妻1号(しつこいようだが2号などいない!)の先週末の外出はママ会。「パパと子供たちはどうしてる?」という話題になって、「3人で釣りに行った」と答えると、「女の子なのにパパとお出かけってすごいね」と驚かれたらしい。特に子供1号はパパってウザいと感じる年頃のはずなんだと。
家族で仲良く遊ぶということはへた釣りにとっては当たり前のことだったりする。へた釣りの父親は既に鬼籍に入っているが、生きているときはいろんな遊びに連れて行ってくれた。野球を教えてくれたし、日曜日に友達同士で野球をしていると、自分の道具を持ってきて参加するような人だった。高校野球で甲子園を目指していたくらいだから上手いんだ、これが。ゴルフも釣りも父親に教わった。お酒の飲み方も教わったのだが、こちらの方はあまりいい先生ではなかった。
というのも、酔っぱらって大きな声で六甲おろしを歌いながら帰ってきた父に、隣の中型犬が吠えた。近所迷惑な不審者には違いないので犬は悪くない。次に聞こえてきたのは「隣のご主人様のことくらい覚えとけっ!」という父の怒鳴り声と、それに応じて威嚇するような犬の唸り声。争うような大きな物音がしたかと思うと、キャゥゥウーンという情けない犬の声。何事かと外に出ると、玄関に背を向けて仁王立ちの父。「どうしたの? 大丈夫?」と声をかける。振り返った父は勝ち誇った表情で中型犬を口にくわえていた。犬はすっかり観念してダラーンとなっている。
……釣りの話に戻す。祖父も釣り好きだったせいか、父も旅行先には必ず釣り竿を持って行くタイプだった。一番記憶に残っているのは、足摺岬での釣りだ。へた釣りは小学2年生だった。早朝に目を覚ますと父がいない。「釣りに行く」と言っていたのを思い出して、外を見ると、磯の先端に父らしき影。パジャマ姿で薄暗い磯を歩いて父の釣っている場所まで行ったのであるから、安全面でいうと滅茶苦茶であるが、「お前も釣るか?」と嫌な顔一つせずにへた釣りの竿を用意してくれた。父はイシダイ釣りをしていた。その横でへた釣りはサビキで熱帯魚釣り。サビキの道具とアミエビまで用意されていたので、追いかけてくるかもと予測して準備しておいてくれたんだと思う。
紀伊半島に旅行したときは初めての船釣りも一緒に行った。へた釣りは小学5年生。小学生低学年だったへた釣りの弟(こちらもバイク事故で死去)も一緒だった。4~5人が定員の小さな漁船で、竿を使わずにテグスを直接持って釣る釣りだった。仕掛けを入れれば、カマスやアジが入れ食いだった記憶があるが、へた釣りと弟が「魚を外して」、「仕掛けをほどいて」、「餌を付けて」と父に頼むもんだから、召使い状態だったはずだ。そのうち、乗り物酔いのひどかったへた釣りがまずはダウン。続いて弟もぐったり。船上で下を向いて作業ばかりさせられていた父も、ゲロゲロ。一家そろって船酔いでものの数時間で早上がりしてもらった。この経験でへた釣りは一昨年まで船釣りができなかった。
ほかにも父が大きなイシダイを釣ってへた釣りが魚を持たせてもらっている写真や、一緒に投げ釣りをしている写真、バケツいっぱいにヒイラギ&ベラを釣ってうれしそうにしているへた釣り&弟の写真などが残っている。高校生くらいまでは大阪湾の沖堤防へクロダイを一緒に釣りに行っていた。ダンゴ釣りのやり方を教えてくれたが……あまり釣れなかった。そんな父の影響か、自分の楽しみに子供を巻きこむのがへた釣りスタイル。LTアジで子供1号&2号の召使いにされたってそれはそれで面白い。自分が釣りに行くときに子供に予定がなさそうなら「釣り行く?」と聞いてみる。へた釣りが大好きな釣りを子供たちが面白いと感じてくれればうれしい。
というわけで、明後日からは西表島に大遠征。当然、家族も一緒に連れていく。マングローブでナンヨウチヌ釣り。リーフでカラフルな魚と戯れる。体力的に子供たちには無理なGT&ジギング以外はファミリーフィッシングしてこようと思っている。「行きたくない」と言われれば無理強いする気はないが、そう言われるまでは一緒に思い出作りをするつもりだ。
著者: へた釣り