マゴチ釣りというと複数本の竿を出し、たまに底立ちを取り直して魚信を待つ釣りだと思われがちだが、1本竿で積極的に誘った方が実は魚信が多いのではないだろうか?と思っている。マゴチが高活性なら複数竿で、マゴチの魚信が遠いときほど一本竿で誘い続けた方がいいと思う。
マゴチは2010年秋のハゼマゴチから初めて4回、2011年春のエビマゴチに3回、2011年秋のハゼマゴチシーズンは同時期にカワハギが開幕してしまったので釣行ゼロ、そして2012年春のエビマゴチで1回。都合8回しか釣行してないので、「エビマゴチは手持ちの1本竿積極的に誘った方がいい」という仮説は間違えている可能性もあるのだが……全戦1本竿で臨んでいるエビマゴチで、置き竿にしている人に比べて釣果も魚信の数も悪くないどころかよいことが多いと感じる。へた釣りがマゴチ釣りでやっている誘いを紹介する。
マゴチという魚、極端に扁平し海底に潜んで餌を待っている。ヒラメほど遊泳力がないと言われており、海底から1メートルもジャンプして餌にくらいつくことはない。注目すべきはマゴチの目の位置。上方を見ていると考えて間違いないと思う。マゴチ釣りは錘が着底したらハリスの半分くらい(ハリス2メートルなら1メートル)錘を底から切って魚信を待つ。餌は底に這っているかギリギリ浮いているような状態になっているはずである。へた釣りはその状態で待つのは30秒以下と決めている。底が上下してタナが狂っていることがあるので、30秒して魚信がなければ底を取り直す。
底を取り直しても餌のエビの位置は変わらないから誘いになってないじゃないか? って気になるが、錘が着底すると餌のエビにかかっているテンションがゼロになるわけで、エビはその間自由に動ける。マゴチ釣りは船を流しながら釣るので、エビの位置だけなら船の移動に合わせて変わっている。錘からぶら下がった状態で漂っているより、仕掛けのテンションから解放されて動ける状態を作ってあげた方がマゴチへのアピール度は高くなると思う。ヒラメ釣りでもイワシを元気に泳がせるために時々錘を底に付けるのは有効な誘いと教わったので同じことだと思う。
マゴチの魚信は底を取り直してもう一度錘を底から1メートル切った直後に出ることが多い。実際は、テンションから解放されて自由になったエビの動きにマゴチが反応して飛びつき、錘を持ち上げてハリスが張った瞬間から竿先にコツッコツッな前魚信を感じられるようになっていると思うのだが、どうだろう? この方法なら前魚信が出る瞬間に集中できるので、アワセ損ないも減るような気がする(LT竿で釣っていたときはそれでもアワセが決まらないことがあったが……)。一撃でグンッと竿を持っていく速攻型のマゴチにも対応しやすい。
底を何度か取り直しているときにかけ上がったりかけ下がったりして大きく水深が変わったなと感じたときはチャンスタイムなので、底を一度大きく切って上を向いて餌を待っているマゴチにアピールしてみる。竿を頭の上まで大きく2メートル持ち上げて、ゆっくりと錘が底から1メートル切る高さまで下ろす。下ろした瞬間、コツッコツッとなることが多い。大きく竿を上げている最中に魚信があることも。その場合は魚信を感じた瞬間に竿を止める。2012年エビマゴチ開幕戦の2匹はこの大きな誘い上げで釣った。大きな誘いには1つ欠点がある。スミイカが元気すぎるときはマゴチより先にスミイカにエビを襲われることも……。
著者: へた釣り