ご機嫌によって魚信の出方も針掛かりのさせ方も全く違うタチウオは、その日のアタリパターンを探すことを楽しむ釣魚である。そんなことは分かっている。分かってはいるがいとも簡単に針掛かりさせている名人のすぐ横で空振りしまくった挙句にムキーッ!!と癇癪を起したお猿さん状態になる。
小雨の予報だったのに、朝、玄関を開けると想像していたよりずっと雨足が強い。昨晩のうちにタチウオ用とアジ用の竿を2本準備してあったが、クーラーのロッドホルダーに竿を差して、空いた手で傘をさしたいので、アジ用の竿を荷物から外す。傘をささずに歩いて駅に向かうのは考えられないほどの雨だった。金沢八景駅に着いても雨は弱まる気配がない。駅には釣り客はまばらだったので、一之瀬丸のタチアジ船も空いてるかもと考えたが……船宿に着いてみると、2隻出しで席札はほとんど残ってなかった。いつもの船長の船の左舷前から2番目に釣り座を決める。片舷10人。
船は時間通りに桟橋を離れ、海堡周りのポイントへ。最近の主戦場なので船団が形成……されていると思ってたがなんだかまばらに船が散らばっており、船団というほどの迫力はない。一之瀬丸もすぐ近くには船がいないポイントで釣り開始となる。指示ダナは「50メートルから40メートル」。先週うまくいった30センチ刻みテキパキ誘いから始めてみようとすると、右隣で早くも電動リールを巻く音。いきなりズドンな高活性かも!と期待を込めて誘い始めるも、魚信はあれども針掛かりはせずないつものパターン。1匹目が釣れたのは15分後。右隣の名人は既に4、5匹釣り上げていた。
何が違うかを観察する。誘いは小刻みにソフトな感じで、誘ったあとにほんの一瞬だけステイを取ってる。タチウオの場合、竿と天秤が違う他人の誘いを真似してもよいことはないのだが、ここまで差を付けられると真似せざるを得ない。結果は……針掛かり以前に魚信すら出せなくなって元の誘いに戻す。なにかの間違いで連荘でタチウオをゲットできたかと思えば、針掛かりのさせ方が分からなくなって空振りしまくる。餌は齧られているので誘い方はあっていると思うのだが……タチウオって絶対も針先見えてるよね?というイヤガラセのような餌の食い残しを何度も見ることに。
上乗りさんから「もう少し誘いの幅を短くして竿先に出るモタレるような魚信を取れば、針掛かりさせやすいですよ」というアドバイスをいただく。藁をも掴む状態なので珍しく言うことを聞いてみたが、全く魚信を出せない。このあたりでそろそろ頭がムキー!!となりはじめ癇癪起こしたお猿さん状態に突入。針掛かりしなくても魚信があった方が楽しいので、針掛かりのことは考えずにムキになってシャクリまくる。魚信はいっぱいでた。魚信の数だけなら船中上位だと思うし、右隣の名人にも負けてない。でも釣れたタチウオは8匹だけ。う~~~ん、どうすればよかったんだろう? 迷宮に迷いこんだ。
12時半からアジにリレー。八景沖の中型アジがポツポツと食ってはきてくれるが、活性バリバリという感じではなく、仕掛けをコマセに同調させて、しばらく待てば魚信が出る。追い食いの発生率も極めて低く、基本単発での巻き上げ。12時半から15時くらいまでの釣りで34匹。アジは専用竿で釣った方引きがダイナミックに感じられて面白いなぁというのが感想。カイメイSPだと硬すぎてこのサイズのアジだとほとんど抵抗させずに巻けてしまう。
著者: へた釣り