シャクリ続けた者が勝つ。他人様に自慢できる腕はないがしつこさだけは負けない、悪条件の中、執念で白間津のシマアジを手に。ボウズこそ免れたがいろいろ反省の多い釣行だ。巨大青物に針を伸ばされ、魚信はあれど掛からず。掛かってもバラシ多発。時化のせいばかりとは…。
深場の勇者様に3時に迎えにきてもらって、海正丸に向かう。白間津でシマアジを狙うのはこれが2回目。前回は4月に釣行しイサキとメジナのみで本命ボウズだった。このときはあまり釣況が芳しくなく、ボウズ覚悟の釣りだったが今度は違う。先週は竿頭の人なら5匹近く釣れている日が続き、5.5キロなんてオオカミサイズもあがっている。サイズを問わなければボウズはないだろうと楽観視しての釣行だったが南房の釣りの神様はへた釣りのことがあまりお好きではないようで…時化、低活性に加えて雨という嫌がらせのようなコンディション。頑張った。頑張って少しだけ報われた。
港には4時30分くらいに到着した。既に先着の車が2台。埼玉と横浜ナンバー。集合時間の5時が近づくとどんどん人が集まり始め、片舷6人ずつの12人での出船となる。海正丸は予約順で釣り座を指定できるため。勇者様は右舷の艫、へた釣りは左舷の艫に。準備を済ませるとほどなくして出船となる。まだ薄暗い。ポイントは港を出てすぐで5分くらいしか走らない。橋をくぐって堤防の外へ出ると予想よりも相当海が悪いことに気づく。ポイントの水深は浅い。「12メートル」からとの指示が出る。3メートル幅を50センチ刻みでシャクる。6往復するとビシの中のコマセが少し残るくらいに上窓を調整する。魚信はすぐにあったが20センチ以下の小アジ、お次はこれまた20センチ以下のサバ。白間津まで来てこんな小魚釣りたくねぇよ!! な滑り出し。
できることは辛抱強くシャクリ続けることだけ。ウィリーを信じて休まずシャクる。まずはスティ0の高速シャクリ。スティ1、2秒と食わせの間を伸ばしていくのが定石だが、波による船の上下で仕掛けが海中で遊んでしまっている雰囲気。何度か魚がアタックしてくる手ごたえはある。ゴッとかブルルと手元に魚信は伝わってくるものの全く針掛かりしない。スティをこれ以上長くするとシマアジが釣れにくくなるような気がする。有効な対策が思いつかずに焦れる。突然、竿を手元からひったくるような魚信。竿を立てて魚を止めようとするが全く止められない。きつめに設定してあるはずのドラグが滑って結構な勢いで糸が引き出される。50メートルほど走られて少し強引に竿を立てに行くとバレた。仕掛けを回収すると緑のウィリーの針(真鯛王9号)が伸ばされてしまっていた。勇者様いわく「あの走り方はシマアジではなくワラサかヒラマサのような青物」とのこと。惜しいとも思えない。全く釣れあげられる気がしなかった。
忘れたころに何かが釣れる。アジとサバ以外にはイサキが釣れたり、イナダが釣れたり。いずれも期待しているような強い引きはしてくれない。シャクリ続けても埒が明かないと置き竿にし始める人が増えてきたが、へた釣りはしつこい。乗船代分の魚を釣るのは無理としても乗船代分くらいのワークアウトはして帰ることにしている。シャクった者は報われた。9時少しすぎにちょっといい魚信。カイワリに似たシャープな引き込みだが、パワーはカイワリより上で竿を叩くような暴れ方をする。もしかして?と思いながら巻いてくると、カイワリに似た銀色のシルエットが海面を走る。25センチくらいとサイズまでカイワリに似る…人生初の船釣りでのシマアジをゲット。このサイズでリベンジ成功とは言わないが、4月から半年待たされた自分で釣ったシマアジを食べるという夢はかなえられた。
1匹釣れればやっていることに間違いはないと自信を持って釣れるようになるはずだが、この日は海が悪すぎた。何度かシマアジかも?という魚信はあったが巻き上げ中にバラしてしまう。針掛かりしてしっかり引き込む魚信になっているにも関わらずバレるのは口の弱いシマアジの可能性が高い気がする。さらにもう一度、止めようのない青物の襲撃を受けた。全くなす術なしで針の結び目で切れた。勇者様も2回、魚に走られて仕掛けを切られている。シマアジ用のタックルでは止められない何かが船下にいるのは間違いないが正体は確認できず。沖上がりは11時。最後にもう一度、もしかして?な魚信があった。姿を現したのは30センチくらいのメジナ。沖上がりにおうどん。そして本日の刺し盛りはシマアジ、メジナ、イサキ、イナダの4種盛り♪
著者: へた釣り