糸の結び方は3つ覚えておけばマグロ釣らなければ大丈夫

人口の上位2％の不器用な人だけが入れるKENSAN（不器用ですから）があるなら合格する自信がある。そんなへた釣りが普段やっている糸の結び方は3種類だけ。この3つでタックルのセッティングはもちろん、仕掛けだって自作できている。不器用でも結べる簡単で丈夫な結び方を紹介。

どうしてまた急にこんな原稿を書こうと思い立ったかというと目指せYouTuber計画で、仕掛け作りなど手元をきれいに撮影するための撮影ボックスを買ってみたのである。組み立て簡単でUSBに接続したLEDライトで手元を明るく照らしてくれる。手に入れたら使ってみたくなるわけで何の撮影しようかなぁと考えていたら、自分が仕掛けを作るときに使っている結び方を紹介しようと思い立つ。釣りを覚えるときに、本を片手にあれこれ試して、一番習得しやすく、簡単に結べ、それでいて十分な強度を見込めると感じた3種類を紹介する。へた釣りはこの3種類の結び方だけでほぼすべての仕掛けを作っている。

■サルカンとラインの結束は「簡単結び」で

サルカンとフロロやナイロンラインを結ぶのには簡単結びだけ覚えておけば大丈夫だ。サルカンの輪にラインが2回通っているので強度は十分、太いラインでも細いラインでもしっかりと締めこめるので結び目の強さが安定する。釣りの入門書などで勧められることが多いクリンチノットより糸が縮れにくい（不器用でも丈夫に結べる）。

サルカンのアイにラインを2回通し輪を作る。

ラインの末端を輪の中に2回くぐらせる。

唾などでラインを濡らしてゆっくり締めこんでいき、余分な糸をカットする。

釣りを始めたばかりの人にこの結び方を説明すると決まって「これだけでいいんですか？」という反応が返ってくるが、60センチ超えのマゴチや1メートル近いタラを相手にしてもこの部分で切れたことはない。

■PEとサルカンの結束は「8の字＋編み込み」で

船釣りの場合、リールに巻く道糸はPEラインを使うことが多い。PEラインとサルカンを結ぶには8の字結びで輪を2重に作り、さらに結び目を編み込みで補強しておく。ちょっと面倒くさいが一度結べば数釣行してPEラインが痛むまでは結び直す必要がないので丁寧に結んでおこう。8の字結びを覚えれば仕掛けに枝スを出せるようになる。

PEラインの先端を2重にし、さらに2重に折って先端部が4重になるようにする。

4重部先端から10センチくらいの位置で4本束ねた輪を作る。

輪の部分を2回ひねる。ひねるたびに輪の根本を指で抑えて戻らないように気をつける。

ひねった輪の中に4重部の先端をくぐらせゆっくり締めこむ。

リール側の本線と2重になった端糸をまとめて1本の端糸で編み込んでいく。まずは奥から糸をくぐらせ、次は手前から糸をくぐらせを繰り返す。手は2本なので締め込みは口で端糸をくわえて行おう。

奇数は奥から偶数は手前からと覚えてカウントしていく。16回くらい編み込み終えたら2重になっている端糸をカットする。

同じ要領で今度は本線に編み込みを作っていく。合わせて20回以上編み込んでおけばかなりの強度を期待できる。

簡単結び同様、サルカンのアイに2重にPEラインが通っているので安定感がある。PE1.5号以上のPEラインはこの結び方で大丈夫。PE1号以下の細いPEラインを使う場合は先糸（リーダー）を付けることになる。FGノットなどで結ぶことになるが、最初は覚える必要なし。船釣りなら船長あるいは上乗りさんに「自信がないから結んで」とお願いすると、自分で結ぶよりも遥かに強力に結んでもらえる。

■針を「外賭け結び」で結べると仕掛けを自作できる

他の人と同じ仕掛け同じ餌では工夫の幅が狭くなる。針は結べるようになっていた方がよい。タチウオやマゴチなどの1本針の簡単な仕掛けなら船上で簡単に作れるようになるし、フグに針を取られたなんてときも仕掛け全体を交換せず針だけ結んで復旧できる。それよりなにより自作の仕掛けを作るのが釣りに行けない日の夜のお楽しみになる。

ラインを2重にして針に這わせる。2重部の輪の交わった部分を指で押さえる。

ラインを針のチモト方向に向けて巻き付けて行く。ラインを張っておくと作業しやすい。

端糸を折り返し針先側に作っておいた輪に通してゆっくり締めて行く。

ペンチで挟んでラインを強く引っ張り更に締めこむ。

端糸側もペンチでつまんで強く引いて可能な限りギチギチに締める。

針を自分で結べるようになれば、仕掛けの全長、枝スの長さ、針数など市販の仕掛けとは全く仕様が違う仕掛けを作れるようになる。市販の仕掛けでも釣れるということが多いが、ごくごくまれに自作仕掛け無双状態になることがある。これぞ釣り人冥利である。仕掛けを自作しようとしない人は釣りの楽しみの何割かを放棄している気がする。