今年の剣崎沖イサキは裏切らない。本気でそう思っていた。前日は竿頭で100匹超え。へた釣りの目標は62匹。竿頭の6割すら釣れないなんてことはないので、6月の最多記録更新は楽勝と考えていた。手のひらを返された。ウィリーに反応鈍く、イサキは週休2日制だってこと忘れてた。
いろんなことを甘く見ていた。好漁が続いているのでイサキ船が混雑するだろうとは予測していた。前夜のうちに2隻出しになり、2隻ならかえって釣り座に余裕があるかもと思っていた。金沢八景・一之瀬丸に到着すると、釣り座の札は2枚しか残っていない。1段ではなく2段高くなったスーパーお立ち台の2枚だけだ。椅子もない席である。釣りにくそうとは思ったがほかに席が空いてないので仕方がない。風の予報は微風で凪だと思っていたらこれまた大間違いだった。飛沫を被りまくる強風でキャビンに避難して剣崎沖へと45分かけたどり着く。
イサキ船団はややばらけ気味でメインの根に松輪の船が数隻陣取っていたが、ほかは一人旅をしている船が多く小さな根を狙っている。こういうときは……釣れてない。既に釣りを始めている船から猛烈な倦怠感が伝わってくる。それでもダメかもとは思わない。62匹くらいならイサキの食いが立てば短時間でクリアできる。勝負は松輪の船がいなくなる昼からで午前中はポツポツと拾えればいいやくらいに考えていた。船が止まって釣り開始……魚がウィリーに触れてくる感触は皆無。ポツポツさえも拾えない。30分ほどやって移動の合図。
松輪の根から少し南下した水深40メートルくらいのポイントで釣りを再開する。魚信はあるにはあったがアジ、続いてサバ。混雑している船上でサバに走られると……。お立ち台ならオマツリに巻き込まれにくくてよかったと思う一方で、風は一向に収まらず波の上下でシャクリがうまく決まらずストレスが溜まる。シャクリ終えたあと仕掛けが張ってないようで魚がウィリーに触れてきた感触は何度かあるのに針掛かりしない。1匹目のイサキを手にしたのは釣り開始からちょうど1時間経った9時半。活性がいいのはサバだけのようで…恐れていた事態が。誰かがサバを走らせて多重事故。へた釣りのラインも巻き込まれた。オマツリをほどいてもらってやれやれと思っているとへた釣りのビシがない。10メートルくらいラインが切れていた。ビシも天秤もロストしてちょっと凹む。
イサキのご機嫌はよくならないままに時間だけが過ぎていく。粘り強くシャクリ続けてはいたので、ポツ~ンポツ~ンというペースでイサキは釣れるが、ツ抜けできてよかった~、20匹は無理かもというペース。景気がよかったのはトリプルを決めた時だけ。基本単発食いでウリンボサイズばかりなので盛り上がらない。アジは35センチ級が何匹か混じった。イサキが釣れていればリリースすることもある剣崎沖のアジだが本日はちゃんと血抜きしてお持ち帰り。魚信が遠い上に魚信があっても針掛かりしないという状況は最後まで変わらなかった。
沖上がりは15時。20匹いったかいかないかで終わりかな? 15時を少し回っていたと思う。穂先をガッガッと引き込む手応え。アジ? 巻きあげ始めると手応えが違うのでアジではない。上乗りさんがタモ持って駆けつけてくれる。ドラグが少し滑る。海面に現れたシルエットは茶色。まずまずサイズのイサキだ。デップリとした体型でいかにも脂が乗っていそう。尾叉長で28センチ、全長で30センチに数ミリ届かないお刺身サイズのイサキだった。最後まで諦めずにシャクリ続けたことに剣崎沖の神様がご褒美をくれた感じ。イサキ21匹とアジ4匹をお持ち帰り。目標の1/3しか釣れずで気分はどよ~~ん。
著者: へた釣り