苦手な釣りは数あれど、全く上達している気がしないのがタチウオである。30センチ刻みでフワフワと動かして魚信があっても誘い続ける。穂先にグンと重みが乗ったら竿を立てて合わせる。これでいいのだと思うのだが、魚信が全く出せなかったり、魚信はあってもかけられなかったり。
船上で「あ」「い」「う」「え」「お」しか喋れなくなるのがへた釣りのタチウオ釣り。あっと驚き、いーっと癇癪、うーんと悩んで、えーっと悔やむ、たまに釣れればおっと喜ぶ。発する言葉の大半が感嘆詞になってしまう釣りは、ほかにない。なのにどうして行くの?と言われると、全く思うようにならないのが面白いから。タチウオの警戒心が薄れる冬場の水深100メートルくらいの釣りよりも、魚信すら出せないということになりかねない夏場のタチウオを好むのであるから、臍が曲がりすぎている。
最近のタチウオ船の釣果報告を見ていると富津沖の水深10メートル前後で模様があるようだ。極浅ポイントでのタチウオ釣りは一度しか経験がないが、全く歯牙にも掛けてもらえずボウズに終わった。誘っているとすぐに海面までテンビンが来てしまい、釣り方が分からなかった。仕掛けをを回収しようとテンビンを手に取った瞬間にその日唯一の魚信があった。半日やってそれだけ。こんな釣り二度とやるもんか!!とは思わない。へた釣りの場合、3回連続で心折れる釣りになると、その魚の存在をしばらく忘れる。浅場タチウオにはまだ2回挑戦できる。
著者: へた釣り