へた釣りを読んでGWにLTアジで船釣りデビューを果たした某親子。アジ2匹ずつと釣果は伸びなかったが、十分楽しかったようで、「今度はシロギスに行くんですよ」。さすがにアジをもう一度やった方が…とは思ったが、いろんな魚を釣りたいという気持ちも分かる。コツをまとめてみた。
シロギス釣りは難しい。全く釣れないというわけではなく、上手な人と下手な人の差がつきやすい釣り物だといえる。100匹釣っている人のすぐ横で釣っているのに10匹しか釣れないなんてことも起こる釣りである。へた釣りも実はあまり上手ではない。でも、2年間ああかな? こうかな?という試行錯誤の末に船中真ん中くらいは釣れるようにはなった。悩んだ分だけ、この釣りの入口でなんでぇ~?となるのはどこかは分かっている。どうして自分は釣れないんだろう?と悩み、釣り方を工夫し、上達したいと思い始める釣り物がシロギスである。へた釣りの分かる範囲でシロギス釣りの入口部分を整理してみようと思う。結構忙しい釣りなので、気合を入れて釣らなきゃダメだ。
アレもコレもと長くなりすぎたので目次
・準備編 仕掛けは船釣り用を必ず買う。胴突きは最初は不要だ
・出船前編 準備は天秤をスナップで接続し錘を付けておくだけ
・到着編 アオイソメは切れるだけ切っておくと後で楽だぞ
・キャスト編 アンダーハンドでエイヤッと投げると楽しいぞ
・実釣編 チョンチョンの誘いが大事。アワセは大きくゆっくり
・爆釣編 追い食いで一荷を狙う。外道が多いときは待ち時間短縮<
・不漁編 釣れないときほどエサをマメにチェックしタラシを長く
・沖あがり編 天秤を外すだけで後かたずけはほぼ終了で楽チン
持ち物は、クーラーとハサミ、タオルさえあればいい。船宿について氷をもらったらクーラーに入れて、足元のホースから海水が出たらクーラーに注いで海水氷を作っておこう。そろそろ気温が上がってきているので、魚の鮮度保持のためにもいつまでもバケツの中に魚を浮かべておかないように。ハサミは餌を切る用に。タオルは切った餌を並べておくために使う。ほかに用意するものは、船用の片天秤(固定のもの)と船宿指定の重さ(浅場で釣れる時期は15号のことが多い)のナス型錘、仕掛けを1人2組くらい。天秤はアームの長さが15センチくらいのものを選ぶ。船シロギス用として売られている天秤の中ではアーム長が長めだが、15センチあれば仕掛けがらみが減るように感じる。仕掛けを買うときの注意点は投げ釣り用と書かれているものを絶対に買わないこと。仕掛けの全長が長すぎて船では扱いきれない。船用の胴突き仕掛けも売られているが、釣りを難しくするだけなので最初は不要だ。シンプルな(あまりビーズなどの装飾がされていない)全長80センチくらいのものを選ぶ。ハリスは0.8号か太くても1号。針は湾曲している流線型のものでいいと思う。針のサイズは6号と7号のものを買っておく。
ロッドやリールは船宿で借りられる。全長1.8メートルまでくらいのスピニングタックルだ。天秤に錘を装着する。バネのような部分をスライドさせて錘を付けるタイプとスナップで付けるタイプがあるが、そう迷わずに装着できるはず。レンタルタックルのスナップサルカンを天秤の竿側に付けて、ドラグ(スプールのツマミを回す)をギチギチに締めておく。船べりに挿すタイプのV字型の竿置きを持っているのなら、餌づけやポイント移動などで竿が転がらずに便利だ。竿を船べりの穴に差し、少し糸に余裕を持って天秤が転がらないように置いて出船を待つ。仕掛けは図(クリックで拡大)の通り。
出船したらキャビンに入らずに東京湾クルーズ。浅場でシロギスが釣れるということは温かいので少しくらい飛沫を被っても平気なはず。ポイントは木更津沖や中ノ瀬のことが多いので湾奥出船なら40分ほどの行程だ。そろそろポイントに着くかな?と思ったら、餌のアオイソメをハサミで切り始めよう。まずは頭の硬い部分を切り落として、全長4センチくらいに切っておく。針に付けたらタラシ(針から垂れている部分)が2センチくらいになる感じだ。船が止まったら仕掛けを天秤に装着する。スナップを開けて閉じるだけ。足元に海水が出始めたらタオルを軽く濡らしてその上に切ったアオイソメを並べておく。餌は丁寧に付ける。針に刺した状態でイソメがまっすぐになっていないと魚信が減る。針チモト(針の結び目)部分までアオイソメをこきあげておくと餌だけ取られにくい。船長が舳先からパラシュートアンカーを投げ入れてから釣り開始の合い図が出る。
船からのシロギス釣りはアンダーハンドでキャストして船の周辺を広く探って釣ると効率がよい。天秤を竿先から10センチくらいまで巻き上げ竿先を下げる。エイヤッと竿を振り上げ糸から指を放すと仕掛けが飛んでいく。大人なら20メートルくらいは十分投げられるはずだ。天秤が着水したらすぐにスプールを指で押さえてそれ以上糸が出ていかないようにする。天秤にテンションをかけながら沈めていかないと仕掛けが絡むので指で糸を止める(サミングという)のは忘れずにやった方がいい。この時期のシロギスは水深が浅いので着水と同時に糸を止めても飛距離のロスはほとんどない。問題は背の低い子供。無理してキャストするよりも足元に落として釣った方がトラブルが少ない。といっても子供は言うことを聞かないので、何度かキャストさせて上手に出来るようならキャストして、無理そうなら足元で釣らせるようにしよう。焦れた子供は少しでも飛ばそうとオーバーハンドで投げようとすることがあるので、実釣開始前に船ではオーバーハンド厳禁だってことをちゃんと言い聞かせておこう。
パラシュートアンカーを使った流し釣りなので、船はゆっくり潮に乗って後ろへ後ろへと進んでいく。投入した仕掛けも底を船が流れるペースで動いていると考えてよい。錘が着底したら海底で天秤が小刻みに揺れているのをイメージして、竿をチョンチョンと動かして誘ってみよう。チョンチョンしてしばし魚信を待ち、魚信がなければ少しだけ竿を持ち上げ錘の位置をずらしてもう一度チョンチョン。何度かチョンチョン→魚信を待つ→錘の位置をずらすを繰り返して、竿が頭上近くまできたらリールを巻いて竿を下ろしてまたチョンチョン。この繰り返しである。シロギスの魚信は明快に竿先や手元にプルルッと出る。強いアワセはスッポ抜けの原因。魚信を感じたら竿をゆっくりと肩を要に扇状に大きく動かしてアワセていく。途中でシロギスがハリスを引っ張るような手ごたえに変わるので、それが針掛かりした証だ。あとは一定のペースでリールを巻いてくれば無事シロギスゲットとなるはず。足元で釣る場合も竿をチョンチョンと動かすのが肝心。10秒に一度は天秤が底から離れないように小刻みに竿先を揺らしてシロギスにアピールしよう。アワセは竿をスッと持ち上げるような感じで。
東京湾の船からのシロギスは2本針の仕掛けで釣る。1匹釣れた場所にはほかにもシロギスが潜んでいるはずなので、できれば針数狙いで数を伸ばしたい。針掛かりしたシロギスの動きが誘いにもなるので、針掛かりしたのを確認したらそのまま竿を動かさないようにしていれば、すぐに2度目のプルルッな魚信が出ることが多い。2匹目の魚信がなかなか出ないときは仕掛けを回収。高活性なら1匹のシロギスが針を2本とも飲んでいることがある。その場合はチョンチョンと誘ったあとの、魚信を待つ時間を短くしていく。また、メゴチなどシロギス以外の魚が釣れるときも魚信を待つ時間を短くしていく。シロギス釣りのもう1つ重要なポイントが手返し。シロギスに針を飲まれてしまった場合、ペンチで外していては時間もかかるしハリスが細いのですぐにチリチリになってしまう。エラに親指と人差し指を突っ込み、エラの奥の部分をつまむように力を入れながらハリスを引っ張ると針が外れるので、この針の外し方は絶対に覚えておこう。釣果が全く変わってくるぞ。
船長さんはシロギスがいると思われるポイントを流してくれるのだが、魚探で魚の存在を確認しているわけではないし、シロギスの機嫌の良し悪しもあるので魚信が遠い日もある。そんなとき絶対にやってはいけないのが釣れないからといってエサもロクに変えずに釣り続けること。海水に長時間浸かって白くふやけたエサでは、数少ないチャンスを逃してさらに釣れない状況を自分で作っていることになる。エサはマメに交換しよう。タラシの長さを少し長くしてみて、シロギスへのアピール度を上げてみるのも効果があることがある。エサを1センチ長くしてタラシを3センチくらいとってみよう。周りが全く釣れていないときに努力して釣った1匹は、すごく価値ある1匹に思えてくるぞ。ハリスを細くすると食い付きがよくなることもあるので、仕掛けの購入代金に余裕があるならハリス0.6号の仕掛けを持っていくと魚信が遠いときにもひょっとしたら自分だけは…って気分(←これ大事w)を味わえる。
沖あがり(釣り終了!)の合い図があったら後たかづけに入る。仕掛けを外してゴミ袋に。あとは天秤だけ外せば後かたづけは終了だ。竿先にスナップが来るまでリールを巻いて少しドラグを緩め船べりの穴に挿す。借りたときの状態に戻しておけばいいわけだ。切って残ったアオイソメは海に捨ててOK。使わなかったエサはそのまま置いておく。船長が釣れた魚の数を聞いてくるので覚えていれば伝える。覚えてないなら竿頭候補でもない限り「数えてない」と答えても大丈夫。帰り道は船のスピードが速いので結構いい確率で飛沫を被る。ここまでくれば船酔いしてもOKなので、クーラー以外の荷物を持ってキャビンに入るのもあり。桟橋についたらクーラーの海水を捨てて魚を持ち帰ろう。
著者: へた釣り