釣りに関しては懲りることがない。正確に書くと何度も懲りているはずなのだが、懲りたことをすぐに忘れてしまう。日の出とともに堤防へ。昨日からの雨で堤防の様子が変わってくれていることを期待していた。海をのぞきこむと打ち寄せた波がサラシを作っていてなんともいい感じじゃない!?
待ちに待った波っ気。メジナの活性が確実に上がるはず。メジナの活性が上がればその捕食音にクロダイが寄って来るはず。妄想だけど、クロダイが釣れるときはそんな妄想が成立するときだったりする。テトラ際、藻際にコマセを打って、メジナを足止めしつつ活性を上げていく。ウキはテトラから5メートル離れた位置へ。本当は10メートルくらい離したいのだが、北東の風が向かい風になって、安定してウキとコマセを同調させられるのは5メートルくらいと判断した。雲の切れ間から日の光が漏れる。なんだかいい予感。
海水が透明すぎるという問題はまだ残っているようで、メジナの活性がなかなか上がりきらないが、それでも4~5流しに一度くらいはメジナがテトラや藻の中から飛び出してくるようになった。掌メジナがウキをキュィーンと持って行ってくれる。小気味よい引き。磯竿1号ならこのサイズでもテトラに逃げ込まれないようにやり取りするのが楽しい。昨日まで全く遊んでくれなかったメジナが今日はちゃんと遊んでくれるってだけでハッピー気分。
メジナの活性が上がりきってしまうと、1オキアミ1メジナの束釣りペースになるのだが、そうなるとクロダイが釣れなくなるので、コマセをセーブしつつも途切れないように、メジナが元気になり過ぎないように粘る。少しやり取りに焦るいい引きをする魚が掛かって27センチの足裏サイズをゲット。とりあえず今合宿一のメジナ。お刺身にしちゃおっかなぁとも思ったが、昨日釣ったイサキがまだ残っているのでリリース。
計算どおりにコマセが効いている。藻際からはメジナが飛び出してくるが、ウキを入れて流し始めるポイントまではメジナが飛び出さない。ちゃんとポイントが作れているはず。あとはクロダイが寄ってきてくれれば…これはもう海の神様、釣りの神様に祈るしかない。メジナの飛び出しが減ってきて、あれ? 時合が去ったかなという状況に。あるいはクロダイが寄ってきてメジナがビビッて出てこない? どっちかな~と考えているとウキがモゾモゾ。メジナのように餌を咥えて走るのではなく、餌を咥えて飲み込むかどうかをモゴモゴ考えている。ク・ロ・ダ・イのヨ・カ・ン!!
待ちに待った待望のこの瞬間。アワセ時をしくじれば泣いてそのまま東京まで帰っちゃう。ウキが少し斜めに動く瞬間をじっと待って、ウリャァァァァァ!と竿を煽る。針が立った。穂先がひん曲がる。メジナにはない重量感のある引き。メジナは根に走る習性があるが、クロダイは沖に走ることが多いのでしっかり掛けてしまえば取り込むのはクロダイの方が楽なはずなんだけど……なんだ? こいつ、テトラに向かって走りだす。予想外の動きに慌てたが、藻に突っ込む前になんとか止めた。
ハリスは1.5号あるので、あとはもう慎重に慎重に弱らせて、竿で絞り上げて海面から頭を出して空気を吸わせる。ここまでくれば9割がた釣り上げたも同然。タモに手を伸ばす。ここで大問題。6メートルのタモが海面ぎりぎりまでしか届かない。ハリスがどこかに擦れてブレイクするのを恐れて、あまりケーソン際まで寄せずに取り込もうとしたのだが、届かなきゃどうしようもない。タモを出しながらしゃがんで、竿を持つ手を頭上に大きく上げる。慎重に慎重に…入った!! 45センチのタモにちょうど収まるナイスサイズ。50センチはあるかな? 突然、背後から拍手。散歩中の地元の人が何人か、アホほど竿が曲がっているのを見学していたようである。どや顔全開で手を振って声援に応えるw
ストリンガーもクーラーも持って来てなかったので、クロダイが釣れたら一度撤収。10年近く生きてきたクロダイである。ちゃんと鮮度のいいうちに血抜きして美味しく食べてあげないとね。帰ってきて計測すると…残念! 50センチに少し足りない48.5センチ。なかなかデップリとしたいい体型をしているので重さも計ってみたら2.24キロ。お約束なのでどや顔写真を撮っておくw 58Lクーラーの主としてただいま熟成中♪ この原稿をアップし終えたら、もう1回出撃。下げ潮パターンでもう1回どや顔したいなぁ~~~。
著者: へた釣り