カイワリの次に爽やかな夏酒によく合う脂の乗ったお魚は…なんて食い意地だけで釣り物を選ぶとこういう目に遭う。三崎港・えいあん丸からアカムツが出船しているのに気づき、アカムツなら間違いなしと迷わず予約。1匹でいいからと考えていたが、その1匹が果てしなく遠かった。
三浦海岸駅に7時の送迎を利用して三崎港へ。オニカサゴ釣りの盛期は送迎を利用する電車釣行組が多数いたが本日はへた釣り1人だけだった。大船長の運転で港を目指す間に「アカムツは1匹釣れたら十分というくらいのつもりでやってくださいね」と言われる。港に着くと女将と若女将が元気にあいさつしてくれる。仲良し家族で運営しているという雰囲気に和める船宿である。アカムツ船は左舷3人、右舷2人と空いていた。船長は若船長が担当だった。
ポイントは20分ほど走った水深290メートルから。仕掛けは5本針を用意していったが、底べったりを狙った方がアカムツを手にする確率が上がるというアドバイスに従って3本針に減らす。オモリは200号。船宿支給のサバ短に一番下の針だけツボ抜きしたホタルイカを付ける。あとは底を大きく切らないように注意しながら、底から2メートルくらいを落とし込みながら誘うという作戦。潮は緩く釣りやすいはずなのに……何も起きない。魚信ほしさにオモリ着底後たるませてみても、ユメカサゴどころかドンコ(チゴタラ)すら食ってこない。
アカムツの魚信がたくさんあるとは考えていなかったが、場所を変えても、水深を変えても、何度仕掛けを投入しても餌が投入したときと全く同じ状態で戻ってくるのであるから完全にお手上げである。誰か釣れている人は?と周りを見回しても誰も釣れている人はおらず、お手本にできる人がいない。釣れていない釣り方を繰り返すしかない無為な時間が続く。あまり底を大きく切らないように、でもしっかり誘ってと考えて竿を操作するが…魚信がない。仕掛け回収の合図で全力で巻いてくるととりあえず本日最初のお魚たちが付いていた。小型のギンメダイとユメカサゴだった。
船長は見切りよく新しいポイントを流してくれるが、状況は全く好転しない。周りを見るとへた釣りを含めほぼ全員、マシュマロボール付きの仕掛けを使っているのに気づく。活性の悪いときほどシンプルな仕掛けがよいと信じているのでアカムツ用のマシュマロボール枝スを1本だけにして、ホタ針15号を結んだだけの枝スに変えてみると、オオメハタ(シロムツ)が掛かった。いつもならなんだシロムツかとぞんざいに扱うところだが、本日最初のキープ魚。写真を撮ってしまう。
シンプルな仕掛けがよかったのか、単にそういう時合だったのか、魚が掛かるようになってきた。といってもまずはカラスザメを2匹。棘に毒があるという人がいるので針を外すのが面倒な魚だ。仕掛けをグチャグチャにされることもある。もしかしてキープ魚はシロムツ1匹だけかもという危惧を覚える時間になってきた。なんとか駆け込みで、シロムツ2匹+ユメカサゴの一荷がついてきてキープはシロムツ3匹に。天ぷらにして食べる。アカムツは船中0だった。
著者: へた釣り