「子供を連れて船釣りに挑戦してみたいんだけど!」。東京湾では、LTアジかシロギスが船釣り入門の定番だけど、へた釣りのオススメはメバル・カサゴ釣り。胴突き仕掛けにエビ餌。手が汚れないし、オマツリも少ない。GW以降の時期なら船釣りが初めてでもそれなり以上の釣果が望める。
メバル・カサゴ釣りは時期を選べば、東京湾での船釣りで最も易しく、かつ美味しい釣りだと思う。毎年2月1日に解禁となる。水温が低い時期は、大型を狙って寒空の中、細ハリスで頑張るマニアックな釣り。ゴールデンウィークを過ぎ、水温も上がり、潮に濁りが入り始めると、一転してボウズどころか一桁釣果になることはまずない、ファミリー向けの数釣りシーズンとなる。実際、メバル釣り初体験の人が50匹釣って竿頭なんてこともある。メバルもカサゴも食べて美味しい魚なので、5月中旬以降~7月に船釣りを始めるなら、アタリハズレの大きいLTアジやキャストに少しコツがいるシロギスよりも、メバル・カサゴは敷居が低い。なるべく凪で曇りの日を狙って釣行スケジュールを決めよう!
アレもコレもと長くなりすぎたので目次
・準備編 魚を入れるクーラーと人数分のハサミがあればそれでOK!!
・出船前編 出航して10分で釣り開始となるので臨戦態勢を整えろ
・装餌編 エビの尻尾を切ってチョン掛け。白くなったら交換どき
・実釣編 太極拳のつもりでゆっくり動くのがメバルゲットの秘訣だ
・魚信編 アワセ厳禁。竿がグンッと引きこまれるまでじっと我慢
・根掛かり編 いきなり竿を立てたらダメ。少し緩めると外れるよ
・リリース編 15センチ以下のメバルやカサゴは海に帰してあげよう
・沖あがり編 仕掛けを外すだけだ。エビの網で魚をクーラーに
用意する物はクーラーと人数分のハサミ、手を拭く用のタオル。これだけでOK。船宿に着いたら氷をもらってクーラーに入れる。足元のホースから海水が出たら、クーラーに注いで海水氷を作っておこう。仕掛けは船宿で購入するのがオススメ。市販のメバル用仕掛けより下針の位置が低くなっており、カサゴを狙いやすい。根周りを釣る釣りなので、船上でいつでも買い足せる船宿仕掛けが安心だ。錘は20号のことが多い。釣り具店で売っている1個あたりの単価が一番安い六角錘20号を袋買いしておこう。1キロ買うと13~14個入っているので1釣行2人分くらいになる。竿とリールは貸し竿を利用しよう。
貸し竿はリールがセットされ、ラインの先端にスナップが付いた状態で用意されている。スナップに仕掛けを接続し、引きだす。仕掛けの末端に付いているスナップに錘を接続すれば準備完了だ。ここで注意点。仕掛けを吹き流した状態で船が走ると、枝スに縒りが入ってしまうので、針をガイドの足の部分に引っかけておこう。針が人の服に引っ掛かるなどのトラブルもこれで起きにくくなる。餌のモエビが入ったバケツが配られるので、陽のあたる場所を避けて置いておく。余分なタオルがあるならバケツを覆っておくのもよい。モエビは淡水のエビ。海水が入らないように気を付けてあげる(←水が少ないななどと余計なことを考えて、エビのバケツに海水を注がないように!!)。
ポイントに着いたらいよいよ、生きたモエビを針に付ける。子供などはこの作業だけで結構楽しめるようだ。エビの尻尾をハサミで切る。切り口から針を入れて、尻尾寄りから1つめか2つめの関節(殻の継ぎ目)を目安に針先を抜く。ハサミを必ず1人1個用意した方がいいのは、この作業を頻繁に行うことになるから。ハサミを貸し借りしている時間がもったいない。ベテランの人だとエビの尻尾を口で切る人もいるが、個人的にはあまり真似したくない。注意点は針先は必ず背側に抜くこと。腹側に抜くと水中でエビがクルクル回ってしまい、釣りにならない。エビの交換の目安はエビの体が白く見えたら。最初は透明がかったエビの体が白濁するとエビが死んだってこと。2~3回投入したら魚にかじられてなくても交換するつもりでいるくらいでいい。エビはバケツを船長のところに持って行けばオカワリ自由だ。
エビを付け終えたら錘を握って、竿を海面に対して水平に構える。竿を30度くらい待ちあげながら錘を放すと5メートルくらい先に仕掛けを振りこめる。振りこんで仕掛けを投入すれば枝スが絡みにくくなる。子供用などで2メートル以下の短い竿が貸し出された場合は、仕掛けの針数を1本減らして仕掛け長を詰めれば子供でも振り込みやすくなる。錘は着底したらすぐにハンドルを少し巻いて糸吹けを取る。竿先がまっすぐ(錘負荷なし)からほんの少し曲がる(糸に錘の重さは乗るが錘が底から離れない)状態を頑張って維持する。20秒くらい待って魚信がなければ竿をゆっくり頭上まで待ち上げ、また錘が着底するまでゆっくりと下ろしていく。攻めるポイントを変えるのと同時にメバルに上から落ちてくる餌を見せてやる。このときの動きは遅ければ遅いほどいい。太極拳のような動きというと分かりやすいだろうか?
メバルやカサゴが餌に食いついた手ごたえは竿先や手元に明快に伝わってくる。慌てて竿を持ち上げてしまいそうになるが、ここはじっと我慢する。竿先がフルフルとしたあとに、グンッと大きく竿が曲がるまで待ってから、竿を少し持ち上げてリールを巻き始めよう。メバルの最初の引きは、同サイズの魚と比べると強い。この引き味を楽しむのがメバル釣りの醍醐味だ。25センチ超のメバルが針掛かりしたら、どんな大物が掛かったのか!とビックリすることになる。30センチ近い大物の場合は「タモー!!」と叫ぼう。ハリスは切れなくても、抜き上げる瞬間に細軸のメバル用の針は折れることがあるので、デカいと思ったら船長や周りの人にタモ取りしてもらう方がよい。メバルもカサゴもトゲがいっぱいなので、口の中に親指を入れて持つカサゴ持ちをマスターしておこう。針を外すときなどカサゴ持ちできた方がずっと簡単だ。
メバルもカサゴも根魚というだけあって、海底が岩礁のポイントを釣ることが多い。根掛かりはどうしても発生するし、根掛かりを恐れていては釣りにならない。根掛かりしたときに竿をいきなり立てるのは禁物。さらにガッチリと根掛かりさせてしまうだけだ。少し糸を緩めてからゆっくり竿を持ち上げると、外れることが多い。2回くらいこれを試してみてそれでも外れないようなら、ラインを手で取ってゆっくり引っ張ってみよう。錘や仕掛けを余裕を持って準備しておくと、根掛かりを恐れずに済むぞ。魚信があったあとで根掛かりになることがある。これは小さな魚が餌を食ったあと根に潜ってしまった結果。この場合もラインを緩めて10秒くらい待ってからゆっくり竿を持ちあげよう。運がよければ魚も仕掛けも回収できる。
メバル・カサゴ釣りではどうしても小さいサイズの魚が混じる。選んで釣れるものではないので、仕方がない。目安として15センチ以下の魚はリリースしてあげよう。持って帰っても食べるところがほとんどない。ゴールデンウィーク以降の時期なら釣れる水深が浅いので、ほとんどの魚が海面に放すだけで、ちゃんと泳いで帰っていく。魚が海面に浮いてしまったら、タモですくってお持ち帰りするか、海面に叩きつけて再リリースする。海面に魚を叩きつける…ずいぶん乱暴な方法だが、生還率は大幅にアップするので、騙されたと思って、海面に叩きつけてみよう。
沖あがり(釣り終了)の合図があったら、あと片付け。といっても、仕掛けを外せば、貸し竿の場合、片付け終了だ。この時点でエビのバケツが回収されてしまうことが多い。エビのバケツが回収される前にエビ用の網を使って、クーラーに魚を移しちゃおう。まだ生きているメバルをバケツの中で手づかみにしようとすると、手が傷だらけになりかねない。魚は最後にまとめてクーラーに移すのではなく、10匹釣れたらなどのルールを決めてクーラーに移すようにしておくと、鮮度保持にもなるし、船長の「何匹釣れました?」という質問にも答えやすい。帰りは船宿まで少し時間がかかることが多いので、キャビンに入ってのんびりくつろいでもいい。
著者: へた釣り