ウキ釣りの教科書を読んでいると、コマセはウキに被せるように撒くと書いてある。餌取り(コッパメジナ含む)が多い場所ではコマセをウキに被せると釣れてくるのは餌取りばかりということになりかねない。GW東伊豆釣り合宿中にへた釣りが実践しているコマセワークをメモしておく。
ウキふかせ釣りのコマセワークの重要性を気づかせてくれたのは、師匠と行った秋の大島だった。目の前には巨大なウスバハギ、10センチくらいのカワハギ、そしてコッパメジナ。コマセを撒くとそいつらが群がり、仕掛けがなじむ前に付け餌はなくなっている。師匠から「コマセの煙幕が流れていく方向を見て、その方向の1メートル先に仕掛けを入れるだけでずいぶん違うよ」と教わる。たった1メートルだが、その1メートルで釣れてくる魚のサイズが変わるってことを思い知った。
磯などの複雑な潮流の場所や、魚が食ってくる場所が限られている釣り場ではもっといろいろと考えることが増える。実際に師匠に「ここにコマセを打ってここで仕留める」と説明されてもどうしてそうなるのかよく分からないこともある。難しいポイントでのコマセワークはへた釣りには良く分からない&修行中であるが、「コマセの煙幕が流れていく方向を見てその先に」ということを理解しておくだけでウキふかせ釣りがグッと楽しくなる。以下にテトラがらみのポイント(宇佐美で実践中)のコマセワークを図解してみる。
■テトラ越しの波にコマセを同調させる上げ潮編
1.まずCにコマセを打つ。写真では見えにくいかもしれないが、Cには藻がありコッパメジナの隠れ場所になっている。ここにコッパメジナを居つかせるために、釣り場に着いたらここにコマセを打つ。
2.仕掛け投入の準備ができたら、もう一度Cにコマセを1回、そしてBにコマセを1回打つ。コマセが効き始めると足元のCではテトラや藻からコッパメジナが飛び出して餌を咥えて反転していく様子が見えるようになる。
3.仕掛けをAに投入。Cは浅場なので大型のメジナは入ってこれない。Cでの捕食音を聞いた大型のメジナは焦れ始めるので、Bのコマセの効き始めは早いことが多い。その後も仕掛けを投入するたびCに1回、Bに1回コマセを打つ。
4.注意点はAにコマセを絶対に入れないこと。Bのコマセが効き始めると、大型のメジナがAのポイントまで突進してくるようになる。餌を咥えたらテトラに逃げ帰るので、ウキに魚信が明快に出やすい。試しにBに仕掛けを入れてみると分かるのだが、Bで釣れる魚よりコマセを打ってないAで釣れる魚の方がサイズが大きい。
5.Aで出ていた魚信が出なくなり付け餌が残るようになったら、クロダイなどの大きな魚が入ってきてメジナが警戒しているのか、時合が去ってメジナの活性が落ちたかのどちらか。Bに仕掛けを入れればメジナが食ってくるのにAだと食ってこないのなら、クロダイのチャンスタイムなので、じっくり集中しながらAから仕掛けを流す。Bでも食ってこない場合はCに仕掛けを入れてみる。Cなら食ってくるのならその日はコッパと戯れて過ごすw
■払い出す潮に仕掛けを乗せて魚信を待つ下げ潮編
1.基本的な考え方は上げ潮編と同じ。Bの藻際がコッパメジナの隠れ家なので、まずはBにコマセを打つ。
2.Bに打ったコマセはAの方向に払い出す潮に乗って流れていく。このままではAの本命ポイントにもコッパの大群が押し寄せかねないのでCにもコマセを打っていく。Cに打ったコマセは実はBの方向に流れる。
3.Bのコマセは本命ポイントのAにコマセを効かせる用。Cのコマセはコッパを足止めするBにコマセを効かせる用と考えればよい。Aは少し深くなっているため、コッパメジナが飛び出しやすい。このため、コマセを打つ回数は、仕掛けを1回投入するのに対してCに2回、Bに1回。Aにコマセを効かせながらも、Bでコッパメジナにはお腹いっぱいになってもらうという作戦だ。
4.Aで食ってくるのが比較的大型のメジナだけにできたらコマセワーク成功。Aで魚信が遠いと、クロダイのチャンスタイムになる。GW釣り合宿初日に釣ったクロダイはこのパターンで仕留めた。Aでもコッパが食ってくる場合は、Cのコマセを増やしてみる。それでも状況が変わらないようなら、メジナの活性が高すぎるので、コッパメジナと戯れて楽しむことにしよう。
釣り場ごとにコマセの打ち方は変わるのだろうが、考え方は同じだ。ここで食わせる!と決めた場所で本命だったり、大型だったりを仕留めることができたら、ウキふかせ釣りは格段に楽しくなってくるのである。
著者: へた釣り