どんな釣趣だったかははっきり書くと覚えていない。でも、ラードのような白い脂がにじみだすその身の味は忘れられない。マダイ船の片隅でイシダイを狙うことの無謀さを悟って、久里浜・平作丸のイシダイ五目へ。風に苦しみ、イナダに邪魔され、辛抱強くシャクってなんとか3匹ゲット♪
風鳴りで目を覚ます。起きるにはまだ早いが、空気を切り裂くような甲高い音が気になって寝られない。都内でも10メートル近くは吹いている。出船するのかな?と不安になるが、中止の連絡はないので予定通り家を出る。JRで横浜へ。横浜で京急に乗り換えて久里浜駅を目指す。京急横浜駅のホームは竿&クーラー持参の人多数で一安心。久里浜港行きのバスにも問題なく連絡できて6時40分ごろには船宿に到着した。受付を済ませて船に向かう。船長から「そこね」と指さされたのは右舷舳。大好きな釣り座なのでこれはうれしい。
船は7時少しすぎに岸壁を離れる。ポイントは港を出て5分ほど走った場所だった。船長からの指示は「上から43メートルでその上5、6メートルをやって」だった。同じやり方が通用するとは考えてないが、まずはウィリーシャクリのスティ0~スティ3を試してみる。魚信はなしだが、結構いい頻度でオキアミもイカ短もなくなっているのでエサ取りがコマセに群れているようだ。できれば速いシャクリでエサ取りをかわしたいが、イシダイに適したシャクリの速度が分からないので、高速シャクリ一択は危険。誰か上手そうな人のシャクリを参考にしようと周りを見ると……ほとんどの人が置き竿。左舷舳の人はシャクっていたが、タナに合わせるまでシャクってタナでじっくり待っていた。多動性中年は待てないので見なかったことにする。
最初の魚信があったのは釣り始めて1時間ほど経った8時すぎ。スティ5秒のスローシャクリで魚信った。イシダイの引きはすっかり忘れているが、今、竿を曲げている魚の引きには覚えがある。案の定イナダだった。10分後にまたもイナダ。魚信がないよりはましだがあまりたくさん持ち帰ると妻1号から「あんたバカ?」と言われる。でも、クーラー空っぽで帰るのは嫌なので最初の2匹はキープ。ポイント移動するもしばし沈黙ののち、ようやくイナダではないトルクのある引き。もしかして? もしかして? もしかした! 30センチを少し切るサイズだがイシダイ。お次は小魚が針掛かりした。イシダイの親戚、イシガキダイだった。平作丸のルールでは25センチに満たないイシダイはリリースする。イシガキダイもリリースすべきなんだろうが、速く巻きすぎてしまったようで内臓がはみだしておりリリースできず。
1匹とはいえイシダイを手にしたことで心の余裕はできた。イシダイもスティ5秒くらいのスローなシャクリで釣れたので遅めのシャクリを続けていると…イナダばかり釣り続けることになる。ダブルまでありで釣り続ける。イシダイを釣って以降のイナダは針を飲んだ1匹以外すべてリリースした。シャクリを速くすると魚信がなくなり、遅くするとイナダに蹂躙される。どうしたものかと悩んだが、遅めのシャクリが正解だったようで、2匹目のイシダイが釣れる。本日最大サイズでシマが消えかけ口の周りが黒くなっているシマダイ呼ばわりされない風格の1尾。脂たっぷりのイシダイの身をゲットした。
最後のポイントは航路の近くの水深30メートル。ハリス分底を切って、そこから上6メートルをシャクっていると、ウマヅラハギが釣れたりカサゴが釣れたり。14時半近くなりそろそろ終わりの時間かな?というタイミングでトルクのある引き。イナダと一荷で釣れたのは、サイズは十分大きいが縞模様がくっきり残った3匹目のイシダイ。船長から沖上がりの合図があったときまでイナダと格闘していた。いったい何匹釣ったんだろう? 10匹以下ということはない。お持ち帰りはイシダイ×3、イシガキダイ×1、ウマヅラハギ×1、イナダ×3。イシダイは最低3日は寝かせたいのでほかの魚で熟成待ちの3日間をしのいで週後半にイシダイ三昧をする予定。
著者: へた釣り