今年のアナゴは厳しいよとは聞いていた。でも、行ったらなんとかなると何の根拠もなくそう思っていた。なんともならなかった。釣ったというか釣れたのは2匹だけ。ストック5で屈辱の味がするアナゴを3匹いただく。魚信はもっとあったのだが、掛け方が分からなかった。歯がゆさを覚える。
4時半に昼間の釣り客を送ってきた羽田・かみやの送迎バスにピックアップしてもらって船宿に向かう。予報ではほぼ凪だったはずなのだが、蒲田駅でも風が強い。多摩川のほとりに出ると、木がザワザワしている感じ。桟橋に着くと、ちょうど2隻出しに変更されたばかりで、2隻目の左舷艫寄り2番目が空いていた。潮先予想は艫だったのでここに釣り座を据える。コンビニに夕食を買いに行くついでに大漁の兆しの鴎(カモメ)が祭られている鴎稲荷神社で「風が強くならないように」「5匹でいいから釣らせて」と神頼みしておく。
異次元O塚名人に今季のアナゴの傾向と対策をレクチャーしていただく。とにかくつらい釣りになることを覚悟するようにと脅される。実際につらいつらい時間がこのあと待っていたわけだが、この時点ではまだ5匹くらいならなんとかなるはずと思っていた。出船前のお楽しみ、淳ちゃん船長のレクチャーを聞く。この日の名言は「小突いているときにリールのハンドルを持っている人ほどよくバラす」だった。巻きアワセはせずにしっかり竿を持ち上げてアワセろってことみたい。
船は定刻に桟橋を離れる。風はさらに強くなっていた。多摩川を出たら船が飛沫を被り始める。ドッタンバッタンな海を30分かけて木更津沖へ。短時間だから大丈夫だろうと酔い止めの薬を飲んでこなかったことを後悔する。木更津沖に着き、船が止まるとドッタンバッタンな感じはなくなったが、船の上下でオモリが底から大きく離れないように気を使わなくてはならない。7時少し前に釣り開始。1カ所目は船中魚信なしで移動。
2カ所目のポイントで小突いているとなんだかもたれるような違和感。小突き続けるだっけ? 止めるんだっけ?と悩んで動きを止めると竿をコツコツと引き込むような魚信になる。ただし魚信が小さい。昨年の記憶ではもう少し魚信は大きく明瞭だったような……。ゆっくり竿を持ち上げたり、下げたりしていたら淳ちゃん船長に「竿を下げちゃダメ!」と叱られる。竿先に変化がなくなったのでいなくなった?と思って巻き上げるといた。手の指の太さくらいのかわいいアナゴ。小さすぎて引かなかったわけだ。これが船中1匹目だった。
誰よりも早く1匹目を手にして、やっぱりなんとかなるじゃんと考えてしまう。釣りに真摯に向き合わない人に東京湾の神様は厳しい。そこからが大苦戦。小突きの幅なのか速度なのかが合わずにちっとも魚信をだせなくなる。魚信を出せている艫の人の竿の動きがチョンチョンと小さく誘うという方法だったので、それを真似してみたが、どうにも魚信が遠い。大きくゆっくり誘ってからオモリをほとんど動かさない程度に小さく動かすようにすると魚信が出るようになったが…今度は掛け方が分からない。1匹だけ追加できたが、これは大きく誘っている間に勝手に針掛かりしてくれただけ。小さく小突いている間の魚信は結局一度も物にできなかった。
上乗りをしていたデカッw船長がアナゴをさばくために回収しにきたが、あまりの貧果に無言でバケツを持って行った。ビニールに5匹分のさばいた身と骨を入れて渡してくれた。釣り人としては屈辱の「ストック5」(5匹釣れなかった人に足りない分を補填)に3匹もお世話になってしまったわけだ。お恵みいただいたアナゴで作った白焼きとアナゴ丼は屈辱の味が……するかと思ったが普通に美味しかった♪
著者: へた釣り