釣りを覚えなければ知らなかったと思うのが魚の食べごろ。新鮮な物ほどよいというわけではないと知る。釣りをしない友人と食事に行くと水槽を泳ぐアジに目を止め食べたいと請われることがあるが身が生ぬるいし弱っているしで美味くない。アジもだがカイワリも〆て2日目が至上だ。
2日目が一番美味いと知っていてもたくさん釣れたときは釣行後の一杯は釣りたてのお魚で。今回はカイワリが9匹。3日くらいで食べ切るのがよいと信じているので、1匹だけその日のうちに食べる。身はぷりぷりと活かっており、歯を押し返すような弾力がある。皮際の脂は感じられ、これでも十分に美味しいのだが、身に旨みが回ったカイワリの味を知っていると少し物足りない。でも、釣れた喜びを文字通り噛みしめるために食う。
1匹しかカイワリが釣れなかったらいつ食べる?と問われれば、迷うことなく釣行翌日の夜である。釣行当日夜に比べると身のぷりぷり感は少し落ちるが、身に脂の旨みが十分に回ってお刺身最強魚に仕上がってくれる。これを食べられるから、ほかの釣りでは金沢八景までが活動限界のへた釣りがカイワリに限って片道2時間以上かけて宇佐美までプチ遠征するのである。2日目の方針は家族4人でカイワリのお刺身を食べられるだけ食べるだ。ほかの魚のお刺身は見向きもしてくれないことが多い子供たちがこの日だけは箸が止まらなくなる。カイワリ9匹は昨晩へた釣り家の胃袋に消えた。
著者: へた釣り