「こんな日もあるよね」以外に自分を慰める言葉が思いつかない。2キロ以上のご立派サイズを夢見ての白間津シマアジ遠征。前日までの釣果を見ると型を問わなければ釣れて当たり前と考えていた。ところがである。朝マヅメのチャンスタイムは沈黙。魚の気配を感じることなく撃チ~ン。
深場の勇者様に3時に迎えに来ていただいて海正丸へ。シマアジ遠征は今回が3回目。1回目は本命こそボウズだったがメジナやイサキが釣れた。2回目の釣行では25センチくらいと小ぶりではあるが本命のシマアジを無事ゲット。3度目ともなれば、オオカミは高望みのしすぎとしてもシマアジらしいサイズを釣ってドヤッ顔を決めたいものであると意気込んでの釣行だった。前日の釣果は「食い悪かった」とはあるが、それでも「0~6匹」だった。型を見るのは当たり前のつもりだったのだが……。
真っ黒なうちに白間津港に到着し腹ごしらえ。時間に余裕があったので車で仮眠し船長が到着するのを待つ。海正丸は予約時に釣り座を指定できるため、勇者様が右舷の艫、へた釣りは左舷の艫。勇者様が船長から仕入れてきた情報によるとシマアジは朝マズメ勝負で釣果のうち半分以上が朝のうちにに釣れているとのこと。ポイントは港を出てすぐ。出遅れは惜しいので出船したらすぐにビシにオキアミを詰め、仕掛けを付ける。全長2.8メートルの3本針仕掛けでうち2本はウィリー。下針にだけオキアミを装餌する。船長からの指示は「海面から12メートルから7メートルまでやってみて」だった。
期待度が高い朝マヅメの第一投。かなり気合を入れて合図とともに投入する。探る範囲は5メートルなので50センチ刻みで10回シャクって誘う。スティ時間はやや長めの3秒から5秒くらいで始めた。高速シャクリではないのでエサ取りを含め何かは食ってくると考えていたが、魚がウィリーにもオキアミにも触れてくる気配がない。タナを2往復して仕掛けを回収するとオキアミが装餌したままの状態で戻ってくる。まだコマセが効いてないのかな? コマセが効いて魚が寄ってくれば…釣り初めこそ前向きに考えていたが次第に釣れる気がしなくなってくる。ごくたまにオキアミがいじられるが、ここまで魚っ気を感じなかったのは白間津遠征3度目にして初めて。
そうこうしているうちに日が昇り切ってしまい朝マヅメのチャンスタイムは終了する。7時30分ごろにようやく本日1匹目の魚。10センチくらいのキタマクラ。カワハギの仕掛けにならともかく、よくもまぁシマアジの仕掛けに掛かったものだ。こいつが釣れるときは潮が動いていないことが多い。今日はダメかもと気づき始める。8時30分ごろに立て続けにメジナを2匹釣るがいずれも20センチに満たない若魚だったのでリリース。このあと長い沈黙に突入する。船上、多くの釣り人が諦めはじめて置き竿にする中、諦めの悪さだけが取り柄のへた釣りは頑張ってシャクり続けた。
シャクらないとシマアジを手にする確率は下がる。その後1時間魚信なし、さらに1時間魚信なし。「やる気だせよ、ゴラァ」と海に向かって叫びたくなっていると、シャクった直後に竿先をプルルと震わせる魚信。シャクるのをやめて待つと竿をグンッと持っていく。シャクリ続けた者だけが報われるな展開だった。魚種は不明だが手応え的にキープサイズなのは確実。魚影が見えた。銀色に輝くシルエットを確認。本命シマアジだ。ここは大事に行こうとタモ取りすることにしたが、今思えばこれが判断ミス。もたもたしているうちに海面でバレた。釣り上げれば船中唯一のシマアジになったはずなのに…無念。勇者様はさすがで良型メジナとウマヅラハギをキープ。へた釣りはボウズ補填で船宿からアジの干物をいただく。
著者: へた釣り