「へたさん来たら釣れないね」木部船長に何度そう言われたことか。今日も前半は貧漁神が荒ぶる展開。潮速くコマセと仕掛けがまったく同調せず、しゃくれどもしゃくれども何も起きず。中盤は良型ゲットでほっと安心。後半は怒涛の入れパクモードに突入しカイワリの自己最多を大幅更新。
新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されている中、宇佐美まで釣りに行っていいんだろうか?と悩んだが、毎週末のお楽しみなので釣りにはどうせ行く。羽田なら安心、金沢八景なら大丈夫と線引きすることは不可能なので、あれこれ考えずに一番行きたい釣りに行くことに。8時半の東海道線で熱海を目指したが車中には観光客はほとんどおらずガラガラ。2人掛けの席に座ったが横には熱海に着くまで誰も座らずという状態だった。宇佐美駅に降り立つと珍しく少し肌寒い。鈍色の空を映した海は冬の様相。伊豆で海が冬っぽいと感じたときはだいたい苦戦しているので港を目指しながら少し嫌な予感を覚える。
港に到着するとちょうど午前もカイワリで出船していた治久丸が帰港してきた。クーラーを船から降ろす様子を見ていると、重そう。船長に確認すると「みなさん20匹くらいは釣ってた。いい人だと30匹くらい」とのこと。へた釣りの自己最多は18匹。船中平均釣れば自己最多を更新できる。これは期待してもいいのではと、意気揚々と出船。海は少し荒れ気味で飛沫を被るので操舵室の後ろに避難する。ポイントは初島沖の水深90メートル前後。いつものように50センチ刻みで底3メートルから12メートルくらいまでを探ってみたが魚の気配なし。上潮が速くラインは鋭角に入っていくが底の潮は動いていないようで上窓を数ミリだけ空けるいつものビシの設定ではほとんどコマセが出ない。このポイントでの唯一の魚信はサバ。そのサバすらなにかの間違いで1匹釣れただけで続かない。
船長がマイクで「朝はあんなにあった反応が一つもなくなっている」とこぼす。魚の群れがわずか1時間で消失することがあるかどうかは知らないが、まったく魚の気配を感じないのは事実。反応を探して初島から少し離れた水深125メートルくらいのポイントに移動する。潮がいくらか緩く先のポイントより釣りやすい。着底直後にすぐに魚信があってキダイが釣れる。底付近はキダイが群れているらしくシャクっているとタイ系の硬質な手応えが何度かある。キダイをかわすために底から8メートルまではスティ0の高速シャクリで、8メートルから13メートルまでをスティ1秒のシャクリで狙っていると穂先がギュンと持っていかれる。まずは25センチ超えのお刺身サイズ。カイワリの食い層が高かったおかげでキダイをかわせる。続いて30センチを少し切るサイズのカイワリ。数は出ないがこのサイズならと喜んでいると良型はこの2匹だけで20センチくらいにサイズダウン。このポイントで15時まで頑張ってカイワリは4匹。
「いつものところをやってみましょう」と15時にポイント移動する。夕方になるとカイワリの活性が上がると信じてシャクリ続けるがやはり上潮ばかり速くて相当釣りにくい。それでも出船直後に比べればカイワリの機嫌はいくらかよくなってきているようで頑張ってシャクっていればポツポツとは拾っていける。ツ抜けくらいはなんとかなるかなぁと考えていると16時なったとほぼ同時にカイワリのスイッチが入った。追い食いを狙ったわけでなくほぼ同時にカイワリがウィリーに食いついてきた。ドラグを滑らせながら取り込みに成功したのはまぁまぁサイズのカイワリのフォース。これが怒涛の追い上げ開始の合図だった。
ここから先、沖上がりの17時40分まで入れパクタイムが始まる。ダブルで釣れるのなんて当たり前、トリプル、フォースと発生し、遂には5本針にパーフェクトまで。17時14分に20匹を超えて自己最多を更新。船長から「まだ時間があるから30匹狙えますよ」と発破をかけられる。17時30分にフォースを達成し27匹。「あと10分」と告げられる。ラスト1投でトリプル以上なら30匹だ。シャクった直後にいい魚信があったが掛からず。タナを上まで探り切って底を取り直そうとすると穂先をフワフワと揺らす変な魚信。アカアジがダブルで付いており、仕掛けをグチャグチャにされて終了。30匹には届かなかったが自己最多を5割増しで更新したのだから満足、満足、大満足。
著者: へた釣り