船長いわく「いつまで続くか分からない」とのことで、シーズンは極めて短いようだが毎年、11月上旬のこの時期に久里浜沖でイシダイが釣れるタイミングがある。イシダイに愛されているへた釣りとしてはできれば毎年出撃してコリコリなお刺身をゲットしたい。釣り方を忘れないようにメモ。
船自体はマダイ狙いなので、当然だがマダイも釣れるし、ワラサ(イナダ)やカンパチの子供であるショゴも釣れていた。これに個人的な本命であるイシダイを加えると、超を何個かつけてよさそうな高級魚五目になる。しかもどの魚も引きが強烈なので掛けてからのやり取りはムーチングロッドが海面に突き刺さるほどにしなり、ドラグが滑って面白い。加えて、家に帰ると、クーラーの中を見た妻と子供たちに「パパ、すご~い」と言ってもらえるのだから、来年も絶対に釣らなきゃって気分になる。難しい釣りではないが、忘れてはいけないことや工夫の余地がいくつかあったので備忘録を作る。
船に着くとすぐに瀧本船長から「仕掛けは自作ですか?」と聞かれた。仕掛けを見せると指摘されたのが「針はもう少し小さい方が」ということであった。マダイ針9号と10号を使った仕掛けだったが、9号でも活性によっては苦戦するそうだ。次回からはマダイ針の7号と8号で仕掛けを作ろうと思う。仕掛けは全長6メートルで枝スを4.5メートルの位置から30センチで1本出していたが、「イシダイ本命なら3本針もあり」らしい。イシダイを6匹釣って竿頭だった人は3本針でコショウダイ、イシダイ、イシダイなんてミラクルな一荷をしていた。ハリスは3号でよさそう。2.5号も使ってみたが魚信が多くなるとは実感できなかった。マダイ用の長すぎる仕掛けはイシダイ本命ならあまりよくないとのこと。
コマセはオキアミを撒く。FLビシの下は完全に閉じ、上は全開にする。潮が緩んでコマセの出が悪いと感じたら、下をほんの少し開けて海水が入るようにする。一気に撒くのではなく、2回シャクって詰めたコマセが半分くらい出て、あとはタナで待っている間にポロポロとこぼれるようなイメージだと思う。コマセを撒くときはラインのマークでシャクリ幅が2メートルになるのを確認しながら竿を持ち上げる。すぐにラインを2メートル巻き取りながら竿先を下ろしもう一度同じように振る。このときラインにたわみが出ないように気を付けてキビキビと動かすと振っている最中にイシダイからの魚信が2度あった。
この釣りに不慣れだと舳にいたベテランさんに告げると「絶対にオモリを底にゴンッと着けないように」と注意された。船長からはポイントの水深がアナウンスされる。例えば水深36メートルで仕掛け長が6メートルだと、仕掛け長+0~2メートルが魚信が出やすいタナになる。水深28メートルで勝負したければ、ビシを32メートルまで落として、2メートル刻みに2回コマセを撒いて28メートルの位置に合わせる。仕掛け長+?メートルがいいかは、潮や魚の活性によって変わってくる。前日の様子を船長に確認すれば教えてもらえる。
置き竿が嫌いなので、最初置き竿にしないで釣ってみたけれど置き竿の方が魚信がでやすいような気がした。船の揺れに合わせてビシが多少上下するのが適度な誘いになるのかな? また、アワセるということに関しても置き竿の方がよさそう。竿先が海面に突き刺さるくらいまでしなってから竿を持つくらいのつもりでいい。置き竿にする前に魚信があり、十分食い込んだろうと思って竿を持ち上げるとすっぽ抜けが1回、チモトでのハリス切れが1回あった。完全向こうアワセで魚が針掛かりして逃げようと反転してから竿を持つで十分だ。
オキアミ餌なので針には掛からない小魚だって餌を突いてくる。さらにカワハギやウマヅラハギといったホバリング上手の餌取りまで混じるのだからかなりやっかいである。置き竿にして待つといっても穂先から目を離すのは禁止。波の上下とは違うイレギュラーな穂先の動きは餌取りに餌をかすめ取られた証だ。まだ大丈夫とは考えずに仕掛けを回収して入れ直す。無駄に仕掛けを回収しているくらいの方がコマセの詰め替え頻度が上がって魚信が増える。カワハギやウマヅラ対策はイカタンをオキアミに抱き合わせると餌を取られた小さな魚信が出やすくなった。
ハリスは2.5号~3号なのであまり乱暴なやり取りをするとハリス切れの可能性がある。竿を送っていなさないといけないような状態になったらドラグが滑るように調整しておく。竿のしなりを利用して魚を弱らせるつもりで巻き取り時の竿の角度は45度をキープ。それでも竿先は目の高さよりも低い。取り込みには大苦戦した。竿が大きくしなっているもんだからビシが手に取りやすい位置まで巻いてしまうとロッドキーパーに固定した竿が曲がりすぎてビシがバケツから飛び出して大慌てすることに。タモ持って来てくれた船長からも「巻きすぎ!!」と注意された。ビシを掴みにくくてもここまでしか巻かないと決めるべき。イシダイもマダイもがっちり掛かればまず海面でばれない魚なので落ちついて取りこむ。
著者: へた釣り