マダイ、カイワリ、アマダイをゲットしお鍋、お刺し身、酒蒸しで娘1号の成人式をお祝いしてあげようという三兎追うプランを立てて、宇佐美・治久丸からアマダイ→カイワリリレーで出撃する。豊饒の海であるはずの宇佐美沖だがこの日は魚がご機嫌斜め。船中2匹のカイワリを独り占めできた。
娘1号はマダイの鍋が大好物、お刺身はへた釣り家で一番人気のカイワリ、50センチ超えの脂ノリノリ熟々アマダイで酒蒸しと成人式の祝い膳のイメージは完璧だった。三兎追う宣言して三兎ゲットは出来すぎとしても、リレーの本命であるカイワリとアマダイの二兎はゲットできるものと考えていた。甘かった。8時くらいに家を出て宇佐美駅着が11時少し前。伊豆の気温は東京都内より高く、冬でも暖かいことが多いが肌寒い。午前中に雨が降ったのか路面が濡れている。風もあるので余計に寒く感じる。曇天のせいか海が暗く見え、すっかり冬の海。それでも釣れないとは考えない。宇佐美の海ならなんとかなると信じていた。
キンメ・オニカサゴで出船していた午前船が帰ってくる。あまり魚の活性がよろしくなかったようでここで始めて嫌な予感。釣り座はほぼ指定席になっている右舷の舳。船長から「アマダイからやる」との指示がある。天秤までは共通でFLビシを外して80号のオモリに、ハリス3号3本針のアマダイ仕掛けを付ける。アマダイのポイントは港を出てすぐの水深60メートル前後。仕掛け長は3メートルなので着底したら1メートル底を切ってゆっくりと誘い上げていくことに。竿を持ち上げ切ると2メートルくらいの幅を誘っているイメージ。まずはゆっくり太極拳で誘ってみて、魚信がなければ小さく鋭くシャクる、止める時間を長く取るなどいろいろ試してみる。置き竿以外のあの手この手を繰り出したがな~んにも起きない。トラギスが1匹釣れただけ。
「口使ってくれませんね~」と船長。アマダイが元気ないというだけでなく本当に魚が船下にいるの?と疑いたくなるほどに魚からのコンタクトがない。釣り始めて1時間ほどしてようやく少しマシな魚信がある。穂先を鋭く引き込むが巻き上げ始めると重量感がない。そのわりによく引いた魚の正体はカイワリ。リレーの本命の1つを取りあえず手にする。時間だけが経っていく。船長も宇佐美港近くのポイントに見切りをつけて初島沖の水深90メートル前後に移動する。アマダイからのコンタクトは一度もなく、黄色のアゴヒゲがかわいいヒメジとタマガシラが釣れただけでアマダイは終了。三兎のうち一兎は逃す。
カイワリも初島沖の90メートル前後のポイントで狙った。ハリス分(3メートル)底を切ってから50センチ刻みで14回シャクって底から10メートルまでを探る。カイワリ狙いなのでスティ0の高速シャクリでスタートするが、魚信なし。7メートル幅を3回探ってコマセがビシに少し残っているように上窓の開き具合を調整し、次にスティ時間を1秒、2秒と長くしていって魚信が出るシャクリ方を探す。スティ2秒にすると魚信があった。グンッと穂先を暴力的に持って行く。ドラグが滑って巻けない。イナダ(ハマチ)だ。クッションなしだったので2.5号のハリスを切られて終了。船長が「カイワリは夕方から」と言ってた理由が分かった。イナダの活性が高いとカイワリはなかなか食ってこないし、カイワリを掛けても巻き上げ中にイナダに化けて船に入らないことが多い。イナダは暗くなってくると活性が下がる。
イナダを狙うならスティ時間を3秒以上取ればよい。逆にスティ時間を2秒以下にすればイナダはほとんど食ってこない。魚がもっと釣れていればこの時間帯はイナダタイムと割りきれるのだが、ここまでキープできているのはカイワリ1匹だけ。イナダと遊んでいる時間(巻き上げに時間がかかる)はもったいない。イナダが食ってこないカイワリ狙いの高速シャクリで釣り続ける。この判断が正解だったのか失敗だったかは微妙。他の人が釣っているイナダは1匹も釣れなかった。代わりにカイワリをもう1匹だけ追加できた。カイワリは船中2匹でその2匹を独り占めしたのだから正解だったとすべきか、「イナダいい人5本、マダイ混じる」を逃したのを悔いるべきか……やっぱりカイワリの方がうれしい気がするので良し!!
著者: へた釣り