釣りをすると魚に関するうんちくが増える。伊豆の某民宿で教えてもらったのが美味しいタイの見分け方。釣りを覚えたてで海上釣り掘付きプランを申し込んだのだが、「釣り掘で釣ったタイは養殖だから美味しくないですよ~」。腐ってもタイと2匹釣って食べたのだが、本当に美味しくなかった。
4年ほど前、伊豆・網代の民宿の海上釣り掘付き宿泊プランというのを申し込んだ。海上釣り掘での釣り以外にも釣りをする予定で、釣り道具一式を持って民宿に着いたのだが、出迎えた女将に「あら? 釣りをされるのに釣り掘にも行かれるんですか?」と驚かれた。「釣り掘のタイは養殖だから美味しくないですよ」という実に商売っ気のないことを臆面もなく言う(現在、釣り掘プランはなくなっている)。
民宿のプランに付いていたのは本格的な釣り掘ではなくフナを釣るような竹竿でタイを2匹釣って持って帰っていいというお遊び釣りだった。海上に設置された筏に船で移動し、30センチくらいのタイの引きを楽しんでねという感じ。短い竹竿なのでタイの引きは十分に楽しめたのだが……。持ち帰って食べてみると本当に美味しくなかった。
女将によれば「タイほど天然ものと養殖ものとで味の差がある魚はない」のだという。ついでに養殖ものの見分け方を教えてもらった。鼻の穴の数を数えるだけと実に簡単なもの。天然のマダイは鼻孔が2つ。養殖ものは鼻孔がつながって1つになっている。放流ものと呼ばれる稚魚のときに放流されたものも鼻孔が1つしかないのだという。
以来、都内の居酒屋や旅先などでマダイを見るとき鼻孔の数を必ず確認するようになった。当然だが安い店では鼻孔は1つ。ちょっと贅沢したかな?って店では鼻孔はちゃんと2つ。マダイ以外の魚でも天然ものと養殖ものを見分ける方法はあって、ヒラメの場合、無眼側が白一色ではなく黒が混じると養殖もの。トラフグはイケスで泳いでいるのを確認する。歯がなかったり、尾ヒレが傷つきギザギザになっていると養殖もの。
著者: へた釣り