昼から飲める身分ではないが、ごくごくたまに昼飲みする。昼飲みするならこういうお店でがいいという条件をすべて満たしてくれている居酒屋が難波にある。なんばグランド花月1階にある酒処さつきだ。刺身が美味く、食事客はおらず全員酔客。メニュー豊富で長い時間楽しむことができる。
なんばグランド花月なんて、観光客が多そうなある意味難波の中心地のような場所で昼間っから酔っぱらっていいのかというと、いいのである。酒処さつきは11時にオープンする。昼はサラリーマン客にランチを出してという営業ではなく、オープンした瞬間から居酒屋さんである。お寿司もあるので昼飯でというのも可能かもしれないが、行った日が土曜日だったせいもあってか13時ごろに入店すると、みんなしっかり飲んでいた。昼酒のお店はこれが大事。腰を据えて昼から飲もうとしている横で焼き魚定食を食べられると、後ろめたさを感じてしまいどうにも飲みにくい。酒処さつきを昼に利用したのは今回で2回目だが、昼飲みするなら今のところ難波で最強のお店。
レモンチューハイで乾杯したら、まずは「造り5種盛り」。1人前680円で5種類のお刺身が2切れずつ盛られてくるという超お得メニューだ。この日はカンパチ、真鯛、まぐろ、しま鯵、平目。昼からやっている酔っぱらい歓迎のお店は、煮込みや串焼きなどは美味しいものの、お刺身はあまり…ということが多いが、酒処さつきのお刺身は新鮮で美味。カンパチなんて噛み切るのに苦労するほどの身の活かり具合。シマ鯵は脂の旨みがしっかり感じられ、真鯛、平目も身の弾力と白身魚のほのかな甘みを両立している。ちょっと贅沢して活けアワビを追加注文。コリコリ&磯の香りを堪能できた。
美味しい魚はお刺身だけではない。穴子の一本揚げはふわふわ。夏のこの時期に関西に行ったら食べておかなくてはという気分になる鱧は炙りでいただいた。落とし(湯引き)よりも身の香ばしさが引き立つ。梅肉を少し乗せて食べる。骨切りした身のシャリシャリとした食感まで含めて楽しい。前回も頼んで美味しかったと覚えていたのがふぐの白子塩焼き。濃厚クリーミーで生臭さはなく大好物のチーズのような味わい。
魚の美味しい店では是非真似したくなるメニューが見つかることがある。うろこせんぺいが気になったので何かと聞いてみると、カンパチの皮を揚げたものらしい。カンパチはウロコが小さいので松笠揚げにすれば酒のつまみになるんだそうだ。止められない止まらない系の美味しさだった。カンパチが釣れたら次からは皮は捨てない。自家製かにみそ豆腐はかに味噌が好きなら是非にと勧めたくなる一品だった。それって美味しいの?と頼んでみたのがフカヒレ天婦羅。ほかでは食べられないものなので貴重な体験。
お魚ばかり食べていたわけではない。野菜の料理も美味かった。なすの七味煮はなすとピーマンの煮びたし。七味は隠し味なので辛いわけではない。つるつるわかめはわかめでできたそうめんのような物。出汁と一緒にすするようにして食べるとのど越しが楽しい。関西の夏といえば、魚なら鱧、野菜なら泉州の水茄子だ。浅漬けをいただく。普通の茄子とは違う水茄子の歯応えを楽しむ。
著者: へた釣り