ウネリ高く釧路の沖五目船が出船中止となりシシャモチャレンジ2日目。道東以外の釣り人で自分でシシャモを釣って干物にして食べたことがあるという人はあまりいないはず。1匹でいいから釣りたかった。サビキでの釣りなのでコマセをたっぷり撒いてシシャモを寄せてと画策したが…。
北海道の堤防での釣りはスローな釣りが多い。アキアジのたらし釣りなんてウキの下に仕掛けを付けてただ放置するだけ。偶発的に魚の視界にエサがくれば釣れるという釣りだ。シシャモ釣りもサビキ仕掛けにアオイソメを2センチくらいに切って付けてフワフワと誘うだけ。アオイソメの体液の臭いで寄ってきた魚が釣れる。サビキといえばアミコマセを撒いて仕掛けとコマセを同調させて釣るのが常道。なぜコマセを撒かない?と不思議でしかない。朝9時に釣具店が開くのを待ってアミコマセのブロックを購入しシシャモが釣れているはずの釧路西港第一埠頭に送ってもらう。
アミコマセで魚を寄せればもっと効率よく魚が釣れるようになるはず。時期的にシシャモの魚影は濃くはないが釣果報告はあるので全くいないことはない。キュウリウオとシシャモの習性は似ているはずなのでたくさんキュウリウオを釣ればシシャモが何かの間違いで釣れる可能性が高まるというのがへた釣りの目論見。港まで送ってくださった北海道の師匠から「ギブアップのときは迎えにくるから電話してね」。この時点ではコマセがあるので釣れる気マンマン。「ギブアップしませんよ~」とタックルの準備を始める。
コマセカゴは持参していた。サビキ仕掛けの上部にカゴをセットしコマセを詰める。最初は手返しよくコマセを振り出し魚を寄せることに。2、3回ほど仕掛けを入れ替えていると竿先をフルルと揺らす魚からのコンタクト。魚信は小さい。キュウリウオに比べてシシャモはサイズが小さいので、魚信が小さい方が期待感が高まる。なかなか針掛かりしないのでゆっくり竿を持ち上げていくといきなりギュンッと穂先が持っていかれる。最初の魚信は小さかったが引きは強い。北海道の堤防で一番の嫌われ者(ガンズを持ち帰る人はいるがウグイを持ち帰る人はいない!!)といえるウグイだった。懲りずにコマセを振り続けていると少し間があいて2匹目もウグイ、3匹目も……4匹目も…5匹目も。
ウグイ以外の魚を寄せようと頑張ってコマセを撒くとどんどんウグイが寄ってくる。遂にはコマセを振り出した瞬間にはウグイが掛かっているという入れパク状態に。試しに海面にアミコマセを落としてみると海面近くまでウグイが現れるようになり、さすがにこのあたりで自分の犯した失敗に気づく。釧路の堤防でアミコマセを撒くと突っ込んでくるのはウグイだけ。こうなることが分かっているから釧路の人はアミコマセを撒かないのか? 体の大きなウグイが群れてしまい本命の魚たちは怯えてむしろ遠ざかっている気がしてきた。コマセカゴを外してご当地流の釣り方に戻す。
今度は魚信が全くなくなる。ウグイはコマセが切れると食ってこなくなった。2時間くらい頑張ったが釣れたのはご立派サイズのガンズが1匹だけ。まめに誘い上げてゆっくり誘い下げ続けたが何も起きない。何かが起きる気すらしない状況に集中力が切れた。もうウグイでも相手してくれるならいいやとコマセカゴを復活させて釣り始める。ウグイはすぐにやってきた。竿がひん曲がる。でも、これはもう釣りではなくただの暇つぶしである。13時ごろに北海道の師匠に電話をする。「ギブアップします!」。ご当地流には理由がある。それが本日得た教訓。
著者: へた釣り