ベタ凪である。風もない。まさにカワハギ釣りのベストコンディション。閃迅カワハギ4戦目の後半で釣果を伸ばせたのでいいイメージを持って金沢八景・一之瀬丸から竹岡沖に出撃したのであるが、横の人の竿が極鋭だったせいで……大惨敗。極鋭17匹、閃迅8匹。トラウマになりそう。
この日の一之瀬丸のカワハギ船は片舷9人とやや混み合っていた。右舷の操舵室の前に釣座を決めて、竿の準備を終えたころ、隣の釣人がやってきた。「よろしくお願いします!」と挨拶をしてボンヤリと横の人の方を眺めていると……極鋭カワハギ1455!! しかも中錘なしの繊細な魚信をモノにしてやるぜスタイル。カワハギの群れはそれほど大きくはないので、横に上手な人が座るとへた釣りがありつけるカワハギは確実に減ってしまう。いやな予感を胸に竹岡沖へと30分の道のり。
いやな予感というのはだいたい的中するものである。極鋭カワハギを使っているからといって全員が全員上手いわけではない。閃迅カワハギを持っていてもド下手なへた釣りのような人だっているはずだ。でも、横の人はマジで上手かった。タルマセ→聞き上げを延々と繰り返して(一度もタタかずに黙々と)カワハギの魚信をモノにしていく。へた釣りがありつけるおこぼれは、競技カワハギのおかげで針掛かりさせることができる極小サイズのカワハギ(ヨソギまで釣れたw)だけという体たらく。
この日の海はベストコンディションだが、カワハギの活性は高くない。バリバリ喰ってくるという感じではなく、うまくカワハギの食い気を誘ってあげないと口を使ってくれない。しかも底にしか魚がいないようで、少しタルマセて大きく聞き上げてアピールするという手順でしか魚信を出せない。タタくとそんな動き回って面倒な餌は食べないというやる気のないカワハギを相手にタルマセ→聞き上げの技術を競うことに……。
昼過ぎあたりでギブアップ。師匠の極鋭カワハギレッドチューンにも勝てる気が全くしなかったが、極鋭カワハギ1455にも全く勝てる気がしない。横の人が20センチ前後で型がそろったカワハギを釣りあげていくのを横目に、へた釣りのバケツの中は15センチくらいのカワハギばかり。数が少ないので悠々と泳いでいる。ちょっとはカワハギ釣りが分かってきたかな?という自信は木端微塵に打ち砕かれる。
へた釣りの竿に横の人をして「デカい! 一発逆転ですね!」と言わしめた25センチのカワハギが掛かった。タルマセ→聞き上げに飽きてタタいて聞き上げると何かの間違いで釣れた。今シーズンで一番の大型なわけだが、極鋭に二連敗したという挫折感の方が勝って、「型の記録を更新したぞ!」と喜ぶ気にもなれない。もちろん逆転した気分ではない。ちょっぴり鬱なへた釣りなのであった。極鋭の人は竿頭。へた釣りは船中真ん中くらい。
著者: へた釣り