釣りに行けない、お酒も飲みに行けないとネット通販での散財が凄まじい。普通ならもったいないと絶対に買わない物を買いまくっている。日本一美味しいと噂の駅そば「音威子府そば」を取り寄せて食べてみた。その黒さにまず驚いた。香りはそれほどでもないがそばの味はしっかり力強い。
音威子府(おといねっぷ)村は北海道上川地方北部に位置する人口700人くらいの小さな村だ。観光名所があるわけではないが、宗谷本線の音威子府駅にある駅そばの常盤軒は「日本一美味い駅そば」として知られており、このそばを食べるためだけにこの駅に降り立つ人が結構いる。関西、四国とうどん文化圏で育ったにも関わらずそば食いなので、日本一美味いと言われると気になるし、食べてみたくもなる。通販で買えることは以前にも調べたことがあるので知っていた。生麺7.5人前+そばつゆ1本で1630円と値段も手ごろだが、東京までの送料、カード決済できないので代引き手数料などを足すと3170円と結構な値段になってしまう。外出自粛となる前までは贅沢すぎるかと我慢できていたのだが……コロナ散財でポチッっと。
紙巻という状態で半乾燥状態になった麺が3つと音威子府そば専用そばつゆが1本入って届く。麺はジップロックに入れて冷蔵庫の野菜室に入れておけば10日ほど日持ちするようだ。7.5人前ということは紙巻1つで2.5人前という計算になるが、北海道のおそばは関東の感覚ではすべて大盛りだ。紙巻1つで3人前、つまり9人前入っている。茹でる前から麺が黒いことが分かる。茹で時間は5分。茹で上がったらざるにとって流水でぬめりを取る。洗い水が透明になるまでぬめりを取ることが音威子府そばを美味しく食べるコツらしい。日本一美味い駅そばを再現するならかけそばなど温かいそばにすべきだが、そば食いの習性でもりそばでいただくことに。
麺は茹でたことでさらに黒さが際立った。表面につやがあり、鈍く光っているように見えるのが実に美味しそう。箸で手繰ってみると麺に弾力があるのが分かる。食感への期待も高まる。専用そばつゆに手繰ったそばの先1/3だけをちょんとつけてすする。そばの香りはさほどでもないが、歯を立てると弾き返すような食感が面白い。麺が切れるとそばの味がしっかりと感じられる。分かりやすく美味い! あまり噛まずにのど越しを楽しみたくもあるし、しっかり咀嚼してそばの味を心ゆくまで楽しみたくもある。まだ8人前残っている。どちらの楽しみ方が正解かをゆっくり確認してみよう。麺にしっかりそばの味が閉じ込められているためかそば湯は今一つだった。
著者: へた釣り