お鍋で最高な幻の高級魚アラとお刺身最強魚のカイワリを両手にドヤ顔を決めてやる。下衆な想いは伊豆の海の神様に却下された。あれこれ考え手を尽くしたがアラの魚信は訪れず、続・深場伝説アラの章は始まらなかった。それでもお土産がカイワリ4匹なのだから宇佐美は裏切らない。
宇佐美・治久丸からアラ・カイワリリレーで出撃。8時30分くらいに東海道線の下りに乗れば、熱海駅で少し早めの昼食を摂って11時30分の宇佐美港の集合時間に間に合うというゆったり釣行。Wasa達人と同船になることは連絡をもらって分かっていたが、船着き場に着いてみるとサプライズな人の姿が!! 深場の勇者様が午前のカイワリ船に乗っていた。いきなり「渋いっすよ~」。前日の午前船は20匹超えと大爆発したが午後船で沈静化。本日午前も渋かったという情報に暗澹たる気分になったが「7匹しか釣れませんでした」とのこと……7匹も釣って渋かったって…なんやそれは!!である。アラの釣り方を少し指導してもらう。勇者様とは4月に一緒に釣行する予定だ。
席はほぼ指定席になっている右舷の舳。釣り人3人と空いていたし、午後から少し風が吹く予報だったので舳から少し後ろに下がった位置に釣り座を決める。船長から「オモリ120号から始めますよ~」との指示。先にアラをやるようだ。船は初島沖から少し南の水深140メートルくらいのポイントへ。アラの仕掛けは全長2.4メートルの吹き流し仕掛けを自作した。誘い下げが効くと教わったので仕掛けを少し長くした方がヒラヒラと落ちるのではという判断。餌のサバ短は少し小さめで薄く削がれておりヒラヒラとよく動きそうな形状をしている。オモリが着底したら1メートル底を切って底から2メートルくらいをゆっくり持ち上げる。持ち上げ切ったらストンストンと落として誘う。オモリが底に着いたらまた1メートル底を切っての繰り返し。魚信はない。ときどき微小な変化が穂先にでるが……アワセようという気にならない小魚からのコンタクトのみ。カナドやヒメがときどき針掛かりする。
釣りを始めて2時間が経ち、今日はダメな日なのかもと考え始めているとようやくガッガッと穂先を揺さぶるいい魚信が訪れる。リールを巻き上げながら穂先を下げ、えいやとアワセを入れる。掛かった!! もう一度素早くリールを巻きながら竿先を下げ追いアワセ。激しく抵抗する。暴れすぎ?と一瞬思ったが、巻き上げ始めるとずっと暴れているのではなく、間欠的に引き込む。サメならずっと暴れるはずなのでアラ、重量感があるので良型のアラのはずとニヤニヤしながら巻き上げる。船長がタモを持ってきてくれる。海面にシルエットが見えると、船長は操舵室に戻って行った。ツノザメだった。吻が長いのでトガリツノザメ(たぶん)。オニカサゴやアラを狙う水深でサメが釣れる日は釣果に恵まれないことが多い。その後もヒメにエサを齧られただけで何も起きずに15時30分にカイワリにリレーする。
このころから風が相当強くなってきており、移動中は飛沫を被るようになっていた。海が荒れると思うようにシャクれなくなるので苦戦の予感を覚える。初島近くの水深90メートルくらいのポイントでカイワリ釣りが開始となる。まずはウィリーでシャクりはじめる。ステイ時間を0秒から3秒へと長くしていったが魚からのコンタクトは全くなし。30分ほどすると風で仕掛けが絡んでしまう。リレー船なので短期決戦。波の上下でシャクリにくい状態でウィリーの下針のオキアミ一粒で勝負するのは危険と判断し、珍しくオキアミ3本針の仕掛けを投入してみる。状況は変わらない。ラインが艫方向に向けて鋭角に入っていく。潮が速くコマセと仕掛けが同調してないのかもと考え、仕掛け長4.5メートルの仕掛けに替えてみるとこれが正解。数シャクリ目でグンッと穂先が持って行かれる。小ぶりながらも船中1匹目のカイワリをゲットする。
1匹目のカイワリを手にしたのは16時30分近く。17時30分に沖上がりなので残り時間は少ない。迷わずに4.5メートルの長めの仕掛けを信じてやることに。ヨリトフグ(ミズフグ)に針を切られまくる。15分後くらいにお刺身で美味しい25センチ級のカイワリが釣れる。さらにその15分後にカイワリがダブル。最後の最後にちょっとだけ盛り上がった。「今入ってる仕掛けが上がったらかたずけて行きましょう」というアナウンスと同時に良型っぽい魚信。上げちゃうと終わってしまうので追い食い狙って粘るが、遊び過ぎたらしく最後の1匹はバラしてしまう。実釣2時間でカイワリ4匹はまずまず。アラは釣れなかったがお土産にカイワリ4匹なら十分だ。
著者: へた釣り