眠かった。釣行記の書きだしがそれでいいのかというともちろんよくないが、できることはやった。でもマゴチからのコンタクトは全くなかった。最初のうちは次にタナを取りなおせばという期待感もあったが、そんな期待も次第に薄れていき、最後の方なんて竿握って立ったまま意識寸断。
金沢八景・一之瀬丸のマゴチ船に初めて乗った。最近の好釣果を受けてか、釣り客が多くへた釣りが入った右舷は10人。出船前には船長からの釣り方のレクチャーがあったが、電車で到着したへた釣りは準備に忙しく聞けなかった。エサのエビの付け方など、船長独自の工夫がされた内容が話されていたっぽいので、次に機会があったらちゃんと聞くことにしよう。釣り座は右舷の前から3番目。舳寄りの2人は一之瀬丸のマゴチ船の常連さんらしく2本竿で釣っていた。
桟橋を離れた船は海堡あたりに向かうのかなと思っていたら、海堡を通り越して大貫の沖寄りの水深17メートルくらいから釣り開始となる。仕掛けを投入したら誘いを兼ねて20秒に一度の頻度でタナを取り直す。これを辛抱強く続けることで、他の人より魚信の数だけは多く出せると信じていたのだが…なかなか魚信がない。イカっぽい魚信があり、エビの背中を齧られることが数回あっただけ。マゴチだけでなく海中に生体反応をほとんど感じずに時間が過ぎて行く。それでも釣っている人はいるようで、大貫沖では船中4本。
その後、海堡と大貫をマゴチを求めて行ったり来たりするがパッとしたポイントはないようで、一流しで1匹船に入ればいい方というような活性。そのうち時合が来るだろうと、マメなタナ取りとエサのチェックを繰り返す。ほかにできることはヒューズオモリを取ってみたりまた巻いてみたり、タナが狂っているのかもと50センチから130センチまでタナを変えてみたりと試行錯誤したのだが…なんともならない。10時半くらいでさすがに今日はダメかもと思い始める。
11時くらいにポイントは大きく北上して木更津の工場前に。この日、唯一やる気のあるマゴチがいたポイントがここだった。船中ポツポツと釣れ始める。左隣でも釣れた。なのにへた釣りのエサに限って完全放置プレイ状態。釣った人のタナを見て真似してるはずなのに、同じタナで釣る人は釣るけれど、へた釣りの竿には一度として魚信が訪れない。このポイントを数流し攻めて、再び南下すると、またも期待薄な雰囲気に。このあたりでへた釣りの心が挫けた。機械的にタナは取り直したが、タナを取り直したからといって釣れるとは微塵も考えていない。惰性で竿を操作していただけ。
お昼をすぎて気温も温かくなってきたので、睡魔が襲ってくる。竿をたたんで寝ようとは思わないが、竿を握ったまま意識が寸断し、倒れかけて慌てて目を覚ますことが何度か。釣り始めて7時間近く、一度としてマゴチの魚信がないのであるから集中力を維持しろって方が無理である。そのまま何も起きずに沖上がりの時間に。クーラーの中は空っぽで、それもまたよしと思っていたら、釣れなかった人の証であるアジの干物をもらった。リベンジ? いつかするだろうけど、この退屈すぎた8時間の記憶が薄れるまでマゴチに挑もうとは思わない気がする。
著者: へた釣り