凹んでないというと嘘になる。こんな日もあるさと自分を慰めても、折れた心が立ち直らない。前日までカイワリは好調だった。でも、俺が行ったら不調になった。理由は潮が澄んだかららしい。「反応はあるのに」という船長のお手上げ発言を背中で聞きつつシャクリ続けたけれど……ダメっ!!
ツ抜けが狙えてもおかしくない感じになってきていたので急遽、宇佐美への弾丸プチ遠征を敢行した。朝7時ごろに家を出て電車で伊豆の宇佐美へ。午後船のカイワリ五目に乗って、トンボ帰りで東京へ。家に帰りつくと21時近くになるので体はきついが、きつい分応えてくれるのが宇佐美の海である。ただし、ときどき裏切られる。本日はそんなダメな日だった。10時に宇佐美駅に到着し、港へと向かう。海はべた凪で凪倒れという嫌な言葉が脳裏を掠めたがここまで来てウダウダ考えても仕方がない。堤防で少し暇つぶしの釣りをしていると治久丸が帰ってきた。
釣り座は船長に指定される。へた釣りの席は右舷3人の真ん中だった。準備をしていると船長がやってきて「ちょっと潮が澄んできちゃってるんですよ」と教えてくれる。ウィリーだと厳しいよってことを示唆してくれているわけだ。さらに「昨日はトップ9匹で白いイカ短使ってる人でした」との情報ももらうが、だからといって素直にエサを付けて釣ろうとは微塵も思わない。12時に港を離れ、噴火口と呼ばれる水深90メートルくらいのポイントで釣り開始となる。
カイワリ狙いなのでスティほぼなしで50センチ刻みの速いシャクリをまずは試してみる。魚信はすぐにあった。でも、カイワリらしくギュンと竿先を持って行くような豪快な魚信ではない。最初の魚信なので、丁寧に掛けにいって針掛かりさせる。艫でまずまずサイズのカイワリが上がった。へた釣りにも小型ではあるがカイワリ。最初の一投で本命を手にして今日はイケるかもと思ったのだが……。
最初の1匹以後、魚がウィリーに触れてくる感触がなくなる。シャクってもシャクっても何も起きず、ごくごくたま~に下針のオキアミにキダイやアジが掛かってくるだけ。アジは35センチくらいあってまずまずの良型だった。体高もありよく太っているので脂の乗りもよさそうだ。というわけでアジ釣りに励むことに。カイワリよりもスティ時間を長め(2~3秒)でアジが釣れるが、やはりウィリーへの反応は悪いようで、オキアミの針ばかりに食ってくる。潮が澄んだ影響? 船長は「反応あるのになぁ~、触ってこないね~」と船上で一番聞きたくないお手上げコメントを連発する。
アジばかり釣るのに飽きてきたので、仕掛けを底に入れてみる。アマダイ狙って少し小突いてビシを1メートルくらい持ち上げて長めに待つ。よっしゃ~アマダイ!!というそれらしい魚信が一度だけあったが、重量感が足りない。ソコイトヨリだった。ほかにはオキメバルやウルメイワシをキープする。おかずにはなったが……宇佐美まで遠征しての釣果としては不満だし、オキアミでばかりでほとんどウィリーでは釣りにならなかったことが悔しい。
著者: へた釣り