見えクロダイ、関西では見えチヌ。これほど、釣り人をイライラさせる存在はない。すぐ目の前で50センチはあろうかというクロダイが悠然と泳いでいる。コマセを打っても見向きもしないでのんびりとしたものである。一之瀬丸の桟橋にて貝を突つくクロダイを発見。釣ろうとしたけれど……。
午後船でアジ1匹だけと惨敗し、夜LTアジの準備をしていると……目の前にでっかいクロダイを発見。タイヤに付いた貝を突いている。全く人を警戒している様子はなく、ときどき背ビレが海面から出るほどに浮いている。クーラーの中が寂しかったので、船の玉網を借りてすくったろかとも思ったが、針掛かりしていない魚をすくうのは漁であって釣りではない。手元にはLT竿。餌は既に配られていたのでアオイソメもある。釣ったろ!
道糸の先にフロロ4号(しか持ってなかった)を結んで、その先にアジ用のカイズ針。アオイソメを1本チョン掛けして完全ふかせで、クロダイが水面で動きながらゆっくり沈んでいくイソメに反応したら釣れるはず。仕掛けを振りこもうと立ち上がると……海面に影が映ってしまったのかクロダイは沈んでしまう。無防備なようでいて一応、警戒してるのね。でも、しばらくするとまた海面に姿を露わす。ゆっくり海面にイソメを落とす。イソメがうにょうにょ動いていい感じと思っていたが、見向きもされない。
クロダイが逃げないように少しずつクロダイの鼻先にイソメを近づけていくと……「そんな見え見えの餌に飛びつくわけないだろ」とタイヤの向こう側に移動してしまう。竿が届かないことを知っているかのように、相変わらず背ビレを水面から出して貝を黙々と食べている。そんなクロダイの人を舐めくさった態度に釣り人はイラッとしながら萌えるのであるw
著者: へた釣り