「GWに子供と初めて船釣りをするんですよ」と相談される。このサイトを見て子供と釣りでもやってみるかと思い立ったというのであるから、なんとしても満足いく釣果を得て親子で釣りにハマってほしい。釣り物はLTアジ。GWの親子割引プランを利用するようだ。分かる範囲でコツをまとめたぞ。
へた釣りはLTアジ釣りが人に教えられるほど上手なわけではないが、上手じゃない分、この釣りの入口付近で悩むことは分かっている。釣れるときは仕掛けを海中に入れていれば勝手に釣れるのがLTアジ。でも、釣れないときは、何をやっても魚信が遠くて「東京湾のバカヤロー」と叫びたくなるのもLTアジである。幸いなことに4月中旬以降、東京湾のLTアジの釣果は悪くない。30センチ級の東京湾満足サイズ混じりで50匹前後釣れることもあるのだから、期待してもいいような気がする。
アレもコレもと長くなりすぎたので目次
・準備編 クーラーとペンチ、ハサミ、タオル×3だけでOK
・出船前準備編 天秤までは接続。仕掛けはまだ付けないで
・到着編 ポイントについたら忙しいのでテキパキ作業する
・実釣開始編 第一投はドキドキ。丁寧にタナを取ろうね
・実釣編 アジを爆釣するには全員のチームワークが大事だ
・釣れたぞ編 アジの取り込みは慣れるしかないので頑張れ
・釣れない編 潮の流れを見てタナを変えると釣れることも
・オマツリ編 オマツリはする。しても慌てない対策が大事だ
・沖あがり編 貸し竿なら後かたづけは楽。ビシもきれいに
まずは持ち物。当然だがクーラーは必須。船宿に着いて氷をもらい、ポイントに到着後船の足元のホースから海水が出たらすぐにクーラーに海水を入れて海水氷を作る。魚を入れておくバケツもあるが、バケツに入れてクーラーに移すのは手間なので、釣れたアジはそのままクーラーに入れて氷締めした方が余計な作業が減ってよい。ほかには魚から針を外すためのペンチ、魚を掴む用と手を拭く用、切ったイソメを置く用にタオル3枚、餌のアオイソメを切る用のハサミ。仕掛けは後述する理由で船宿で買うのではなく自分で1人あたり3~4袋買っていった方がよい。仕掛けは「LTアジ」と書かれているものではなく、全長2メートルで枝ス25センチのものを選ぶ。針はムツ針10号の2本針~3本針。よほどの凪でないかぎり飛沫を被るので、濡れてもよい服装で船に乗る。海上は風もあるので、レインコートやウンドブレーカーは必須だ。ライフジャケットは無料で貸し出してくれるので、船を降りるまで絶対に脱がないように。
ロッドとリールは船宿で500円くらいで借りられることが多い。ロッドキーパーも借りられればいい(一応聞いてみよう)のだが、貸し出ししていないこともあるので、その場合は船べりに挿すV字型の竿置きは買っておいた方がトラブルが少なくて済む。ビシ、天秤は無料貸出か預かり金形式(紛失しなければ実質無料)で貸してくれる船宿が多い。貸し竿にはリールが装着済みで道糸の先にスナップサルカンまで付けてくれていることが多い。最終的には右図(クリックで拡大)のように仕掛けを作るのだが、乗船した段階では仕掛けをまだ付けないで天秤までつないでおく。竿を船べりの穴に差し込み、天秤が転がらないように置いて出船を待つ。
出船したらキャビンに入らず東京湾クルーズを楽しむ。キャビンに入ってしまうと船酔いする確率が上がる。飛沫を被る場合は濡れない場所を探してそこに移動。湾奥出船だとポイントまで40分くらいだ。船の速度が落ちたら釣り座に戻って、コマセ(冷凍イワシミンチ)の入ってるバケツを船の外に出るように置き換える。次の作業は餌のアオイソメを3センチくらいに切れるだけ切ってタオルに挟んでおく。頭は最初に切り落として捨てる。体液をタオルで吸わせて死んだイソメはフニャフニャになるがこの状態の方が餌を付けやすいし、アジの食いもいいように感じる。ここまで準備して、仕掛けを天秤に付ける。スナップサルカンを開いて閉じるだけなので難しくはない。餌を付けて船長の合い図を待つ。3センチのイソメならタラシ(針から垂れているイソメの長さ)は1センチくらいになっているはず。ちょうどいい具合に解けているはずのコマセをビシカゴに70%くらい詰めれば準備完了。ギューギューに詰めるとコマセが出ないので注意。力が弱い子供の場合は50%くらい詰めるだけにしておいてもOK。
船長から「水深××メーター、底から2.5メートル」とアナウンスがあったらまずは仕掛けを投入し、リールのクラッチを切る。スプール(糸の部分)を指で押さえてビシを海面に投入。スプールを抑えている指の力を抜くとビシは海中へと沈んでいく。慌てて速く落とそうとはせずにゆっくりスルスルと落としていくイメージで指に加える力を加減する。ビシが底に着いたら糸フケが出たり、手元にコツという手ごたえが伝わってくるので、竿先を海面に向けてリールのハンドルを回して(勝手にクラッチはオンになる)1.5メートル巻きとる。糸には1メートル刻みでマークがついているのでそれで巻いた長さを把握しよう。この位置で2、3秒、仕掛けが馴染むのを待ってから、竿を水平の位置まで持ち上げてコマセを振り出す。アジビシだからビシッと強く振れという人もいるが、慣れないうちは仕掛けが天秤に絡むだけなので、ビシの抵抗を手に感じるくらいの強さでコマセを振る。さらに竿先を海面に向けて下ろしながら1メートル糸を巻いてもう一度コマセを振り出す。1.5メートル+1メートルなので、そこが指示ダナの2.5メートルだ。20秒くらい待つ。
20秒待っても魚信がないときはもう一度クラッチを切って底まで落とす。このときもスプールを指で軽く押さえておくことを忘れないように。糸が出すぎると手元で糸がグチャグチャになっ(バックラッシュし)てしまう。着底したら1.5メートル巻いてコマセを1振り、1メートル巻いてコマセを1振りして20秒待つ。3回着底させたら、一度海面まで仕掛けを巻き上げビシに残っているコマセの量を確認する。少しだけコマセがビシの残っていれば理想形。コマセが全く残っていないのなら、一度の投入で着底させる回数を2回に減らす。コマセがたっぷり残っている場合は、コマセを振る強さが弱いということなのでもう少し強く振ってみる。コマセはビシの目に詰まって振り出せなくなることもあるので、そんなときはコマセを詰めるスプーンを使って目詰まりを掃除してあげよう。あとはこの作業の繰り返し。アジのコマセ振りは乗船している人全員の共同作業。船の下にアジの群れを居つかせるために頑張ってコマセを振り続けよう! ちなみにコマセはおかわり自由だ。
アジの群れが船下についたらコマセを振り出した直後にビビビッというアジの魚信が竿先や手元に伝わってくるはず。1匹針掛かりしたからといって慌てて巻き上げずにしばらくタナをキープして追い食いがないか待ってみる。良型のアジがダブル、トリプルすると、LT竿はグンッとしなって小気味よい。アジの口の膜状の部分に針掛かりしている可能性もあるので、巻き上げはゆっくり。海面にビシが見えたら竿を持ち上げ(ロッドキーパーがあればロッドキーパーに竿を置いてから持ち上げる)、ビシを手に取りコマセバケツの中へ。船べりから体を乗り出してなるべく遠くの方のハリスを掴んで一気に抜き上げ船中に放り込む。海面でアジを針掛かりさせたままモタモタしているとバラシが多発する。かといって慌ててもバレるので、取り込みは慣れるしかない。針の掛かり具合によってもバレやすさは違う。口の堅い部分に掛かっていれば少々のことではバレない。逆に膜の部分に針掛かりしていると……。大型のアジの膜の部分に針掛かりしている場合はタモですくった方が安全だ。
以上が釣れるときのLTアジの基本。問題はなかなか魚信がなかった場合だ。タナを少し変えてみるのが一つの手。潮が速い(道糸が斜めに入ってく)場合は、少しタナを下げてみる。潮が速いということは天秤より先の仕掛けも斜めにたなびいている。指示ダナより1メートル下の底から1.5メートルでアジが食ってくることがある。逆に潮が遅い(道糸がまっすぐ入っていく)場合は、タナを上げてみる。仕掛けが水中で立っているので、底から3メートルくらいで待ってみる。潮止まりの(満潮・干潮の前後で釣れてないのに船長がポイント移動しない)時間なら置き竿にして昼食や、トイレタイム(置き竿にしないでねw)にしてまったりするといい。竿を小さく鋭くシャクってアジやカサゴのリアクションバイトを狙って遊んでみても面白い。アジは釣れなくてもカサゴは結構これで釣れたりする。アジだけ狙うなら竿をゆっくり1メートルくらい上下させてタナを広く探ってみるのが効果的なこともある。アジの口の膜の部分にばかり針掛かりしてバラシが多発する場合もタナを変えた方がよい。上あごの硬い部分に針掛かりするタナを探すのがLTアジ釣りの最も大事なコツだ。10センチタナを上げるだけで上あごにしっかり針掛かりするようになることもあるぞ!
子供と船に乗る(ゴールデンウィークなので混雑も予想される)と、心配なのがオマツリ。オマツリしたら時間がもったいないし、ほかの釣り客の迷惑にならないように、すぐに子供(自分)の仕掛けを切ってしまおう。このときの小技がピンク色のハリスの仕掛けを買っていくこと。オマツリしてもピンクの糸を切ればいいわけで、どっちの仕掛けの糸かなぁ~と悩む必要がなくなる。オマツリしないようならコマセが子供の方に届きやすいようにパパが潮上に釣り座を据える。逆にオマツリが多発するようなら子供が潮上に来るように釣り座を変えよう。これならオマツリしてもパパと子供だけのオマツリで済む。追い食いを狙わず魚信があったらすぐに巻き上げるのもオマツリを回避する方法の1つだ(釣果は落ちるけど)。
沖あがり(釣り終了!)の合い図があったら後片付けに入る。仕掛けを外して、ビシの蓋を開けたまま海面に落としてポチャポチャして洗う。ビシがきれいになったら天秤からスナップを外し竿先まで糸を巻いてドラグを少し緩めて船べりの穴に挿しておけばOK。ゴミはコンビニ袋などにまとめておく。船長が釣れた魚の数を聞いてくるので覚えていれば伝える。覚えてないなら竿頭候補でもない限り「数えてない」と答えても大丈夫。帰り道は船のスピードが速いので結構いい確率で飛沫を被る。ここまでくれば船酔いしてもOKなので、クーラー以外の荷物を持ってキャビンに入るのもあり。桟橋まで戻ったらクーラーに入っていた海水を抜く。この時点で魚はキンキンに冷えているのでゴールデンウィークの気温なら帰路1~2時間くらい海水なしでも十分に鮮度を保てる。
著者: へた釣り