終わりよければにしたいので、釣り納めはボウズを食らわない釣りと決めていたのに令和元年に限ってカンパチだのハタだのと騒いだあげくに今年初のクーラー空っぽ。本命ボウズのことは何度かあったが何かしらのお土産は持ち帰れていた。釣り納めは…魚信らしい魚信すらなし。
年末年始は家族旅行の予定なので5日ほど熟成させて食べごろになる魚を釣ろうと決める。宇佐美・治久丸の泳がせ五目で釣れている、カンパチ、ハタ類、そしてヒラメ(一応、本命?)ならその条件にぴったりだった。活きイワシをエサにしたヒラメ釣りは2回に1度はボウズをくらって嫌になってしまった釣りだが、カンパチやハタ類ならヒラメほど食い込ませるのが大変ではないと思われるので1日やってれば何かは釣れるだろうと高をくくっていた。そういう高慢さを釣りの神様は許してくれない。丁寧にタナを合わせ続けたつもりだが、一度として魚信らしい魚信は訪れず、宇佐美沖にて頓死する。
8時半に品川駅から熱海行きの東海道線に乗り込めばいいので宇佐美へのプチ遠征は楽である。冬休みが始まっているため電車が混むかもと危惧したが行楽客と思われるグループは数組いただけで座って宇佐美駅まで。伊豆は東京に比べると少し暖かいと感じることが多いが年越し寒波襲来中なのでさすがに寒い。空の色は薄く、冬の景色、海になりつつある。宇佐美港まで徒歩で15分。カイワリで出船していた午前船が戻ってくる。タコ名人とT代木名人の姿が。サバの猛攻に遭ってカイワリは苦戦だった模様。釣り座はほぼ指定席の左舷舳。エサのイワシが配られる。カタクチイワシ?というサイズのマイワシだ。
港を出てすぐにある漁礁からスタート。水深25メートルくらい。船長から「イワシが小さいので孫針は打たずに」との指示があったので上顎の硬い骨のなるべく中央を刺す。孫針はプラプラさせたまま。まずはイワシを投入し、続いてオモリ。サミングしながらゆっくりと落とす。オモリが着底したら竿を下に向けて糸ふけをとる。オモリの重さを感じたら竿を水平に戻す。捨て糸が50センチあるので底を1.5メートルくらい切っているイメージ。ハリスは95センチなのでイワシは底付近を泳いでいるはずである。60秒に1回くらい底を取り直しタナボケを避ける。ときどき10メートルくらい巻き上げたゆっくり落としなおしてみる。
釣りに関しては真面目なのでひたすらタナ取りを繰り返す。愚直さが報われるときもあればそうでないときもある。魚信が全くない。タナが狂っているのかもと50センチだけ持ちあげるようにしてみたり、80センチくらいにしてみたりとあれこれ工夫してみたが魚信がない。ということは魚からヒントを一切もらえない状態なわけで無為に時間が過ぎていく。魚信とはいえないような違和感は何度かあった。フグに尾の部分をすっぱり切られていたり、微妙なとしか言いようがない魚が咥えたと思われる傷があったり……。盛り上がったのは後ろ(右舷舳)で50センチくらいのエソが釣れたときくらいで、何も起きないので黙々とタナと取り直し続けた。
日が傾き始める。治久丸の午後船は日が落ちると沖上がり。釣れる予感は微塵もしなくなっていたが諦めが悪いのでタナだけは合わせ続けた。偏向グラス越しだと穂先が見えにくくなってきたころ、何かがイワシを咥えて穂先を揺らす。アワセてはみたが魚がついてるようなついてないような…重量感は全くない。20センチに満たないオオモンハタだった。これをもってボウズ解除と言い張ることもできたが持ち帰っても食べるところがないのでクーラーには入れず。忙しい年末にクーラーを洗わずに済んでラッキーだ、こんちくしょう!!
著者: へた釣り