定宿の一之瀬丸のイサキ船が満船のために前から気になっていたあさなぎ丸のデビュー戦。小雨が降る曇天模様でイサキ大爆発でもおかしくなかったのだが渋かった。魚の気配を感じない時間帯が長く、雨の中、精神を削られながらの釣り。なんとか18匹。尺超え1匹、ウメイロが混じる。
いつもと同じ電車で金沢八景駅へ。駅に着いたら電話をして送迎をお願いする。電話をすると要件を言う前にいきなり「行ってるよ~」。一瞬何を言われたのか分からずに「へ?」と返してしまう。「迎えの車行ってるよ」と説明されて得心する。へた釣りより前に何人かが電話済みだったうようで、所定の場所で送迎の車が待っていた。船宿に着いて席札を見ると、釣り座に余裕がありそう。なぜか左舷の舳が空いていたので、迷うことなく席札を取る。一之瀬丸でもなぜか艫から席が埋まっていく傾向があるが、もしかして艫から座るのが金沢八景のルールなんだろうか? 受付のとき「初めて来ました」と挨拶すると、「初めて? じゃあ3つくらいスタンプ押しとくか!!」とスタンプを3つ押してもらう。なんとなく船宿のノリが分かってきたかも……。
船に乗ってしまえば狙う魚は剣崎沖のイサキなわけで、いつも通りにやればなんとかなるはず。船長が釣り方の説明をするというので、聞きに行く。ビシの窓の設定は下が全閉で上を1/3開けと同じ。シャクったあと竿先が下がらないように少し竿を持ち上げるという方法が勧められていた。一之瀬丸でのシャクったあと力を抜いて穂先が沈まないように力加減を調整するという方法よりも簡単かも。桟橋を離れた船は剣崎沖まで50分くらいで辿りつく。松輪の根には船団ができており、今日は悪くないのかも?という雰囲気だった。
船団の周りをぐるりと回り、ポイントが決まる。一之瀬丸もすぐ近くにいた。タナの指示は「18メートルから13メートル」だった。梅雨空でイサキは高活性なはずと信じて、50センチ刻みステイ0の高速シャクリでスタート。1往復目は魚信なし。仕掛けを落とし直してシャクリだすとすぐにキュンと小気味よく穂先を引き込むイサキの魚信。仕掛けの張りを意識してゆっくり巻いてくると追い食いが発生した。いきなりのトリプルでスタート。お次はダブル。釣り開始15分で5匹。今日は忙しくなるぞぉぉおおお!! とダブルは写真を撮らずに急いで仕掛けを再投入したのだが……その後沈黙。ベラやミニムツなどイサキ釣りではあまりお目にかからないゲストが釣れるだけ。
一之瀬丸は「深いとこに行ってみますね」と沈没船ポイントへの移動がアナウンスされた。あさなぎ丸もポイントの移動が告げられる。沈没船まではいかずに松輪の根の少し南のポイントを一人旅する。狙う水深は30メートルから40メートルくらい。すぐに尺超え確実な手応えの魚信がある。鋭い引き込みもみせるので35センチ超えかもと大事に取り込む。姿が見えた。シルエットはイサキに似ているが色が違う。背中が黄金色に輝くウメイロだった。高級魚なのでこれはうれしい。血抜きしてすぐにクーラーへ。その後も魚信はあるのだが釣れてくるのはトゴットメバルばかり。一人旅では結局イサキは1匹も追加できず。11時ごろに再び船団に合流する。
ここから沖上がりまでの4時間は、我慢大会。シャクリ続けることがイサキを手にする唯一の方法だと信じて休まずにシャクリ続ける。魚信は忘れたころにあるという程度。20分に1匹くらいのペースなので時速3匹。調子のいいときならトリプル1発でゲットできるイサキを1時間シャクリ続けてやっと手にする。徒労ではない。それを徒労と感じるなら魚屋で魚を買う。シャクリの幅、ステイ時間を変え、魚信が出たときに共通の条件が何かないか?と考える。指示ダナより2メートルくらい上まで魚信が出ることに気付く。船長の指示は13メートルまでだったが、11メートルくらいでシャクることに。高いタナなので尺超えこそ1匹だか25センチ超えの大ウリンボもポツポツと混じる。結果は18匹と報われたとは言い難いが他の人の竿がほぼ沈黙している時間帯にでもイサキを拾えていたので、休まずシャクリ続けた甲斐があった。と、釣行記には書いておこう。
著者: へた釣り