腕なし運なしと自覚しているがたまにはこういう日もある。1匹でも釣れれば儲けものくらいの感覚で挑んだ飯岡・幸丸へのアカムツ遠征。アカムツ船には伊豆で4回乗って4回ともボウズ。超がつく希少魚になっていた。それが朝一の一投めから竿先グンッ。ウェルカムアカムツは45センチ。
恵比寿駅前のお好み焼き屋えべっさんの店長からお誘いいただいて、人生初の外房遠征へ。えべっさん店内には大きなアカムツを手にした店長の写真が飾られている。聞けば外房では1日に5匹もアカムツを釣ったことがあるという。一方のへた釣りはというと、これまでに釣ったアカムツは2匹だけでいずれも東京湾深場五目でなにかの間違いで釣れたもの。アカムツを狙っての伊豆遠征は4戦して1匹も釣れていない。よほど釣り方が間違えているのか? それともこの魚に嫌われているのか? 釣る気満々で臨むとボウズをくらったときの凹み具合が凄まじそうなので1匹釣れたらドヤっ顔全開するぞと決めての釣行。
1時にえべっさん前を出発し3時30分くらいに飯岡港に到着する。幸丸のすぐ前にコンビニがありすごく便利。朝食を買って船宿の受付へ。何にびっくりしたって乗船券が自販機で売られていた。乗船券を購入し受付に行くと、釣り座を書き込む紙が置かれている。実川船長船の左舷艫から2席を取る。サバの短冊を購入し、この船宿には初めて来たと伝えると「おにぎりと引き換え」と何度も言われる。乗船券の半券をなくすなということみたいだ。乗船は港の岸壁から行う。船長がロッドキーパーを固定するための板を船べりに置いて間隔を調整してくれる。えべっさんが艫2番、へた釣りが艫3番で、左舷は6人での出船となる。
船は1時間半ほど走ってポイントに到着する。真っ暗だし寒いのでキャビンで仮眠。外房はゆっくりとした周期のウネリがあるようでポイントに向かう最中に既に船酔いの兆候が現れる。水深は250メートルくらい。潮が速いので同時投入し出遅れたら投入しないこととの指示がある。2本針の仕掛けをマグネットに固定しオモリを持って待機。合図とともに投入し、少しでも速く落とすため竿を垂直にする。確かに潮は速かったがなんとか底は取れた。誘い始めるために2メートルほど巻き上げるとすぐに魚信。竿をグンッと引き込む。巻き上げると再投入は禁止なので追い食いを狙って粘り、船長の巻き上げ合図とともに巻き上げ始める。ここでトラブル。船電源の電圧が足りないらしく負荷がかかるとリールが止まる。何度やっても同じ症状が出るので250メートル手巻きで巻き上げることに。かなり辛いが、なんとか最後まで巻くと海面に白いような赤いような魚影が見える。「アカムツ!」。えべっさんが出してくれたタモに無事収まる。船長からも「いいね」と言ってもらえるサイズのアカムツ。45センチくらいあり、自己最大を更新した。
外房初見参の第1投めでご立派サイズのアカムツを手にし、すっかり気をよくする。外房ならアカムツの魚影が濃いので2匹目、3匹目も狙えるのでは? と釣る気満々モードに突入したが、とにかく潮が速い。投入後の着底は分かるがオモリを持ち上げて底を取り直そうとすると底を見失うことがしばしば。それでも魚信は何度かあったが、ハリスを切られたり(サメ?)、巻き上げ中に消えたりでちっとも魚が船に入らない。焦れる展開だが辛抱強くやるしかない。唯一の救いはもしかのために持って行っていたバッテリーでなら電動で巻き上げられたこと。4.4Ahしか容量がないので最後まで持ってくれることを祈るしかない。回収合図前にえべっさんのリールの巻き上げ音。30センチ級のアカムツを無事ゲットし、これで帰れるねと2人して胸をなでおろす。
潮は二枚潮気味でオマツリが多発しその後も苦戦。オマツリを嫌って底を攻めないとアカムツは釣れない。底が取れている間は少しオモリを持ち上げては、底を取り直して糸を出し続ける。待望のアカムツっぽい魚信が訪れる。巻き上げ始めると魚以外の重量感もありオマツリしている。多重事故を起こしながらも無事に2匹目のアカムツをゲットする。人生2匹しか釣ったことがなかったアカムツを1日で2匹釣ったのだからこれ以上を望むと罰が当たる。水深160メートルくらいから300メートルまでポイントを変えて攻めてくれたがその後はいい魚信には巡り合えず沖上がりの時間に。自販機に続き、幸丸の面白いサービスが下船後にも。下船場所にはなんと軽トラックに積まれた移動式の水道。手を洗い終えると大きなおにぎりとお茶がもらえる。鮭の入ったおにぎり…すごく美味しかった。白間津・海正丸でも下船後にうどんがふるまわれた。もしかして千葉の船宿って昼食付きなの???
著者: へた釣り