雪解け水の流入で厳しい釣りになる気はしていたのによりによって一番苦手な釣り物を選ぶのだからなるべくしてこうなったわけだ。2022年の初釣りは三崎港・えいあん丸のオニカサゴへ。右舷の舳が空いていたので釣りの神様においでと言われている気がして衝動的に予約したが…。
三浦海岸駅の送迎バスも二度目ともなれば余裕がある。始発を乗り継ぎ6時30分には駅に到着。コンビニで飲み物を買い、トイレに行っても7時の送迎の到着に余裕がある。駅に降りると存外風が強く寒いので、風を遮ってくれる建物の影に逃げ込む。送迎利用者はへた釣りを含め5人。全員顔見知りのようだった。出船は8時なので送迎を利用しても慌てる必要はない。出船までかなり時間がある(ありすぎる?)のでゆっくり時間をかけて用意する。
ポイントは港を出て20分ほど走った城ヶ島沖水深120メートルくらい。合図と同時に投入し、オモリが着底したら糸ふけだけとって15秒~20秒待つ。魚信がなければゆっくりと頭上まで竿を持ち上げて、そこから竿を下ろしてオモリを再着底させる。オニカサゴに落ちてくる餌を見つけてもらうことを狙う。オモリが再着底したらまた15秒~20秒待ってゆっくり竿を持ち上げる。落ちてくる餌を見つけたオニカサゴが近づいてきて餌に飛びつく。竿を持ち上げて仕掛けが張ったら魚信が出る…はずなのだが……何も起きない。へた釣りだけでなく船中何も起きない。魚信が頻繁にある釣りではないので我慢強く誘い続ける。
潮が速いせいかラインがかなり鋭角に入っていき、オモリを持ち上げている間に吹きあがってしまい、3メートル以上底を切った状態になってしまう。非常に釣りにくい。大きく底を切るのは得策ではないと考えて、少し持ち上げては落とし直す小刻みな根歩き作戦に切り替えたが魚信は増えず、増えたのは根掛かりだけと大苦戦。ときどき竿先をフルルと揺らすような魚信はあるのだがムツ針18号ではなかなか針掛かりせず。奇跡的に掛かったのはアカトラギスとムシガレイ。ゴツゴツというオニカサゴからの魚信はなく時間が過ぎていく。
ようやく最初のキープ魚をゲットしたのは釣り始めて3時間近くたってから。魚信に迫力がなく、オニカサゴではないことはすぐに分かった。巻き上げ中もほとんど抵抗しないで上がってきたのは25センチくらいのカンコ(ウッカリカサゴ)。もっと大きくなる魚なのでもったいないが目ん玉が飛び出していたのでやむなくキープ。ここまで魚信がだせないと、やっていることに自信がなくなり市販の仕掛け(山下漁具店の目玉が光るケイムラ毛鉤)を使ってみたり、ピカにGo深場を付けたり外したり。工夫というよりは迷走してみたものの釣況は変わらず。船中、何匹かオニカサゴが釣れたのを確認したが、25センチあるかないかのリリースサイズばかりで全くうらやましくないのが唯一の救い。
釣れないだけでなくとんだ酷い目にも遭った。根掛かりしたのを外そうとするとなかなか外れないどころか少しずつだがリールが巻けてしまう。地球の一部を釣りあげることは珍しくないが、これまで釣った地球の一部よりも恐ろしく重い。仕掛けが切れてくれたら楽になるのにと考えながら100メートル以上巻き続けた。海面近くにその姿を確認して笑うしかなかった。軽自動車用のタイヤ。昭和の漫画で空き缶や長靴に混じって釣れているのを見たことはあるが…まさか本当に釣る日がこようとは……。40センチ超え1匹で大逆転と最後まで頑張ってはみたがアヤメカサゴを追加しただけで、2022年の初釣りはドキドキもワクワクもなく終了。これが今年1年を象徴するとは考えないことにする。
著者: へた釣り