた。お気楽なものである。顔見知りのりょうさんが仲乗りとして乗っていたのでアウェイ感がなかったのもうれしかった。りょうさんからは先糸や仕掛けなどのアドバイスも事前にいただけたおかげで、トラブルなく釣りができたので感謝。最初のポイントは何もなし。次のポイントでまだ陽が出ているので8メートルから70センチ刻みで誘い下げていると竿先ガコッガコッなクロムツの魚信あり。針掛かりを確定させてから萬栄丸ルールに従ってフルドラグで全力巻き上げ。35センチのご立派サイズの本命で幸先よくスタートする。
次の一投でも底から6メートルくらいですぐに竿先ガコッガコッ。25センチを追加。サバに苦しんでいる人もいたので、3本針で装飾一切なしの仕掛けがうまく機能した。このまま一投一匹ペースなら40匹も夢じゃないかもなんてことを思い描くがさすがにそこまで甘いわけがなく、船にライトが灯ると少しペースダウン。サバが混じり出す。それでも3本針にクロムツ・サバ・クロムツなんて一荷も発生し、へた釣りにしては順調には釣れ続ける。空が暗くなったので少しずつ探るタナを上にする。18メートルから誘い下げて15~12メートルでクロムツの魚信が出ることが多かった。かと思うとほぼ底でクロムツなんてこともあったので飽きずに広く誘う人ほど報われるという多動性向けの展開。目標だったツ抜けまではあっさり達成。35センチ級も4匹いるので既に満足♪
クロムツ釣りでサバもやっかいだがアジも相当邪魔であることを知った。アジとクロムツはタナが近いらしく、コツンという魚信だけ出して針掛かりしないのはアジ。エサをむしり取っていくことはないが、ノイズのように発生し続けるアジの魚信に集中力を削がれる。たまにしか針掛かりはしないが針掛かりすれば巻き上げなくてはならない。底から20メートルより上はサバ勇勢で、誘い下げていくとアジ優勢になっていく。で…肝心のクロムツの食いダナは……? 完全に見失ってしまう。デッドスローで底から巻き上げてタナを探るという方法を教わったがアジのせいでタナを特定できない。それでもポツポツとはクロムツを釣ることができて残り1時間の段階で16匹まで到達。クロムツの自己最多は15匹なので記録更新には成功した。あとは何匹まで数を伸ばすかであったが……。
残り1時間はサバ(船長いわくペロペロ鯖)の猛攻に遭う。序盤はほかの人が5本針&装飾ありな仕掛けを使っていたのでへた釣りはサバに捕まりにくかったが、みなさんサバ禍に嫌気がさしていたようでだいたい3本針になっていた。高いタナにも底近辺にも大挙してサバは押し寄せてしまっている。クロムツかもという魚信は何度かあったが高速巻き上げ中にサバに食らいつかれるとクロムツは振り落とされてしまう。全くなす術なし。ラーク名人によれば「底から3メートルでじっと待つと釣れた」とのこと。船中スミヤキにPEラインをスパッと切られるという事案が何件か(すぐ隣でも3件)発生していたが先糸フロロ14号+黒PEだと被害はなかった。先糸には何か所かキズがあったので都度交換が正解と思う。黒PEはこの部分がオマツリすると夜釣りの船上では極めて見えくいというのが欠点かも。解くのに仲乗りさんが苦労されていた。
著者: へた釣り